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ヌトミック「ワナビーエンド」@愛知県芸術劇場小ホール

c0025481_22101436.jpg【演出コメント】
ラブストーリーを上演します。本格的に大人の自覚が出てきた20代半ばの男女。終わりゆく青年期をヌトミックなりに描いた作品が『ワナビーエンド』です。もちろんそれだけではなく、せっかく大勢の 人が集まる劇場空間で、今出来る遊びをとことんやっていこうと思います。ヌトミック としてはおよそ2年ぶりの物語。そして初の2都市ツアー。ご期待ください。
(チラシより引用)


昨年、AAF戯曲賞の公演で額田作品は観ましたが、
本家ヌトミックが芝居をするのは観たことがなくて。
というわけで、上京予定をちょいと調整して観てきました。

あ~~、なるほど、これは横浜でやってそう(笑)
ストレートな芝居、とは言いにくい気もするのだが、
演出の(純演劇畑との)土壌の違いは感じる。
なんといいますか、グルーヴ感はありました。ええ、確かに。
それと、なんか、あれは、一種のDJプレイな印象(ラジオじゃない方)。
喋ってるからラップじゃなくて、どちらというと、テクノとかそういう流れからの。
自分の中ではそういう音楽が立ち上がっていた。実際は鳴ってないのだが。
見えない・聞こえないけど、あの芝居には音楽があった。
なるほど、「楽譜のような上演台本」だわ~。

作りとしては、チェルフィッチュを想起させられる部分もあるし、
地点っぽいなと思う瞬間もある。意外なほど身体が存在感を持っていた印象。
若さと、エネルギーと、隠れたエロスみたいなのが、無機質な質感なんだけど、
でも温度と湿度をもって伝わってくる感覚がなんとも。
温度と湿度に関しては、プリミティブな意味で、役者と客席との距離感というのも
影響しているとは思うけれど。
あのあたりは、演出もあるけど、キャスティングも大きいのかな。
さわやかさがいい。

男子だけが、舞台美術として垂れ下がっていたプチプチを踏んでいるところ、
きっと男子の思考を表しているに違いない。(自分の思い込みで快感、のような)
というか、あの男女のディスコミ具合が、極めて現代的、というわけでも
ないのかもしれないが、「あー、わかるわ~~~」といった具合に、
私はグルーヴ感を感じちゃってましたけどね。
ちなみに、私は、きっとプチプチ踏んじゃうんだけど、
プチプチを踏んじゃうことが怖い男子です。
30代も後半になって、なんか深いコミュニケーションが怖くなってきた…というw
(後は省略します)

体調面から途中何度か眠たくなってしまうことがありましたが、個人的には
割と楽しめた作品でした。今度はもっと元気な状態で観たい。

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愛知芸文フェス/愛知県芸術劇場ミニセレ
ヌトミック「ワナビーエンド」
(愛知公演)2018年11月2日~4日 @愛知県芸術劇場小ホール

作・演出・音楽:額田大志
出演:中澤陽、深澤しほ
舞台監督:高橋将貴  舞台美術:タカハマハヤ  音響・衣装:額田大志 
照明:松本永(eimatumoto Co.Ltd.)、佐々木夕貴  宣伝美術:三ッ間菖子
記録:徳永綸  演出助手:櫻谷翔吾  制作:河野遥 
協力:飯島商店、みんなのひろば 製作:ヌトミック

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by yokusang_09 | 2018-11-03 15:08 | 芝居を観てきた2018 | Comments(0)

劇団B級遊撃隊「不都合な王子」@千種文化小劇場

c0025481_01100425.jpgB級遊撃隊、千種文化小劇場で観るのって初めてなんじゃないかな。
森昌子の「越冬つばめ」とオスカーワイルドの「幸福の王子」を
モチーフにした作品とのこと。
演歌的な話なんだろうか。幸福の王子って。でも寒い土地の話だでなw

【あらすじ】(劇団HPより)
そこはどこか北の町…
ぐるりと見渡せる小高い丘にある広場…
そこにはかつて町を見下ろすように一人の男の銅像が立っていた…
町の人々もそれが誰の銅像なのか誰も知らない…
偉人か英雄か…
誰も知らない…
今はもう崩れ去って台座の上には足首から上は無い…
寂れた広場にはポツンと一人の女…
それは娘盛りを無駄にしてしまった越冬つばめ…

いやーーーー、面白かった!戯曲も演出も役者もよかった。
ダメな男についつい献身的に尽くしてしまったものの、
最終的に裏切られる冒頭の流れは少し心が痛みましたけど(笑)

いつもの不条理っぽいのを想定していたのですが、実のところはアングラ寄せ。
アングラだと思うと、ストーリー運びやら演出やらに合点がいくんですよね。
ただ、ガチのアングラ劇団ではないので(笑)、その辺はライトな口当たりなんですけど、
要素はちゃんと押さえてあった感じで、唐組のことをちょっと思い出したりw
冒頭の女の設定とか、思いっきりアングラですやん、って感じだし、
佃さん演じるおっちゃんの役どころと登場タイミングは、
唐組で言うなら唐さんポジションよね。普段よりもアクティブかつスピーディーで、
ちょっとスリリングな展開は、新鮮で心地よかったです。
とはいえ、ベースはやっぱり安定のB級遊撃隊クオリティなので、
そこんところの安心感はキープしつつ。

そして、戯曲と演出もいいんだけど、今回は役者も全員魅力的。キャスティングが秀逸。
客演の鈴木さんがかなりいい仕事をしておられましたし(肉まん食べまくってた…)
役者全体の中でもよいアクセントになっていたし、よい仕事してたと思います。
山口さんのお嬢様スタイルは驚きましたけどw、ちゃんと少女でしたね。
まどかさんの謎の女役も、ドはまりで改めて器用な女優さんだと認識。
そして、なんといっても佃さんが本当に上手い。むっちゃくちゃ上手いの。
失礼を承知でw、ちょっと驚いてしまうくらい、ハマってたし上手い。

いつものようで、いつもとちょっと違う、何だか、
改めてこの劇団の魅力を見せてもらったって感じでした。
あー、面白かった。シンプルに面白かった。好き。

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劇団B級遊撃隊 「不都合な王子」
2017年11月18日~19日 @千種文化小劇場

作:佃典彦
演出:神谷尚吾
出演:佃典彦、山口未知、徳留久佳、まどか園太夫、大脇ぱんだ、梅宮さおり、
三井田明日香、鈴木理恵子
舞台監督:渡辺智大(株式会社制作舎) 照明:坂下孝則 音響:椎名KANS(Garage Inc.)
音響オペ:角岡栞(喜劇のヒロイン) 大道具:渡辺智大(株式会社制作舎)
小道具:才谷組 衣装:上海リル's カンパニースタッフ:吉村公佑
銅版画:森田朋 宣伝美術:KINGS ROAD
制作:劇団B級遊撃隊制作部 主催:劇団B級遊撃隊

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by yokusang_09 | 2017-11-18 22:07 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

少年王者舘「人工恋愛双曲線」@七ツ寺共同スタジオ

c0025481_01003093.jpg愛知県の生んだ小酒井不木※の生んだ百を越える小説群のエレメントを、とろとろになるまでグツグツ煮込み、毒と心臓と探偵とあやかしとごまかしと犯人と分身と網膜と偶然と卒倒と錯誤と月と血と猫と詩と科学と犬神と躓きと覚醒と催眠と容疑者と遊技者と手術と酒壜と贈り物と脅迫状とアリバイと接吻と闘争と逃走と監獄と大須と沈黙と名古屋と哄笑と恐怖と宝石が渾然一体したブキみめ麗しい味の缶詰めにいたします。 (やっとかめ文化祭HPより)


本公演ではないから、ちょっと宣伝が控えめだったのかなぁ。
結構短いスパンで、少年王者舘の新作公演です。
今回は、愛知県出身の作家・小酒井不木の作品が元ネタだそうで。
お恥ずかしながら、全然読んだことがなかったので、事前に少しだけ情報を調べましたが、
まぁ、ホント事前に触りだけって感じなのでほぼ意味なし…。

さすがに古い小説をモチーフにしているので、場面場面でいつもよりストーリーがある感覚。
でもその辺を恐らくむちゃくちゃパッチワークしてるし、
なんといっても「ごった煮」らしく、確かにごった煮でした(笑)
原作なんてあってないようなもんですわ、多分。
しかし、劇団のビジュアル路線と小説が描く時代がハマっているので、良い意味で
カオス感は控え目で、むしろ綺麗に収まっていたのではないか、という印象。
そう、衣裳がいつになくテーマがはっきりしていて、それが妙にかっこよかったです。

ちょっと面白いなと思っていたのが、美術でして。
大きなボックスをゴロゴロ動かしながら場面転換をしていくのですが、
それ、よく考えると普段の王者舘ではあまりみないんですよね。
それで、その結果、いつもよりも奥行きのある空間使いになっていて、
それが客席の自分からすると普段の観慣れた視点を変えてみたような感覚で印象的。
パーツパーツでストーリーがしっかりしているけれど、繋がっていないようで繋がっていて。
ダンスも多めで、抜けのある空間使い。
基本的なテンションはいつもの王者舘だと思うのですが、まさに演出なんでしょうけど、
普段よりもパキッとしたテンポは、普段よりもちょっとだけ音楽劇とか
ミュージカル風な印象を勝手に感じておりました。
(そんなにずっと歌って踊ってたなんてことはないんですけど。)
あと、夕沈さんが、少年役だったり、被り物で出てきたり、というのもよかった。

なんというか、風が吹き抜けて部屋の空気が入れ替わるような、そんな感じの爽快感。
ちょっといつもと違うんだけど、やっぱり持ち味はしっかり出ていて、やっぱり王者舘。
そのバランス感が、結果として、洋服で言うならばちょっとよそ行きな感じがして、
その新鮮さが楽しかったです。やっぱクールでしたね。

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やっとかめ文化祭2017
少年王者舘 「人工恋愛双曲線」
2017年11月2日~8日 @七ツ寺共同スタジオ

原作:小酒井不木
脚色・演出:天野天街
出演:夕沈、雪港、小林夢二、宮璃アリ、池田遼、る、カシワナオミ、
岩本苑子、珠水、井村昴、echo
舞台美術:田岡一遠 美術製作:小森祐美加 照明:小木曽千倉  
音響:岩野直人(ステージオフィス)映像:田中博之 映像操作:小川雄基  
舞台監督:中山秀一、平岡希樹 振付:夕沈、池田遼 音楽:珠水、きのこともぐら  
チラシ:アマノテンガイ  チラシロゴ:田岡一遠 写真:羽鳥直志  
企画協力:小松史生子(金城学院大学文学部教授) 
制作協力:紺野ぶどう(大名/Contondo)
受付:若旦那家族/原千晶  制作:宮璃アリ、篠田ヱイジ

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by yokusang_09 | 2017-11-04 23:54 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

愛知県芸術劇場「それからの街」@愛知県芸術劇場小ホール

c0025481_01110283.jpgわしが、年に1回、どういうわけか、名古屋で構えてみる芝居ってのが
このAAF戯曲賞受賞記念公演かもしれん。関係者じゃないけどw
なんか、たいてい何かしら攻めてくるから…。

今回は、審査員の一人、第七劇場の鳴海さん演出。なんかうれしい。
(審査員、みんな演出家だし、それぞれ観たいので。)
しかし、脚本を事前に見て驚きましたけど、なんちゅーか、
案外ザックリといいますか、世界がパラレルに流れてるところがあって、
台詞が被ったり、同時進行したり、つながったりって…
あれ…これって…名古屋でいうなら王○舘…w みたいな気持ちになり、
「ちょっとこの王○舘のお膝元で、いい根性してるじゃないの~」みたいな、
ウザ外野モードな気持ちも持ちつつw(←冗談です)鑑賞。

作者は元々は音楽系の人で、ミニマルミュージック等をやっておられるとのことで。
そういわれてみると、戯曲を見たときの印象は、自分が今まで見た演劇の台本とは違って、
ちょっと楽譜のような印象もあったのは事実。
「音楽的と捉えるか、演劇的と捉えるか」みたいなことが当日パンフの記述にあって、
正直言うと、鳴海演出の今回の作品には、演劇的なものは感じていたけど、
あまり音楽的な要素は見いだせてなくて(踊ってたりもしてたけど)。
そうしたら、実はそういうことで、今回の作品ではすごく
「演劇」に寄せることに注力したんだそうな。
ワシ、そういう点では完全に演劇思考なので、普通に受け入れちゃってたよ…w
でもなに、ついついテキストから意味を見出そうとするのって、
やっぱ、あれかね、一応は演劇思考なの…?
(これ以上深く考えるのはやめますw)

行動を起こす/起こさない、去りし者/残されし者という関係性も
気になってはいたけど、物事や行動を繰り返す(時には他とリンクする)中で、
形骸化したり欠落したりしていく様子が、今の自分には大変印象的だった。
別にそれが悪いことだとは一切思わないし、人間が本能的に行っている、
ごく当たり前のことなのかもしれないけど、こうやって辛いことも嬉しいことも、
大なり小なり忘れて、熟して生きていくんですよね…という。
しかし、それのことが、何か大きな気持ちの変動を伴って起こるものではなく、
流れるようにして事が起こって、受け入れ、段々と喪失していく、
というそのプロセスは、色んな事に当てはめれてしまうし、それ故色々想起してしまう。
そのことが、批判のような、同時に自責のような、でもそんなことは切り離して、
ただそういう事実が示されていたような。
とはいえ、これ、色々そぎ落としての演劇でしょ? みたいな思考が結構ぐるぐる
回ってしまって最終的に、結構心にずっしり来ちゃう。

今回の公演、役者は事前段階からとっても気になっていたのだが、
予想していたよりもずっとよかった。
雑なコメントになってしまうけど、やっぱり役者力がすごい!
あの役者だから成立していた部分もあったかな、という印象。
中林さんと茂手木さんは何度か演技は観たことがあって、
名古屋で観られる喜び~みたいな
感じだったけど、
あとの初見の2人もこれまた、すんごくよくて。

そういう意味で言うと、ホントに、演出をはじめとするスタッフと
役者で作り上げてますな、今回の作品。なんちゅーか、この構築された感じってのが、
自分は結構好きだったのかもしれない。別に関係者じゃないから、
苦労に対する贔屓目みたいなものは一切ないし、そういう意味でもないんですけど。

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愛知県芸術劇場 第16回AAF戯曲賞受賞記念公演「それからの街」
2017年10月21日~23日 @愛知県芸術劇場小ホール

作:額田大志
演出:鳴海康平(第七劇場)
出演:中林舞、南波圭(なんばしすたーず/青年団)、茂手木桜子、山内庸平
振付:福留麻里 サウンドアドバイザー:池田萌
照明:藤原康弘  衣装:清川敦子
演出助手:蜂巣もも(青年団演出部) ドラマトゥルク:長島確
宣伝写真:松見拓也 宣伝美術:三重野龍
舞台監督:世古口善徳 制作:村松里実、高橋志野
プロデューサー:山本麦子

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by yokusang_09 | 2017-10-22 21:03 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

日本総合悲劇協会「業音」@東京芸術劇場シアターイースト/青少年文化センター アートピアホール

c0025481_00531842.jpg【あらすじ】
限りなく深い人間の“業”が奏でる物語…。
母の介護をネタに、演歌歌手として再起を目指す落ちぶれた元アイドルの女・土屋みどり(平岩紙)は、借金を返すために、マネージャー・末井明(皆川猿時)と共に自身が運転する車で目的地に向かっていた。途中、自殺願望を持つ夫・堂本こういち(松尾スズキ)と、夫をこの世につなぎ止める聡明な妻・杏子(伊勢志摩)と遭遇し、不注意から杏子を車ではねてしまう。
杏子は脳を損傷し、一生涯植物人間として生きる事に。
怒り狂った堂本は責任を迫って、土屋を拉致連行し、 “有罪婚”と称し、二人は結婚。奇妙な共同生活が始まる。
芸能界を夢見て東京に出てきたものの、結局体を売る事でしか生きていくことの出来ない堕落した姉・ぽんた(池津祥子)、弟・克夫(宮崎吐夢)、年を偽わってまでも孤児院に入る事に執着する屈折したゲイの男・不動丈太郎(村杉蝉之介)、正体不明の老婆・財前とめ(宍戸美和公)らを不幸のループに巻き込み、負の連鎖は更に奇怪にうねってゆく…
やがて、末井とも関係を持つ土屋は、父親がわからない子を身ごもり出産するのだが、堂本との時間に執着し、子供の命を引き換えにしてまでも、「10ヶ月の夫婦生活の元を取るため」と、堂本とのわずかな触れ合いを選択するのだった。
“それ”をやらなければ物事は上手く運ぶのに、
どうしてもやらずには先に進めない各自の“固執”。
その“固執”が“業”を生み、空回りするそれぞれのエネルギーは、
不協和音のような音楽を響かせてゆく・・・



東京で観て、せっかくなので名古屋でももう1回観てしまった。
けど、2回観たら、なんか色々とわかってきたし、やっぱりよかったな、と。
(ちなみに、名古屋の分は、自分への誕プレを兼ねているw)

結構めちゃくちゃな話はなずなのだが、思いの外さらさらと流れて行ってしまう。
なんちゅーか、筆が走ってるな、という印象。でもむしろその疾走感が心地いい。

初演時は荻野目慶子が土屋みどり役で、何やらそこに随分と苦戦していた印象、
というような感想をみかけたことがあったのだが、今回は劇団員の平岩紙。
というか、踊り子役以外、全員大人計画で、これ別名義でやる意味あるのか?と
思ったこともあるが、全く何の問題もないのでこれ以上は触れないw
というわけで、今回は、劇団員である意味手堅くまとめてきたのかな、
と勝手に思っていたのだが、この作品だったら、むしろ劇団員純度高めで観たかったので、
今回のキャスティングは嬉しい。
でも、まぁ、劇団員の皆さんも、いつの間にか年齢を重ねておられましたな…。
「え!まだこんなことやっちゃうんだw」とか思った瞬間があったことは否定しないけどw、
でもそこはやはり大人計画の劇団員、むしろ円熟味の増した演技で、すぐに引き付けれた。

個人的なこともあってか、とにかく登場人物の業深さというものが、
そりゃあもう、うわーーーーっ!!と舞台上にあふれだしていて、
その勢いを感じながらも、「ああ、人間って結局こうなのかも」と、
冷静にそれを見ている自分もいた。
人間の醜い部分を見せつけられた~、というよりは、自分自身にも当然ある業と、
その深さを、舞台で提示された結果、どちらかと言うと肯定的な感覚を覚えた。
そりゃ、自分自身の業と向き合うために、神に許しを請うたりする方法(=宗教)も
あるのだろうが、でも、人間なんだからどうしようもないでしょ、そんなもんでしょ、みたいな。

平岩紙の演技が、そんな感覚を強力な圧で客席に押し出してきていて、
思わず背筋が伸びたし、なによりあの勢いで、サラリとここまで言い切ってしまう
松尾スズキのこの戯曲にも、近年の作品とは違った、
(随分平たい言い方ではあるが)ある種の凄みを感じるのであった。

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日本総合悲劇協会 vol.6
「業音」
(東京公演)2017年8月10日~9月3日 @東京芸術劇場シアターイースト
(名古屋公演)2017年9月13日~14日 @青少年文化センター アートピアホール

作・演出:松尾スズキ
出演:松尾スズキ、平岩紙、池津祥子、伊勢志摩、 宍戸美和公、宮崎吐夢、
   皆川猿時、村杉蝉之介、 康本雅子+エリザベス・マリー(ダブルキャスト)
舞台監督:菅田幸夫  照明:佐藤啓 音響:藤田赤目 舞台美術:池田ともゆき 
衣装:戸田京子 ヘアメイク:大和田一美 振付:康本雅子 映像:上田大樹 
音楽:伊藤ヨタロウ 演出助手:大堀光威、佐藤涼子 衣装助手:伊澤潤子 
宣伝美術:榎本太郎 宣伝写真:森崎恵美子 宣伝スタイリスト:森保夫 
宣伝協力:る・ひまわり票券:河端ナツキ 
制作:北條智子、赤堀あづさ、横山郁美 プロデューサー:長坂まき子
企画・製作:大人計画、(有)モチロン

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by yokusang_09 | 2017-09-13 22:45 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

少年王者舘「シアンガーデン」@七ツ寺共同スタジオ

c0025481_22124772.jpg 外では雨が降っている。
いつ降り始めたかは定かではない 。
ひょっとしたら五億年ほど前から降っているのかもしれない、と、男は思う。
ぼろアパートの四畳半ー間の部屋に寝転んで、ただ、じっと天井を見つめる男。
彼は、何もかもを失って、何もかもを忘却の彼方へと追いやった。
「俺、まだ生きてるのかなぁ」なんてことを、時々ぼんやり思ったりしている。
ある時、天井板の隙間から、一粒の水が男の頬に落ちる。
雨漏り。
久しぶりの現実的な感触に少なからぬ衝撃を受けた男は、ゆっくりと身を起こし、天井を見上げる。
一ぽたっ。
なんとも言えない間をおいて、再び天井の一点から水が落ち、腐った悦に吸い込まれる。
男は次の一滴を待つ。
一ぽたっ。
天井から畳に視線を移す男。畳には染みができている。
男は次の一滴を手のひらで受けてみようと思い、染みの上に手のひらをかざす。
一ぽたっ。
くすぐったい感触を伴って、手のひらに落ちてきた液体をじっと見つめた男は、「なんかキレイだな」と、久しぶりに声をだす。
そして男は、この「一粒の水」 を、集めてみたい衝動にかられる。
虎馬鯨 (アイホールHPより引用)



今まで見た作品は、すべて天野天街作・演出だったので、
実は天野作品以外の王者舘作品を見るのは初めて。
普段の天野作品って、実は場や空間づくりに重きが置かれていたのかな、
なんてことを思ったり。いや、なんちゅうか、この表現が適切かどうかわからないけど、
すごくいつも以上に芝居してる印象だったので(笑)
演出は天野天街だからなのか、戯曲自体もそういう作りなのか、ベースのリズム感や
空気感はやっぱり王者舘なんですけど、リズム寄せというよりは、芝居寄せなので、
ぶっちゃけてしまうと、私はテンポ的にはちょっと好きになれない部分が多かったかも。
ジェネリック感といいますか…。台詞が入ってない?というようなところも
そこが大きいのかなとは思いますけど。まぁ、王者舘の名古屋公演ですからねw)

とはいえ、すべてがジェネリック立ったかと言われると、ふと、凝縮されたかのような
王者舘色が牙をむいてきまして。いつもループを繰り返したりして、
なんだか夢心地な気分になってくるのが特徴だと個人的は思っているのですが、
この芝居って本当に夢の中の世界みたいなんですよね。シーン同士の接続の仕方が。
アパートの別室という設定なんだけど、隣の部屋にまた同じ人が違う役割で存在していて、
そんな感じで世界が、一見乱暴そうに、でも何食わぬ顔で連続していく。
夢心地というよりも、夢そのものが舞台に上げられている感じだし、なんかもっと、
脳みその中を直接覗いてるような、そんな感覚だったかも。

劇中、ちょっとノレなかった割には、最後の最後で残った後味がなかなか強烈で、
不思議な感覚がしばらく残る舞台でした。ハイ。


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少年王者舘第39回本公演 
「シアンガーデン」
(名古屋公演)2017年8月10日~13日 @七ツ寺共同スタジオ

脚本:虎馬鯨
演出:天野天街
出演:夕沈、小林夢二、る、岩本苑子、井村昂、篠田ヱイジ[名古屋公演のみ]
   山本亜手子[名古屋・東京公演のみ]、水柊[兵庫公演のみ]
   中村榮美子[東京公演のみ]、がんば(きのこともぐら)[兵庫公演のみ]
舞台美術: 田岡一遠  美術製作: 小森祐美加
映像: 浜嶋将裕  照明: 小木曽千倉 音響: 岩野直人(ステージオフィス)
舞台監督: 岡田 保(演劇組織KIMYO) 振付: 夕沈、池田遼
音楽: 珠水、FUMICO チラシ: アマノテンガイ
写真: 羽鳥直志 撮影: 山崎のりあき、田中博之
制作: 宮璃アリ、水柊、藤田晶久、篠田ヱイジ
主催:少年王者舘

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by yokusang_09 | 2017-08-10 22:00 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

コトリ会議「あ、カッコンの竹」@ナンジャーレ

c0025481_11255.jpgこの春、名古屋で一番楽しみにしていた芝居といっても過言ではない!
ってくらい楽しみにしていたコトリ会議。
一緒に5都市ツアー公演をやって以来ぶりの再会です。
とはいえ、実は本公演はこれが初めてでございまして。

相変わらず不思議な宇宙人が冒頭から登場してきて…。
竹藪に住んで、何やら恐ろしいことをしているっぽい野おかあさん…。
そして、どういうわけか死にたい人がたくさん登場しちゃうんですね…。
あと、また脳みそいじってたし。

竹藪というシチュエーションだったり、宇宙人が登場してきたり、
子供が誘拐されたり、ずっと竹藪で過ごす人物がいたりと、
少し古典っぽい香りもしつつ、それでもやっぱりSFっぽい香りもしつつ。
(トータルすると、竹取物語だったり、不思議な設定の御伽草子のような…?)
でもすべてがコトリ会議(というか、山本さん)の紡ぎ出す世界に包まれていて、
登場人物は死にまくるし、好意の類は全然実を結ばないのですが(笑)、
最終的に愛とやさしさに満ち溢れまくっておりました。
愛する人と人生を一緒に重ねるって素晴らしい。
愛こそすべてですよ、やっぱり。(すっげー雑な感じで言ってますけど)
そして、なぜだか、そんな愛と哀しみに気持ちよく包まれながら、
健やかに絶望して、そっと死にたいな~気分にもなっちゃったりして。

しかし、本公演を純粋に客の立場から見て思ったけど、この味わいについて
明確に説明するのが難しいな…とも思った。
(結構好き嫌い分かれるみたいですからね…)
少したってから振り返ると結構曖昧なんですよね、記憶が(笑)
あと、なんだかんだで独特。
でも、「この部分のストーリーがよかった!」というよりは、
戯曲も含めてなんですけど、舞台から醸し出され、
伝わってくるものが好きなのかな、と。

野おかあさん役の牛島さんは、今回も相変わらず超素敵な芝居をされておられましたし、
宇宙人の妹役の要さんもいい仕事してました。客演さんもみんな素敵。(特に女優陣が…!)
正直、朝11時から観劇とかちょっとしんどかったんですけどw、
でも朝から優しい気持ちになれたし、芝居も面白かったので、
わたしゃ大満足でした。名古屋で観られてよかったー。

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コトリ会議 お礼してまわるツアー(演劇公演15回め)
「あ、カッコンの竹」
(名古屋公演)
2017年4月21日~23日 @ナンジャーレ

作・演出:山本正典
出演:牛嶋千佳、要小飴、若旦那家康(以上、コトリ会議)
大石丈太郎、野村由貴、藤谷以優、まえかつと、三村るな、本田椋(劇団 短距離男道ミサイル)
舞台美術:柴田隆弘 音響:佐藤武紀 照明:石田光羽 
照明オペレーション:木内ひとみ(東京のみ) 舞台監督:柴田頼克(かすがい創造庫)
衣装:山口夏希 小道具:竹腰かなこ 音楽:トクダケージ(spaghetti vabune!)
宣伝美術 小泉しゅん(Awesome Balance) 制作:若旦那家康
制作助手:渡邊歩惟
制作協力:佐和ぐりこ(オレンヂスタ)、秋津ねを(ねをぱぁく)、杉浦一基
主催:コトリ会議

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by yokusang_09 | 2017-04-22 15:51 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

パルコプロデュース「キャバレー」@刈谷市総合文化センター

c0025481_23231630.jpg【あらすじ】
1929年、ナチス台頭前夜のベルリン。キャバレー「キット・カット・クラブ」では、毎夜毎夜、退廃的なショーと、刹那的な恋の駆け引きが繰り広げられている。
妖しい魅力でお客を惹きつけるMC(司会者)。そしてショーの花形、歌姫サリー・ボウルズ。
ここは、日ごろの憂さを忘れられるバラ色の場所。
大晦日の晩、アメリカから到着したばかりの、駆け出しの作家クリフは、たちまちサリーと恋に落ち、一緒に暮らし始める。彼らが暮らす下宿の女主人シュナイダーは、長年女一人で生きてきたが、心優しいユダヤ人の果物商シュルツと結婚することを決意。しかし迫りくるナチスの脅威に、結婚を断念せざるをえなくなる。希望に溢れていたサリーとクリフにも、ナチズムの足音は高く聞こえ始め、そしてついに、キット・カット・クラブにも・・・・
(公演特設ページより引用)


実は今年初めての観劇でした。キャバレー。
芝居制作にかかわってるとなかなか観に行かなくなっちゃうんですよ。
まぁ、単純に忙しかったからなんですけど。

長澤まさみ主演で話題になっていた今回の作品ですが、実は初演も観てまして。
(こういうとき、自分の書いたブログの感想が備忘録として役に立つ)
人気公演になるし、初演観てるから遠慮しとこうかと思ったのですが、
この作品楽しかったし、なにより一緒に行こうとご近所様に誘っていただいたので、
行ってきたというわけです。ただ、座席はS席にしたし、新しいホールなのもあって、
どらめちゃ観やすかった…。

恐らくですが大きく台本が変わっているところはないし、
演出も大幅には変ってないんじゃないかな。
少し舞台装置が大きくなった気もしますが、基本同じ路線なはず。
そんな中、一番残った印象としては、
なんか、普通のミュージカルになったなぁ…ってところかなw
というと、面白くなかったかのかと思われるかもしれませんが、
別にそういうわけではなくて。少し補足すると、ミュージカルとしての安定感があった
というか、まっとうにミュージカルしてた、というか、そんな感じ。

自分がそういうものにかなり見慣れてしまったというのもあるかもしれませんが、
個人的には石丸幹二がやっぱりでかいのではないかと。
だって、元・劇団四季の看板俳優ですよ(笑)超正統派だがね!
エムシー役、初演は阿部サダヲでしたからね…。
そりゃ「大人計画」度が下がって、「劇団四季」度上がりますってw
そう、初演は結構「大人計画」テイストがもっと強かったんですよ。
でもそれは、実は初演はエムシーにスポットが当たっていた、
というかエムシー目線で捉えられていたということなのかもしれない
(というか、当時を思い出してみると、そういう印象だった)。
今回は逆に、サリーとクリフにスポットが当たっていたので、
同じような構成でもまた印象が違って、「まっとうにミュージカル」感が
出ていたのかな、と。

もういっこ、月並みだけど触れなきゃいけないのは、あの「キャバレー」という
戯曲の世界そのものですわな。初演の時は、別に鉤十字とか見ても特別に
意識することってのはありませんでしたけど、今の時代、
あの展開からの、鉤十字が登場してくるシーンは、主義主張とは別にしても、
大なり小なり、何か感じてしまうものがあるのではなかろうか…。
自分なんかは、「2010年代は新たな戦前の始まり」なんてキーワードが
脳裏をかすめたり。(最近目にして気になっていたんです。)
そのあたりが絡んでるからなのかわかんないけど、今回の作品は、
倒錯的で退廃的なとかそういう感じがそれほどにじみ出ていなくて、それよりも、
成熟を超えてしまった、壊れやすさとか危うさといったものを感じておりました。
そんな、どこか時代を読んでいるかのような雰囲気は、多分、
今回のキャスティングだったからこそ出せたのかな、と、個人的には思います。
特に長澤まさみとか。(別にエロい目線で見ているわけではなのですが、
以前、舞台で観たときは細くて美人って印象だったのに、今作では逞しさもあり、
なおかつセクシーだったのがよかったです。役作りかな。)
この時期に、この作品をぶつけてくるセンスというのは、(パルコ制作だけど)
それはそれで、ちょっと松尾さんっぽいところもある、と言えるのかもしれん。
…別に関係ないかw

そうそう、ついつい旧作と比較しちゃうので、これだけ言っておきたのですが…
ま た お こ め 券 出 て た (爆)
ホント、色々感動したw ニセキティちゃんは出てなかったけど…。
再演観るのも楽しいねw

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パルコプロデュース「キャバレー」
(愛知公演)
2017年2月17日~19日 @刈谷市総合文化センター

上演台本・演出:松尾スズキ
台本:ジョー・マステロフ 作曲:ジョン・カンダー
作詞:フレッド・エブ 翻訳:目黒条
出演:長澤まさみ、石丸幹二、小池徹平、小松和重、村杉蝉之介、平岩紙
秋山菜津子、片岡正二郎、花井貴佑介、羽田謙治、齋藤桐人、乾直樹、楢木和也、船木淳、笹岡征矢
岩橋大、丹羽麻由美、香月彩里、谷須美子、エリザベス・マリー、田口恵那、永石千尋 
ミュージシャン:門司肇、清水直人、磯部舞子、東京ブラススタイル
音楽監督:門司肇 美術:池田ともゆき 照明:大島祐夫 音響:山本浩一 
振付:振付稼業air:man 衣裳:安野ともこ ヘアメイク:大和田一美 歌唱指導:益田トッポ 
演出助手:坂本聖子 舞台監督:二瓶剛雄 制作:伊坂直人 プロデューサー:田中希世子、藤井綾子 
製作:井上肇 企画・製作:(株)パルコ

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by yokusang_09 | 2017-02-19 18:04 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

阿佐ヶ谷スパイダースPresents「はたらくおとこ」@名古屋市青少年文化センターアートピアホール 

c0025481_2302547.png【あらすじ】
幻のリンゴを作り出す夢も破れ、朝から晩までまんじりともせず、今やもうすることもない閑散の事務所でストーブの小さな炎を囲み、北国の大雪を見つめる男たち。雪はまるで借金のように降り積もってゆく・・・。もはや東京に帰る場所もない。
そんなある日、地元の若い女が運び込んだ幸運の液体。この液体を手に、男たちは手段を選ばず暴走しはじめる。そう、すべては幻のリンゴの栽培を再開するために。運命を打開すべきチャンスが目前となったとき、トラックに乗ってアイツがやってきた!



ここんところ、割と暇な時期が続いていたくせして、前もって平日に予定入れると忙しくなるの何なの…。というわけで、唯一の名古屋公演が平日だったわけで、到着ギリギリ気味でしたが、観劇にありつけました。
久しぶりの長塚圭史演出芝居。イギリスから帰ってきてからはすっかりご無沙汰で…。以前、同じような感じで「イヌの日」を観たことがあり、その時はすんげー長いなぁ、と思っていたのですが(笑)、今回もやはり2時間オーバー。まぁ、ある程度心の準備はできていましたけど。「イヌの日より重たくないから、気持ちは楽」とは聞いていたのですが。。。

うん、なんか、気楽でした。いや、まぁ、それは比較してって話ですけどw
ただ、2時間半もそれほど長く感じることもなく、確かに数か所「ここで終わりでもいいのでは?」と思ったところはありましたけど、そこをむしろやり切っちゃうのが長塚圭史でしょ、と思えば、あまり問題ない(笑)
というか、その「余計かもしれない」部分がクドくなく、語りすぎな印象もなく、ストーリーのテンションもあって、むしろやり切ってもらった方が観客としては印象がよかったです。はい。

実は、ほとんどの役者が初演の時と同じという奇跡的なキャスティングらしいのですが、その円熟味もあったのかな。
元々の戯曲のバランス具合が絶妙っていうのもあるのですが、ちょこちょことある笑いと、感情が爆発したときの緊張感と、絶望的に追い詰められた時の狂気と、戯曲と演出からの振りつけを、実にいい塩梅で形にしていたな、と。それもあって、いい意味で気楽だったし、飽きないで2時間半行けたんだと思うんですわ。正直、驚くほどグイグイ引き込まれましたから、劇中の世界に。怖いシーンで「うわ~」とか言ってしまいそうになるレベル…。
しかも面白いのが、その自分が引き込まれていることを、なぜかちょいちょい自覚させられるんですよ。引きつけるポイントの、その引きの力が強いってことなのかな。自分の中の感覚がこれまた面白かったです。

リアルな年齢設定を考えると、若者枠はおそらく初演の時の方が役にはあっていたのかもしれませんが、むしろ、初演以降も活躍を重ねた今の円熟味こそ、このお芝居には欲しいものかもな。でも、中村まことさんとかこれまで見てきたのとあんまし変わんない気もするけどw、でも最初に猫ホテで観たときよりも深みは増していると、ものすごく勝手に感じています。ものすごく勝手ですけど。
あと、役者で言えば、松村さんがむちゃくちゃいい仕事してました。今回は役者一本だもんでかな。(つーか、好きな役者が2~3人ほど出ていたので、それはポイント高かったのよ。)

雪の青森の田舎という、どこか閉鎖的な印象がある場所の、さらに倒産寸前のリンゴ農園という陰鬱とした空間で起こることは、やっぱり狂気的で怖いし、でもどこか間抜けなところもあって可笑しいし、やっぱり変だし。
初演時は、某カルト教団とか地下鉄サリン事件とかが想起されていたものが、今では震災と原発事故を暗に示しているという意見はわからなくもないけど、自分としては、それら全部ひっくるめて、その時々でモチーフと思われるものが変わってくる作品なのかなと思いました。あの赤いリンゴは、観る人や時代によって、その意味するところが変わってくるのでしょう。

むしろ、その受け取り手(人や時代)によって、以前と同じことやってても、それぞれ響き続けるっていう世の中の方が、むしろどうなんだろうかと思わなくもないのだが…。(確かに狂気じみたストーリーではあるけど、そこまで奇をてらったストーリーでも演出でもない印象があるのよね、失礼に聞こえたらごめんなさいなんですけど、でもだからこそ。)

とはいえ、それでもやっぱり、観劇後は少しざらっとした感覚が心には残るものでして。少し退廃的かつアッパーな気分というのか。
結局、平たく言えば、絶妙なテンポと円熟味ある演技でグイグイ引き込まれちゃったわけなのだが。でも、こんなに気持ちよく引き込んでもらえるのも珍しいなぁ、と。はい。(偉そうですみません)

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阿佐ヶ谷スパイダースPresents
「はたらくおとこ」
(名古屋公演)
2016年12月8日 @名古屋市青少年文化センター アートピアホール

脚本・演出:長塚圭史 
出演:池田成志、中村まこと、松村武、池田鉄洋、富岡晃一郎、北浦愛、中山祐一朗、伊達暁、長塚圭史
美術:松岡泉 照明:斎藤茂男 音響:加藤温 衣裳:畑久美子  ヘアメイク:西川直子 
映像:ムーチョ村松 演出助手:山田美紀  舞台監督:福澤諭志 
演出部:宇野圭一、渡邊千穂、津江健太、小野綾香 大道具:唐崎修 
方言指導:岩本靖輝  宣伝美術:小板橋基希(akaoni)  
記録映像:篠原雄介 広報:吉田プロモーション 票券:小島侑香里 
制作助手:小野塚央 制作:三浦瞳、北澤芙未子 プロデューサー:伊藤達哉、片山善博
主催:東海テレビ放送

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by yokusang_09 | 2016-12-08 22:24 | 芝居を観てきた2016 | Comments(0)

劇団東京乾電池「十一人の少年」@ナビロフト

c0025481_21174788.jpg【あらすじ】
この物語には、盲目の少女スモモと、市役所に勤めながら職場演劇をしている青木君、小林さん、別保さん、片岡さんらが登場します。小林さんはスーパーマンになって飛ぼうとし、別保さんも奥さんと奇妙なごっこ遊びをしています。想像力が旺盛なのです。
主な舞台はガード下で、毎日夕方になるとスモモがやって来て、何かを待っています。青木君もそこに来て、スモモと出会います。青木君は、今度上演することになる、『十一人の少年』という戯曲のせりふを覚えようとしているのです。十一人の子ども達が、七つの海を渡る冒険の物語です。けれどもその戯曲は、尻切れトンボで終わっています。作家のヘタムラゾウが、結末を書かずに逃亡したからです。青木さんはスモモにせがまれて、どんどん新しい物語を作っていきます。
ところが、演劇部のメンバーが別保さんの家に集まった夜、「思う保険」という奇妙な保険の勧誘員が来て、彼らを誘います。すると、青木君を除いて入会した彼らは、演劇への興味を急速に失っていくのです—。


やはり北村想作品の、しかも結構以前(80年代とか)って、個人的にちょっと思い入れがありまして。この「十一人の少年」に関しては、初見だったのですが、その個人的なそれと書かれた時代がハマり、どこか懐かしいような、自分の源流的なものに触れるかのような、そんな気持ちになっておりました。

この作品は、ミヒャエル・エンデの『モモ』を基にしているんだそうで。ぶっちゃけ、タイトルは知ってたけど、内容は殆ど知らなかったのですが(あらすじ聞いたことあるけど忘れてた)、”人々の時間を奪い、心のゆとりを失わせる時間泥棒団に対し、孤児の少女モモが闘う冒険物語”という内容なんだそうです。(←ナビロフトのHPより)つまり、この作品では「思う保険」の保険外交員が「時間泥棒団」で、奪うのは、「心のゆとり」ではなくて「想像力」なんですな。(心のゆとりと想像力は、ちょっと似たものがあるけど)

あの時代的ならではのアングラ臭といいますか、寺山修司の芝居のようなビジュアルに、唐十郎の芝居のようなテンション、そしてそれらを包み込む北村作品の世界観。やさしさと怖さ、愛らしさとキモさが全部混ざりあったあの世界(劇空間)は、まぁ、正直、70~80年代を感じさせる部分はあったと思いますけど、当然それが悪いという意味ではなく(わたしゃ少なくとも、そのこともよかったと思っている)、年代を感じこそすれど、古さを感じることは全くなかったし、それどころか「人々が想像力を失うことと、それらに対する戦い」なんて、”この戯曲は童話をベースに書かれている”と言っても、これ全然、今現在の世の中でも通じる話ですもんね。

あと、今回のこの芝居に関していえば、戯曲も面白いけど、やっぱり演出と役者もかなり仕事をしていたな、という印象。自分は初見ですが、やはりすごく丁寧に戯曲と向き合ってるのがわかるし、語弊があるかもしれませんが、自分の中でかなり「正解」感があったんですよね。無駄もないし、なんか、「あぁ、そこはその画だよなぁ」みたいなの結構あったし。

でも、(当たり前かもだけど)演出力だけでは多分こうはならないと思っていて、あの、やさしさと怖さ、愛らしさとキモさが全部混ざりあった世界観を作っていたのは、最終的には(戯曲や演出を離れた)役者のキャラと演技力なのかなぁ、とか思ったり。登場人物全員どらめちゃ個性的でキャラ立ちまくりなので、なんかいちいち指摘できないですけど、それでも挙げちゃうとw、市役所職員の青木君と、保険外交員2人組がすごく印象的でした。保険外交員の2人は、なんなんでしょ、あの上品で下品、美人でブスなあの絶妙な二面性。そして青木君は、実際のところ色々大丈夫なのか?と演じてる俳優さんにまで疑いの目が向くw でも、自分の中では、この3役が、芝居(戯曲)のイメージを作ってたなぁという印象。

なんか長々とつづってしまったけど、結論的としてはすんげー面白かったんだよ。
すんごい月並みな発言ですけど(笑)、東京乾電池、さすが40周年だなって素直に思いました。

-----------------------------------------------------------------
劇団東京乾電池 名古屋公演
「十一人の少年」

2016年11月16日~20日 @ナビロフト

作:北村想
演出:柄本明
出演:麻生絵里子、池田智美、岡部尚、沖中千英乃、川崎勇人、柴田鷹雄、杉山恵一、
竹内芳織、田中洋之助、中村真綾、西本竜樹、藤森賢治、前田亮輔、松沢真祐美、吉橋航也
舞台監督:山地健仁 照明:日高舞台照明 音響:鈴木一希 舞台美術:血野滉修 
演出助手:高田ワタリ 衣装:鈴木千秋 宣伝美術:堀米真治 協力:ノックアウト
製作協力:名古屋演劇教室 主催:劇団東京乾電池 共催:ナビロフト


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by yokusang_09 | 2016-11-17 22:26 | 芝居を観てきた2016 | Comments(0)


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