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モダンスイマーズ「死ンデ、イル。」@東京芸術劇場シアターイースト

c0025481_23034512.jpgふとしたタイミングで友人に勧められたきっかけで、句読点3部作のラストを観劇。
実は2013年に上演された再演作品。と、会場で初めて知るw

震災後、原発事故による避難を余儀なくされた、
福島県浪江町に暮らしていた女子高生が行方不明にあった後に
遺された周囲の人々の話。といえばいいのかな?
周辺の人との関わりや、彼女が残したスケッチブックから、
一体どうして彼女が行方をくらましたのかが明らかになっていくという構図。

女子高生の身に起こったことは、まぁ、創作的には「あるある」かもしれない。
(ちょっと都合よく事件が起こりすぎな気も否めないのだが、とはいえ、
 煽りすぎない程度に「あるある」なところが、また心苦しいところではある)
そして、一つ一つの出来事は、他人からしてみれば、大したことでもないかもしれない。
でも、それが自分が原因でもない、地震と原発事故に端を発していると思うと、
もうその怒りの原因をどこにもぶつけようがないというか、その理不尽さに、
自分だったら発狂してしまいそう。
(最近、少しケースワーカーの人の仕事に触れる機会があり、そういう経験が
登場人物に対する理解、というか想うところがあったんだろう、という個人的理由。)

とはいえ、そんな彼女の身におきたことを、「理不尽」とか「居た堪れない」という気持ちで、
回想的に・ドキュメンタリー的に振り返っている観客の自分(たち)も、
児童虐待や、子供の誘拐殺人事件が発生すると、決まってテレビニュースで放映される
もっともらしいことを言う「近所の人」やら「献花に来た人」のような、
事案が発生しないと出てこない人(←これがうまく言えないのだが)のような
ポジションで、勝手に分析したり共感したりしているような気がして、途中から
それもすごく嫌な気持ちになった。(効果的な投げかけがあった、という良い意味)

シーンはいくつか飛ぶものの、冒頭の設定部分(といえばいいの?)さえ
クリアできれば、あとは流れを追うことは楽なので、比較的シンプルな構造。
ぱっと見、ポツドール的な見せ方をしてもいいのかな、とは思ったけれど、
そういう戯曲でも演出でもないので、やはり役者が持つ部分が大きいかと。
(ふと思ったけど、サンプルでもやれそうだけど、違うよねぇ。)
スクリーンに映し出された、絵や文字といったスケッチブックの書き込み
場面場面に大きな影響力を持っているけれど、超しっかり会話劇。

むしろ、それがゆえに、マームでよく観ていた成田さんと、猫ホテの千葉さんあたりが
どんな仕事っぷりか気になっていたのですが、いい意味でお二人ともいつもどおり。
成田さんのあの演技は、マーム以外でやるとああいう強さとしなやかさがあるわけね、
というのは新たな発見だった。
ただ、全体的に、やや煮え切らないような福島弁は、色々よくわからない(笑)
(なんか、あの「直りきらない東北訛り」って感じのニュアンス難しい…)
でも、田舎特有の土の生臭さはあったから、あれくらいは入れた方がいいのかな。
でも、たまに、台詞の強度が怪しくなってた瞬間があったしなぁ…。ちょっと難しい。


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モダンスイマーズ 句読点三部作連続上演 第三弾
「死ンデ、イル。」
2018年7月20日~29日 @東京芸術劇場シアターイースト

作・演出:蓬莱竜太
出演:片山友希、古山憲太郎、津村知与支、小椋毅、西條義将(以上モダンスイマーズ)
   松尾潤、成田亜佑美、野口卓磨、千葉雅子(猫のホテル)
美術:伊達一成 照明:沖野隆一 音響:今西工 衣裳:坂東智代 
演出助手:滝沢めぐみ 舞台監督:清水スミカ 宣伝美術:金子裕美 
プロダクションスタッフ:中村優衣・中尾友也 制作:ヨルノハテ
助成:芸術文化振興基金助成事業  主催:モダンスイマーズ
提携:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)

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by yokusang_09 | 2018-07-21 18:48 | 芝居を観てきた2018 | Comments(0)

ほりぶん「荒川さんが来る、来た」@阿佐ヶ谷アルシェ

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超大好きな割に、何故かたまに情報を落としているほりぶん。
知ったからにゃ、絶対行くに決まっとるがね!
ということで、結構ご無沙汰、阿佐ヶ谷にて。
猫背さん出演とか、なんかいつにもまして豪華な予感…!
そして、昔、靴袋を渡された劇場かと思っていたら違いました…。

別に深く語ることはなく、いつもの調子で楽しかったんですけど、
比較的ストーリーが少し示唆的だったり、隠れたテーマ性みたいな、
そういうものをちょろちょろと感じておりました。
オープニングアクトとかも、何か意味ありげのような…。
いえ、実のところ、私が勝手に感じ取っているだけかもしれませんが。

近所で嫌われ者の荒川さん(視覚障害者)が、姉妹の家にやってきて、
得意のモノマネでみんなを惑わし、自分の孤独の穴埋めをしようとする、
みたいな話なんですけど、これが、なんか、私の心に地味に触れてくるのね…。
人間って、案外孤独なもんなんですよ。
私も荒川さんみたいになっちゃいそうで怖い。むしろあんなに周囲に絡めるのか。
段々と性格って抑制が効く部分と効かない部分の差が激しくなってきていてね…。
歳を重ねていくことが、大変に怖い。

しかし、盲目女性が他人の家で家族ごっこを繰り広げて、
その家庭に入り込もうとするって、思い出してみたら、
一番最初に町屋で観た「とらわれた夏」と似てますね…。
別に大した問題ではないけど。

台詞では、「ここは東京都北区よ!助け合わなきゃ生きていけないわ!」には爆笑w
他にも爆笑しまくりの超ハッピーな芝居だったんですけど、
まぁ、毎度感じていることですが、改めて俳優力がすごい。
体力面だったり、単純な巧さというよりも、もっと総合的な俳優力。
(まぁ、そこには体力も技術も含まれているのですが)
見せ方、と言うともうちょっと的確なんですかね。もしくはベースの強度。
これだけの実力ある役者を揃えて、こんなにバカやっちゃうという贅沢さ。
というか、それが贅沢として成立するってことが、何より素晴らしい。
(↑語彙力が貧弱でこのニュアンスが伝わりきらない…)

理屈抜きにやっぱ好きだわ~~~。また観たい。

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ほりぶん 第5回公演
「荒川さんが来る、来た」
2018年2月27日~3月4日 @阿佐ヶ谷アルシェ

作・演出:鎌田順也(ナカゴー)
出演:川上友里(はえぎわ)、川﨑麻里子(ナカゴー)、川口雅子、
  木引優子(青年団)、猫背椿

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by yokusang_09 | 2018-03-03 19:50 | 芝居を観てきた2018 | Comments(0)

東京芸術劇場「秘密の花園」@東京芸術劇場シアターイースト

福原さんが唐作品の演出と聞いて、見逃すわけにはいかぬっ!!ということで。
芸劇で唐作品なのか~って声を見かけたのですが、実はこの作品、
1982年の下北沢本多劇場のこけら落とし作品だったんですね。
ってことは、別にホールでやったっていいがね!ってことですわね。
で、初演時の主演が柄本明だったんだそうで。それが今回は息子の柄本佑。
へ~。なかなか感慨深いじゃないの(笑)

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【あらすじ】(劇場HPより引用)
日暮里にある古びたアパートの一室。この部屋に暮らすのはキャバレーホステス、いちよ(寺島しのぶ)とポン引きの夫、大貫(田口トモロヲ)。この二人のところに店の客であったアキヨシ(柄本佑)はもう2年もの間、毎月自分の給料を何の見返りも求めずに届けている。そんなアキヨシにいちよはよく「生まれる前の港で、契りを交わした」というメルヘン話を語り聞かせていた。ある日、アキヨシはいちよに実は自分には縁談話があり、関西に転勤しなければならないと切り出す。憤慨するも「お幸せにね」と明るく振舞いその場を離れたいちよであったが、その後共同トイレでアキヨシが見たものは首を吊った、いちよの姿だった。その時、動揺するアキヨシの前にいちよと瓜二つのアキヨシの姉・もろは(寺島しのぶ)が現れる。いちよとアキヨシ、もろはの三者三様の思いが絡み合い新たな物語が紡ぎ出されていく…。


「秘密の花園」自体は唐組やほかの劇団でも何度も再演されているし、
私が足らない教養で云々いうよりも、他の批評を読んだ方がいいと思うので
その点についてはお任せしつつも、でもやっぱり感じたことを。

ものすごく壮大なお話っぽく見えるけど、実は(傍から見たら)
日暮里のボロアパート周辺で起きている、全然個人的で
ミクロでアンダーグラウンドな話で、でもそれがあんなに壮大になっちゃうって
なんというか、(これはどなたかも仰っていたことなのだが)
まるで子供の頃の心象世界がそのまま舞台になっているのかなぁ、
なんてことをぼんやり考えていた。
色んな感情や妄想が交錯して、現実と非現実の境目が
ぐちゃぐちゃになっていくのも、特に誰かに対する愛憎と、
並行して悩み事があったりした時の、自分の頭の中の思考を、
本当にそのまま考えると(表現してみると)あんな感じかもしれない(笑)
この作品のパターンに似たものは、恐らく過去に何作品か見たことはあるのだが、
思い起こしてみると、(最近このテイストが気になっているというのもあるが)
一番ストンと頭の中に入ってきたのは、つまりはそういうことなのかも。
ある種のカオスなのに、すとんと収まる。

しかし、戯曲のパワーもさることながら、この公演で一番気になったのは
やはり演出である。もう、福原さんの唐十郎愛が溢れまくってて(笑)
戯曲に対する理解とか、原作を大事にしながらの新しいことへの
挑戦といった類のことは観ていて感じ取れたのだが、
それらすべてひっくるめて「戯曲への愛」、と言いたい。
てか、事実そうでしょ、多分w
役者の演技もあるけどすごく観やすかったし、美術はでかいし、
水もぶっかけてたし、葉っぱも落ちてきたしで、超しっかり福原芝居。
何より、福原さん本人が冒頭トラストに役者として
出演していたのもかっこよかった。
出演者もなかなかに贅沢に個性派ぞろいで、超好みだった~。
寺島しのぶの、あの小劇場女優ノリはやっぱり大好き。(おっぱい関係ない!)
あと、柄本佑はなんか可愛くって、それがまたあの役柄にハマっていた。
他にも気になる役者はいたけど割愛w
しかし、それもこれも、兎に角、すべてひっくるめて、
この芝居に対する愛だよ、愛。(←自分で言って懐かしい)

というわけで、お判りいただけたとは思うのだが、
私の好き成分で殆どが構成されており、
超絶大満足な2時間30分なのであった。幸せ~~~。

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東京芸術劇場 RooTS Vol.05
「秘密の花園」
2018年1月13日~2月4日 @東京芸術劇場シアターイースト

脚本:唐十郎
演出:福原充則
出演:寺島しのぶ、柄本佑、玉置玲央、川面千晶、三土幸敏、和田瑠子、
池田鉄洋、田口トモロヲ
美術:稲田美智子 照明:斎藤真一郎 音響:高塩顕 衣装:髙木阿友子 
ヘアメイク:大宝みゆき 演出助手:相田剛志 劇中歌作曲:田山雅充
企画協力:劇団唐組、徳永京子、渡辺弘
企画制作:東京芸術劇場

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by yokusang_09 | 2018-01-20 22:38 | 芝居を観てきた2018 | Comments(0)

玉田企画「あの日々の話」@BUoY

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【あらすじ】
このとき彼らは信じていました、この楽しく無垢な関係は永遠のものだと。
彼らは「俺ら誰よりもおもろいよな」と言い合った友を信じ、
間違いを犯したとき泣いて殴ってくれた恩師を尊敬し、
そんな彼らに「今となっては感謝している」などと素直なことを言える
自らの純粋さを誇りに思っていました。
そう、彼らは気づいていなかったのです。自分たちが欲にまみれ、
権謀術数の限りを尽くした泥沼の聖戦に突入することになるとは。

今作品は2年前に上演した作品の再演です。
大学デビューをした若者たちによる、誰もが身に覚えのある痛々しい思い出を、
滑稽かつ無様に描いた青春群像劇です。面白いと思います。お楽しみに!


今年の観劇始めは、東京・北千住から。
なじみの北千住だけど、あの地区まで行ったのは初めてだったので、
細路地を探検気分。(なんか、中村区っぽかった)

大学サークルの会合(?)後の、カラオケでオールの一場面。
私、ちゃんと大学は出てますけど、部活やサークルには所属してないかったので、
ああいうのをモロ経験してはいないのですが、なんか…わかる(笑)
ぶっちゃけてしまいますが、あのサークルにある独特の狭いコミュニティ感とか
部活まで至らないカジュアルさを装いながらも、なんか面倒そうな上下関係とか、
実は学生時代からああいうのがあまり得意ではなくて、メンバーの人の様子は
楽しそうだな~、正しく青春しているな~、と思いながらも
属したいとは露にも思わなかったんですね…。
そういうのが、思いっきり舞台上に出てました(笑)
前回観たときも思ったけど、あの「学生時代の1ページ」の再現度の
高さはいったいどこから来るのか…。
それにしても、学生時代って、今にして思えば可笑しいわ…。

キャラクターと関係性がいろいろとバラけているので、それぞれ肩入れというか
注目してみてしまう役があるのが、また楽しい。
自分は、文と小川さんに妙に共感しながら観ておりました。
小川さんはね…ああやって知らない間に自分が歳食っちゃうことある…。
彼はそれなりに自覚しているとは思うのですが、少し最近の自分を見ているような気分でした。
(気づいたら、自分より若い人が周りに増えまくってて焦ることがある)
あと、文ちゃんは、なんというか、私、割とああいう感情の抑制の仕方とか、
可愛げのなさとかあるんですよ…。最近はもうだいぶおとなしいですけど。
というか、その感情を抑制しながらも、相手に仕掛けていくという
演技のその感情の圧が素晴らしかった。
久し振りに客席まで感情がバンバン飛んでくる。

キャラクターの関係性だったり、場の空気感だったり、
それは戯曲の巧さもあるのですが、それ以上に、演出と役者力が、
この芝居の面白さに大きく貢献しているのかな、と思ったりしておりました。
最後、始発列車が走り始めるころの、オール明けのダウナー感も、
本当にオール明けっぽかったし。(それくらい疲れているのかもしれませんが…)

というわけで、なんか、手近な距離感ながらも、だいぶ役者力に
魅せられた観劇始めとなりました。これが観劇始めでよかった~。

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玉田企画 「あの日々の話」
2018年1月18日~28日 @BUoY

作・演出: 玉田真也
出演:浅井浩介、青山祥子、猪瀬青史、木下崇祥、菊池真琴、近藤強、
富樫まなり、真臼ねづみ、山科圭太、玉田真也
舞台監督:宮田公一 舞台美術:濱崎賢二(青年団) 照明:井坂浩(青年団) 
音響:池田野歩 衣装:根岸麻子(sunui) 演出助手:川井檸檬 
構成協力:木下崇祥 制作:足立悠子、小西朝子、井坂浩
宣伝美術:牧寿次郎 宣伝写真:馬込将充 主催・企画制作:玉田企画
協力:イトーカンパニー、ダックスープ、BELLONA MODEL AGENCY、
レトル、うめめ、青年団、sunui

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by yokusang_09 | 2018-01-20 17:55 | Comments(0)

ブス会*「男女逆転版・痴人の愛」@こまばアゴラ劇場

この作品が今年の観劇納めだったのだが、東横線が地味に遅延して遅刻の危機…。

c0025481_02503465.jpg【あらすじ】
「小鳥を飼うような心持」で女給の少女「ナオミ」との同棲を始めた平凡な主人公・譲治。二人の主従関係が逆転していく様を描き、1924年の発表から約100年の時を超えて未だ読まれ続ける不朽の名作、谷崎潤一郎の『痴人の愛』を、現代に置き換え男女逆転させて描くブス会版『痴人の愛』。
仕事人間の40歳独身女性の“私”は男性に対して独自の理想を持つようになる。それは未成熟な少年を教育して自分好みの男に育て上げるというもの。ある日“私”は美しい少年ナオミと出会い、「小鳥を飼うような心持」で同棲を始める。人見知りで垢抜けない少年だったナオミは次第にその美貌を利用して奔放な振る舞いを見せるようになり“私”はナオミに翻弄され身を滅ぼしていく…。


谷崎潤一郎の「痴人の愛」を、男女逆転にしてアレンジした作品。
譲治は洋子に、ナオミはナオミとなって登場してくる。
恥ずかしながら、ちゃんと読んだことはないのだが、だいたいのあらすじは知っていた。
概ね原作に沿っている(はず)のだが、ラストだけが大きく違うのかな。
(ネタバレになってしまうが、主人公はナオミの首に手をかけてしまう)
その辺は、ブス会っぽいというか、今回のユニットのイメージに合う感じで
自分としては、しっくりくる好きな結末だった。

時代的に、原作ベースな部分(大正時代)と現代風な部分とが混在している感じが、
文学的な雰囲気と一体となって、少し不思議な空気感を作っていた印象。
現(うつつ)ではない感覚とでも言えばいいのか。
それは、少年の存在もそうだし、主人公の願望の隔世感にも当てはまるかも。
全体的にソリッドな作りをしている中でも、笑いのポイントもしっかり押さえていて、
構成的には大変観やすい感じ。元々は新聞連載小説だったので、ストーリーのテンポもよい。
安藤さん演じる主人公の、静かに燃えたぎる愛憎の念は、圧がすごかったし、
ラストは、寺山修司の作品を思い起こさせるような展開で、やはり愛憎の念が
今の自分にはビシビシ感じ取られて、ついつい感情移入してしまった。

ただ、個人的にはもうちょっと遊んでしまってもよかったかな、とは思う部分も。
その文学的で、非現実的な空気感をまとっているが故に、ナオミの不義理に対して、
主人公は怒りに燃えて般若になってもいいかな、みたいな(笑)
でも、本当に般若のお面が出てきたら、少しチープで露骨かもしれないのだけどw、
舞台美術も能舞台っぽく見えたし、折角チェロ生演奏付きだし、羽織も出てくるし、
やっぱりもうちょっと遊んでもよかったかなぁ…。
文学的で抒情的な雰囲気を大切にして、あえて抑制気味な演出にしていたのかもしれないが、
とはいえ、役者のエネルギー的に(←適当な言い方がわからん)舞台を
埋めきれていないな、と感じる瞬間もあったので。
(抑え気味の演出自体は、大人っぽい雰囲気がして好きではあるのだが…)

夏に鬼子母神で観た唐組の芝居で、主役を演じていた福本さんは、
「え!こんな演技もするんだ!」という感じで、要するにおとなしかったのだが(笑)、
あの色気と若さと憎たらしさは、この作品には絶対に欠くことのできない役者だった。
俺もあんなふうになりたいなぁ(笑)むりだけど!

というわけで、自分としては戯曲もキャスティングもよかったとは思うのだが、
演出的にもう一ひねり(もしくは一押し)欲しかったかなぁ、という印象。
人的・物的条件は整っていたが故に。面白かったんですけどね。

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ペヤンヌマキ×安藤玉恵生誕40周年記念ブス会*
「男女逆転版・痴人の愛」
2017年12月8日~19日 @こまばアゴラ劇場
脚本・演出:ペヤンヌマキ(原作:谷崎潤一郎『痴人の愛』)
出演:安藤玉恵、福本雄樹(唐組)、山岸門人、浅井智佳子(チェロ演奏)
美術:田中敏恵  照明:伊藤孝(ART CORE)   音響:中村嘉宏
舞台監督:村田明、土居三郎 演出助手:奈良悠加 小道具:小林麗子
イラスト:Cato Friend   宣伝美術:冨田中理(Selfimage Products)
WEB:rhythmicsequences   宣伝写真:宮川舞子   広報:黒澤友子
制作:半田桃子、横井佑輔  制作助手:榎本靖、岩田博之  制作協力:木下京子、黒澤友子
企画協力:山田恵理子  協力:マッシュ、唐組、テレコムスタッフ
主催:ブス会*

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by yokusang_09 | 2017-12-16 23:46 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

日本総合悲劇協会「業音」@東京芸術劇場シアターイースト/青少年文化センター アートピアホール

c0025481_00531842.jpg【あらすじ】
限りなく深い人間の“業”が奏でる物語…。
母の介護をネタに、演歌歌手として再起を目指す落ちぶれた元アイドルの女・土屋みどり(平岩紙)は、借金を返すために、マネージャー・末井明(皆川猿時)と共に自身が運転する車で目的地に向かっていた。途中、自殺願望を持つ夫・堂本こういち(松尾スズキ)と、夫をこの世につなぎ止める聡明な妻・杏子(伊勢志摩)と遭遇し、不注意から杏子を車ではねてしまう。
杏子は脳を損傷し、一生涯植物人間として生きる事に。
怒り狂った堂本は責任を迫って、土屋を拉致連行し、 “有罪婚”と称し、二人は結婚。奇妙な共同生活が始まる。
芸能界を夢見て東京に出てきたものの、結局体を売る事でしか生きていくことの出来ない堕落した姉・ぽんた(池津祥子)、弟・克夫(宮崎吐夢)、年を偽わってまでも孤児院に入る事に執着する屈折したゲイの男・不動丈太郎(村杉蝉之介)、正体不明の老婆・財前とめ(宍戸美和公)らを不幸のループに巻き込み、負の連鎖は更に奇怪にうねってゆく…
やがて、末井とも関係を持つ土屋は、父親がわからない子を身ごもり出産するのだが、堂本との時間に執着し、子供の命を引き換えにしてまでも、「10ヶ月の夫婦生活の元を取るため」と、堂本とのわずかな触れ合いを選択するのだった。
“それ”をやらなければ物事は上手く運ぶのに、
どうしてもやらずには先に進めない各自の“固執”。
その“固執”が“業”を生み、空回りするそれぞれのエネルギーは、
不協和音のような音楽を響かせてゆく・・・



東京で観て、せっかくなので名古屋でももう1回観てしまった。
けど、2回観たら、なんか色々とわかってきたし、やっぱりよかったな、と。
(ちなみに、名古屋の分は、自分への誕プレを兼ねているw)

結構めちゃくちゃな話はなずなのだが、思いの外さらさらと流れて行ってしまう。
なんちゅーか、筆が走ってるな、という印象。でもむしろその疾走感が心地いい。

初演時は荻野目慶子が土屋みどり役で、何やらそこに随分と苦戦していた印象、
というような感想をみかけたことがあったのだが、今回は劇団員の平岩紙。
というか、踊り子役以外、全員大人計画で、これ別名義でやる意味あるのか?と
思ったこともあるが、全く何の問題もないのでこれ以上は触れないw
というわけで、今回は、劇団員である意味手堅くまとめてきたのかな、
と勝手に思っていたのだが、この作品だったら、むしろ劇団員純度高めで観たかったので、
今回のキャスティングは嬉しい。
でも、まぁ、劇団員の皆さんも、いつの間にか年齢を重ねておられましたな…。
「え!まだこんなことやっちゃうんだw」とか思った瞬間があったことは否定しないけどw、
でもそこはやはり大人計画の劇団員、むしろ円熟味の増した演技で、すぐに引き付けれた。

個人的なこともあってか、とにかく登場人物の業深さというものが、
そりゃあもう、うわーーーーっ!!と舞台上にあふれだしていて、
その勢いを感じながらも、「ああ、人間って結局こうなのかも」と、
冷静にそれを見ている自分もいた。
人間の醜い部分を見せつけられた~、というよりは、自分自身にも当然ある業と、
その深さを、舞台で提示された結果、どちらかと言うと肯定的な感覚を覚えた。
そりゃ、自分自身の業と向き合うために、神に許しを請うたりする方法(=宗教)も
あるのだろうが、でも、人間なんだからどうしようもないでしょ、そんなもんでしょ、みたいな。

平岩紙の演技が、そんな感覚を強力な圧で客席に押し出してきていて、
思わず背筋が伸びたし、なによりあの勢いで、サラリとここまで言い切ってしまう
松尾スズキのこの戯曲にも、近年の作品とは違った、
(随分平たい言い方ではあるが)ある種の凄みを感じるのであった。

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日本総合悲劇協会 vol.6
「業音」
(東京公演)2017年8月10日~9月3日 @東京芸術劇場シアターイースト
(名古屋公演)2017年9月13日~14日 @青少年文化センター アートピアホール

作・演出:松尾スズキ
出演:松尾スズキ、平岩紙、池津祥子、伊勢志摩、 宍戸美和公、宮崎吐夢、
   皆川猿時、村杉蝉之介、 康本雅子+エリザベス・マリー(ダブルキャスト)
舞台監督:菅田幸夫  照明:佐藤啓 音響:藤田赤目 舞台美術:池田ともゆき 
衣装:戸田京子 ヘアメイク:大和田一美 振付:康本雅子 映像:上田大樹 
音楽:伊藤ヨタロウ 演出助手:大堀光威、佐藤涼子 衣装助手:伊澤潤子 
宣伝美術:榎本太郎 宣伝写真:森崎恵美子 宣伝スタイリスト:森保夫 
宣伝協力:る・ひまわり票券:河端ナツキ 
制作:北條智子、赤堀あづさ、横山郁美 プロデューサー:長坂まき子
企画・製作:大人計画、(有)モチロン

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by yokusang_09 | 2017-09-13 22:45 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

八月納涼歌舞伎第三部「野田版 桜の森の満開の下」@歌舞伎座

c0025481_18051068.jpg現代演劇史に輝かしい軌跡を残した戯曲が、待望の「野田版」歌舞伎として蘇る

 深い深い桜の森。満開の桜の木の下では、何かよからぬことが起きるという謂れがあります。それは、屍体が埋まっているからなのか、はたまた鬼の仕業なのか…。
 時は天智天皇が治める時代。ヒダの王家の王の下に、三人のヒダの匠の名人が集められます。その名は、耳男、マナコ、そしてオオアマ。ヒダの王は三人に、娘である夜長姫と早寝姫を守る仏像の彫刻を競い合うことを命じます。しかし、三人の名人はそれぞれ秘密を抱えた訳ありの身。素性を隠し、名人と身分を偽っているのでした。そんな三人に与えられた期限は3年、夜長姫の16歳の正月までに仏像を完成させなければなりません。ところがある日、早寝姫が桜の木で首を吊って死んでいるのが見つかります。時を同じくして都では天智天皇が崩御。娘と帝を同時に失ったヒダの王は悲しみに暮れます。やがて3年の月日が経ち、三人が仏像を完成させたとき、それぞれの思惑が交錯し…。
 野田秀樹が坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」を下敷きに書き下ろした人気作『贋作・桜の森の満開の下』を、『野田版 研辰の討たれ』、『野田版 鼠小僧』、『野田版 愛陀姫』に続く、「野田版」歌舞伎の4作目として、満を持しての上演です。人間と鬼とが混在し、時空間を自由に操りながら展開する物語をお楽しみください。
(松竹HPより引用)


野田秀樹の遊眠社時代の代表作(と言ってもいいですよね?)を歌舞伎化した作品。
野田歌舞伎、もうやらないのかと思っていたけど、まさかの第4弾。
実は、勘三郎が歌舞伎化を希望していたとか。それを遺された
息子達(勘九郎・七之助)メインでやるというんだから、さすがに気になっちゃう。
(とはいえ、実は配役については、直前まであまり認識していなかったのだがw)

「贋作・桜の森の満開の下」自体は、元々は坂口安吾の「夜長姫と耳男」と
「桜の森の満開の下」の2作品を下敷きに書かれた戯曲。
(これの予習を事前にwikiでしとけばよかった…)
「夜長姫と耳男」から「桜の森の満開の下」へのDJリミックス、というところか。
お得意の雑な言いまとめをしちゃうとw
ただ、このサンプリングやらリミックスやらのセンスが、今も昔も変わらず、
さすが野田秀樹だわ、と唸る…。特に「夜長姫と耳男」の解釈の話を読んでいると、
元々原作の小説も様々解釈があるようだが、その抽象性と解釈の幅が芝居を
思い起こさせるし、遊眠社時代の野田作品との相性も良かったのかな、とも感じる。
原作があるという割に、しっかり遊眠社時代の野田作品という印象だし。
特に劇中に登場する「鬼」という存在について、場面場面で意味するものが
変わっているのだが、その抽象性と、その結果として、受け手が自由に
解釈・想起できる、その余地の引き出し方が印象的だった。
そのあたりの演出は、歌舞伎座での上演ということを意識したのかは不明だが、
古い脚本、そして故人との約束という、少しイヤらしい言い方をすれば、
随分と過去向きの要素が多い中、2017年夏というタイミングで上演された結果、
ちゃんと自然に「今」を提示し、そして客から引き出していることが、
単純に素敵だし、この戯曲の力を認識させられたところでもあった。

「歌舞伎」といっても、この「野田歌舞伎」、一体どこまでが歌舞伎なのか、
という疑問はあると思うのだが(笑)、個人的には、ド素人が見ても、それなりに
「確実に歌舞伎っぽい」要素を押さえていることが、超ベタだが重要だと感じている。
新作とはいえ、あくまで歌舞伎を(しかも歌舞伎座に)観に来ているのだから、
ある程度のお作法やお約束は欲しいところ…じゃない?。まぁ、歌舞伎座内では、
100%野田クラスタですので、あまり偉そうなことは言えませんがw
(その点、「研辰の討たれ」は良かったし、「愛蛇姫」は攻めすぎたと思うw)
今回の作品、台本は、概ね原戯曲どおりだったはずなのだが、元から設定が
現代日本ではない(飛鳥時代とか)こともあって、歌舞伎との相性も
良かったと思うし、それ故か、歌舞伎要素に関しても、程よく
ポイントを押さえていたように感じた。
冒頭から登場するヒダの王の使者がパンチの効いた女形演技(発声的に)で、
「やっぱ野田歌舞伎はこれだよ~~!」って感じだったしw
(ベテラン役者の女形はマストなのである!)
それと、ちょこちょこと見得を切ったり、ツケ打ちや和楽器演奏が入ってたりと、
まぁ、個人的にはもう少し「歌舞伎」していてもよかったかな、とは思うところもあるが、
概ね欲しいレベルの歌舞伎要素は押さえらえていたので、その結果、
変なストレスを感じずに、安心して観られた部分は大きい。

七之助の女形もやはりよかった。少し声が低めだし。しかも、その声質も含めて、
七之助が演ずる夜長姫は、野田芝居のヒロインのあの記号っぽさにすごくマッチしていた。
勘九郎は、2005年上演時の「走れメルス」にも出演しているが(←これは観た)、
個人的には、なーんか遊眠社の戯曲との親和性が高めな感じがしている。
野田さん、ああいう男優の声質が好きなのかな…。(妻夫木聡も似てる?)
そんなこんなで、世代的に見たことはないのだが、初演の野田秀樹と毬谷友子に
重なって見えるという意見には納得だし、男女の役だが二人とも男性という点と、
長男が父親にますます似てきているという点から(滑舌や声質や声のかすれ方やら…)、
勘三郎と野田秀樹(「表へでろい!」)の二人の演技のことも思い出したり…。

というわけで、結局のところ、最後はコクーン歌舞伎っぽいというか、むしろ普通に
ノダマップを観ているような気分になっていた部分は否定できないが(笑)、
なにはともあれ、(小劇場畑の)自分的には、大満足な作品だった。
客席から「中村屋!」が引き出せていたらもっと大満足だったかなw
…そんなこと言える場面なかった気もするけどw
(歌舞伎の人じゃないので適当なこと言ってますけど許して…)
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by yokusang_09 | 2017-08-17 23:39 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

劇団唐組「ビンローの封印」@鬼子母神

c0025481_2217462.jpg[物語]
1991年、4月6日未明、アマダイ漁で台湾沖に繰り出した漁船が、正体不明の海賊に襲われる。当時その海域では、同様の事件がたびたび起こっていた。
舞台は一年後の東京。元無線技士・製造は、肩に魚の燻製を乗せ松葉杖をつきながら街をさまよい歩いていた。あの海賊の一人は製造の胸に、血にも似た赤いしぶきを吐きかけ去った。製造は、その胸に吐きかけられた謎の染みを見るたびに、襲われた船、その後の乗組員の運命を思い、怒りが冷めずにいる。
たどり着いた偽ブランドの地下マーケットで、製造は日本に密航してきた男と出会う。彼こそは、あの台湾沖で製造に赤い飛沫をかけたあの海賊!目深にかぶった帽子を払い飛ばすと、男と思っていた者は実は女だった――――。その女、ヤン・カウロンによると、赤い染みは台湾のタバコ店で売られているチャイニーズガム、「檳榔」であるという。果たしてヤン・カウロンは敵か味方か? つかの間の道行から、製造は日本に密航してきたヤン・カウロンの不思議な世界に引き込まれていく。
1991年、実際に起こった事件を元に、唐十郎が描いた大海原の復讐劇!荒れ狂う巷の大海原へ、紅テントが今出帆する!!(劇団ブログより)



まだ20歳にぎりぎりならない頃、再開発が始まる前の豊田市駅前の更地(今は大きなビルが建ってます)で観たのが、唐組の芝居だった。そのころはまだ唐さんも出演していて、途中でへらへら笑うような感じで、水槽に入って登場してきたのと、ラストシーンでパネルごとテントの外に役者が飛び出していくのが、すごく印象に残っている。
タイトルはすっかり忘れていたが、ネットで調べたら「闇の左手」という戯曲だったようだ。(便利な時代になったなw)

それから早16年近くが経過し、その豊田公演ぶりに唐組の芝居を観た。
実はここ数年、観る芝居の幅(ロケーション含め)が広がってきたこともあって、どうにもテント芝居が観たい欲が高まっていたのである。で、このタイミング。行くっきゃないがね!
唐組の紅テントといえば、新宿・花園神社のイメージなのだが、今回は雑司ヶ谷・鬼子母神。雑司ヶ谷、降りるの初めてだけど、池袋から1駅離れるとこんな雰囲気なのね…。

正直、だいたいの話の流れはわかるのだが、でもよくわからないところもありつつ。
でもそれぐらいの感覚が、逆に緊張感あって楽しい。特にこの手の芝居だと。
ただ、多分、割と福原さんの芝居で、このテンションに触れていたせいか、思いの外、観慣れている自分がいて、そんな自分に自分で驚きだったが…。いや、むしろアングラ臭のする福原脚本は、元ネタは唐組なのだが…。

心がわしづかみにされて、ひきつけられるとはこのことか!という位、もう舞台にくぎ付けだった…。(あと桟敷だけど観やすかった。)劇中、少しよそ事考えたりしちゃう瞬間が、どうしてもあるのだが、それでも眼球だけは舞台から逸れること一切なし(笑)
(おそらく)初演当時の雰囲気も残しつつ、程よくアップデートされていると感じる部分もあり、
あとは戯曲のリズム感やら演出のスピード感が素晴らしくて、ずっと楽しい。誰が敵で味方かわからないミステリー性、そして、舞台上に広がるアジアの雑多で猥雑な空気感が、テントというロケーションと相まって、もう本当に、アツイの一言。
そして、ちょっと前の香港映画なんかにありそうな感じがして、ちょっと懐かしい。
てか、なんか、唐組の芝居に期待することの殆どが出てきていたのではないのかと。個人的には。
女子のおっぱいも出してたし(でも、全然やらしくなくて、むしろかっこいい)。それと、主人公の製造役の俳優さんが、もう汗ともヨダレともわからない汁をガンガン垂らしながら演技されていて、そういうアツイ演技も素敵。(あの方、この冬ブス会出るんでしょ…?)

16年前に観た作品のことを詳細に覚えているわけではないので、作品の良し悪しよる比較はできないのだが、ただ、自分もそれなりに年齢や観劇経験を積んできたこともあって、あの頃より何倍も楽しめたことは確か。
あと、自分が好きで観ている数々の芝居の原点を見せられたような、そんな感覚にもなった。
キャラメルボックス観ると、「演劇的な心が整えられた~」って思うのだが、テンションは全く違うけど、唐組も「演劇的な心が整えられた~」って気になる…ような気がする。てか、した(笑)

いやー、楽しかった。すごく純粋に楽しかった。

-----------------------------------------------------------------
劇団唐組 第59回春公演
「ビンローの封印」(東京・雑司ヶ谷公演)
2017年5月20日、21日、26日、27日、28日 @鬼子母神

作:唐十郎 
演出:久保井研+唐十郎
出演:久保井研、辻孝彦、藤井由紀、赤松由美、岡田悟一、南智章、清水航平
福本雄樹、河井裕一朗、福原由加里、全原徳和、大嶋丈仁、
重村大介(唐ゼミ☆)、熊野晋也
チラシ原画:KUMA・篠原勝之 宣伝美術:間村俊一
データ作成:海野温子 作曲:安保由夫

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by yokusang_09 | 2017-05-20 22:15 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

小松台東「山笑う」@三鷹市芸術文化センター 星のホール

c0025481_22164675.jpg女手一つで兄妹を育ててくれた母が死んだ。その通夜の夜。
母に反抗し続けていた妹が東京から帰ってきた。
闘病中の母を一度も見舞わなかった白状物の妹を兄が待ち構える。
責められることを覚悟していた妹は自分の身を守るためなのか、
東京から恋人を同伴させた。歓迎する者、呆れる者、様々な反応が入り混じる中、
兄だけは怒りを抑えきれずにいた…。
斎場の片隅にある親族控室で、母への想いを巡り、家族が激しく、
そして醜く、ぶつかり合う。(チラシより)


実は以前からずっと気になっていた、小松台東。
どの公演がきっかけかは忘れたのだが、もしかすると「ぼくかわ」のときだったかもしれない。
(でも、「ぼくかわ」の時は観にいけなかったんだよな。)
なので、今回は念願かなっての初・小松台東。わーい。しかも「山笑う」再演。
本当は、宮崎県出身のオオサワ君と観にいって、そしてコメントを聞きたかったのだが、
よく考えたら、オオサワ君は延岡だから宮崎のことは知らんかもしれん…。

冒頭から、劇場全体を葬儀場に見立てた演出に、「おや?」と思いつつも、
始まってみると意外なほどスタンダードな設定だし、スタンダードな始まり。
ていうか、まぁ、青年団系なのかな。あまり気にしていなかったが。
正直、全編宮崎弁と言われた時点で、少しイロモノっぽいのかと思っていたが(←偏見w)、
全然そんなことはなくて、でもストーリーではちゃんと笑わせてくれるのでよい。
何より、方言を笑いのネタにしないところがいい。勿論、宮崎弁が故の面白さもあるのだが。

他人に言わせれば妙な上から目線っで「よくある話」と言われるようなことでも、
やはりそれぞれの家庭なり個人なりの事情というのはあるもので。
この家族の事情というのも、実際に知り合いにいたら、結構特殊だと思うのだが、
それでも、特別派手な印象もないし、通常であり得ない話ではない。
そこに、「妹が彼氏として連れてきた男性が、実は彼氏ではない」という、
逆にドラマならあり得るけど実際にはかなりあり得ないが、
「なんか大都会・東京ではあるかもね…」みたいな、この日常と非日常(?)の
絶妙な匙加減が大変良かった。

絶妙な匙加減といえば、登場人物のキャラ立ち具合もこれまた絶妙で、この芝居の
面白さの重要なポイントだったかも、と思っている。
特段沢山出てくる、という印象でもないのだが、全員キャラクターがはっきりおり、
兄妹の緊張感も、通夜の日の酒の席という非日常空間におけるワチャワチャ感も、
シンプルに、しかしはっきりとした味付けになっていた、という印象。全員好き(笑)

故郷(田舎)を離れてた人間にとって、故郷という存在は、好意的に捉えていたとしても、
やはり単純なノスタルジーだけで、「いいね」と全肯定ができるものでもないのだと思う。
かくいう私も半分くらいそうなのだが…。
東京に出た妹と宮崎で暮らし続ける兄の各々の生き様や、二人の対立を含めてのやりとりを
見ていると、実家から離れて暮らすものとしては、やはり地元のことを思い出してしまうし、
「イオン」というフレーズにでさえ、胸が締め付けられる思いになるのである…。

というわけで、大変良いお芝居でした。お気に入り。


--------------------------------------------------------------------------
小松台東「山笑う」
2017年5月19日~28日 @三鷹市芸術文化センター 星のホール

作・演出:松本哲也
出演:川村紗也、瓜生和成(東京タンバリン)、山田百次(劇団野の上/青年団リンクホエイ)、
荻野友里(青年団)尾倉ケント、松本哲也
舞台監督:内山清人(サマカト) 美術:泉真 音響:星野大輔(サウンドウィーズ) 音響操作:大矢紗瑛
照明:中佐真梨香(空間企画) 演出助手:福名理穂(ぱぷりか) 宣伝美術:土屋朋子(citronworks)
舞台撮影:保坂萌 制作:塩田友克、小松台東 主催:(公財)三鷹市スポーツと文化財団

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by yokusang_09 | 2017-05-20 17:13 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

クロムモリブデン「空と雲とバラバラの奥さま」@吉祥寺シアター

c0025481_22290711.jpg
【あらすじ】
森の奥のそのまた奥に奥様の細道がありました。嫁ぎ嫁いだ花嫁が嫁いで驚愕!
二人の旦那がお出迎え、他にも奥様いるじゃない、お妾さんもいるじゃない、
姑さんも沢山いれば、女中も奴隷もてんこ盛り。
バイトのような花嫁は、派遣妻になれるのか!正妻になれるのか!
別れる時は分裂してもらいます!
頭かくしてツノかくさず!
ブキミなコトブキ!ウキウキコトブキ!
何故人は嫁ぐのか!
何故人は嫁を目指すのか!
(劇団ウェブサイトより引用)

実は今度関わることになった芝居の衣装仕事の参考に、
というなかなか事務的な動機もあって観にいくことにしたんですけど。
というわけで、初めてのクロムモリブデン。
でも、青木さんの芝居自体は昨年の「ぼくかわ」で観てはいたんですけど。
あの芝居好きだったもんね~という思いもありつつ。

いやー、トリッキーでいて繊細。
「ぼくかわ」の時以上にトリッキーで繊細、というのが第一感想。

パンフレットに、「結婚制度に疑問を持っていた云々~」みたいな記述が
あったのですが、わし、この感覚、個人的にはわかるんです。
だって、わし、プライベートが凄く縦割りですからw
友人のお付き合いジャンル分けとかも結構ありますし。
ですから、役割機能別に嫁がほしいって、その発想自体はわかりますわ…。
もちろんここまでやろうと思いませんし、そもそも嫁にそんなこと求めないけど。
でも、もっと精神的なつながりで一緒になれたらいいのに、とかは思いますかね。
これ、ほんと以前から言ってますけど。
てか、わしの結婚観とかどうでもいいんですけどね。

のっけから、過去なのか現代なのかも曖昧な世界から、登場人物が
わんさか出てくる混沌とした世界。
はた目から見るとかなりギャグなのに、
あの超閉鎖的な空間がゆえに成立してしまっている、奇妙な人間関係。
見方によっては、大人計画の松尾脚本にありそうな感じもしなくはないのですが、
その辺は、イキウメあたりにも通じる洗練さで、大変クリアな感じで、
それでも混沌とした世界が広がっておりましたです。
あと、場転がコロコロあるってのは、第三舞台を思い出したんだ。
そういう空気感もあったかも、
というか、整理された混沌がゆえに、
次第におかしくなっていく登場人物たちの、その静かな変化が感じ取れるし、
いつの間にやら崩壊に向かっていくコミュニティの空気感が、
ホントに「いつの間にやら」自分の中でも共有されている感覚というのが、
結婚制度云々の話と合わさって、不思議な緊張感と一体感。

というか、人間、やっぱり退屈はよくない。
退屈を、トリッキーな方法で処理しても、退屈の悪い部分が倍になって返ってくる…。
自分が暇だとロクなこと考えない人だもんでw
そういうのも、地味に勝手に共感しながら、地味に勝手に息苦しさも感じつつ。
(このままだと、話題が大幅に逸れるもんでやめときます)

とはいえ、その静かでスマートな退屈と混沌も、最後はまさかの超絶演劇的な処理で
終わっちゃったので、最後はぽかーーーーんとしておりました(笑)
えぇ?えええええ~?みたいな(笑) いつもああなの…?
ただその、呆気にとられた終わり方がゆえに、妙に物語の後味が残っているも事実でして。
でも、あれ、ホントなんだったんだろ…。

そう、当初目的の1つだったスタッフワークですが、事前情報どおりの緻密さ。
かなり抽象化された美術でしたが、小道具の具象性&センスもあって、
しっかりと具象空間が立ち上がっていたなぁ、と感じたりして、面白かった。
衣装に関しては、あれ、結構作ってますよね…? でも、決してやりすぎない、
リアルと空想の間を繋ぐような、あの衣装バランスはこれまた素敵。
すごく勉強になりました。

というわけで、最近あんまり経験したことのないタイプの満足感に包まれております。
いや、楽しかったし、面白かったんですけど。うん。なんなんだろ。

----------------------------------------------------------------------------------------
クロムモリブデン 「空と雲とバラバラの奥さま」
(東京公演)
2017年4月20日~30日 @吉祥寺シアター

作・演出:青木秀樹
出演:池村匡紀、岡野優介、葛木英、小林義典、武子太郎、戸村健太郎
土井玲奈、花戸祐介、森下亮、ゆにば、吉田電話、渡邉とかげ 
浅場万矢(時速8次元)、阿部丈二、石井由多加
音響効果:笠木健司 照明:床田光世
美術:ステファニー(劇光族) 舞台監督:今井康平(CQ)
演出部:入倉麻美 音楽担当:yasuski 造形班:増田靖子、定塚由里香、朝倉靖子
チクチク隊:並木裕子、青木絵璃、古村結 
宣伝美術:尾花龍一(MONSTERS,INC.)、谷本康則 宣伝写真:安藤青太
Web:小林タクシー(ZOKKY)
サポートスタッフ
[east] 紺野憲和(自己批判ショー)、中宮智彩、吉田綾美、澤貴恵、大野美紀、平井隆也(劇団円想者)
[west] 井上愛唯、池田みのり
制作:床田光世、野崎恵、安井和恵、重晶子
企画・製作:office crome

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by yokusang_09 | 2017-04-29 22:27 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)


生きて名古屋に帰って来たよ。


by yokusang_09

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