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虚構の劇団「もうひとつの地球の歩き方〜How to walk on another Earth.〜」@ABCホール

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生きることに挫けたら、今ある地球を捨てて、もうひとつの地球を歩こう。
もうひとつの地球は過去にしかないのか。
それともネットの中なのか。あなたと私の記憶の中なのか。
それとも、どこかの未来なのか。
これは、記憶とシンギュラリティと天草四郎の物語
(劇団ウェブサイトより引用)



年明け早々、発作的に鴻上尚史の芝居が観たくなったのだが、
そのタイミングで虚構の劇団のチラシを手にし、
こりゃ行くっきゃないだろ!ということで、後輩を誘って大阪デート。
なんか、チラシデザインとタイトルからして、きわめて第三舞台的な
香りを感じたのである…。(わかりますよね?(笑))
何気に初めての虚構の劇団だったのだが、実は結成10周年とのことで。
すばらしい!

タイトルからして、サイバーでスペイシーなものを想像していたのだが、
スペイシー感はあまりなく。あ、でもタイムスリップとかはSFかな。
サイバーなのは間違いない。何せ、AIの話が出てきますから。
ただ、意外過ぎたのが、第三舞台的なものよりも、キャラメルボックス的な
印象を受けてしまったこと。
別にそれがいけないわけではないんだけど、予想外の感覚だったので。
これまた雑な印象なのだが、本作に関して、過去の鴻上作品でいうなれば、
ほんの少し「天使は瞳を閉じて」に似た空気を感じていたし、なんだかんだで、
演出も含めて鴻上作品だったなーとは思うのだが、なんなんだろう…
役者?演技?衣装?ストーリーのエッヂ? …ハッキリとはわからん(笑)

そして、その鴻上作品らしい今回の作品テーマ、というかモチーフについても、
実にタイムリーで、みんなが共有していることではあるけれど、本当に難しい。
戯曲内でも、作家の考える正解のようなものが明確に示されていたわけでもなく、
単純に「すっきり~面白かった~」とはちょっと言いにくい、現在を生きる私達に
なかなかに闇深いものを観客に投げられた気分(笑)
別に、原発問題とか政権批判とか、右や左に分かれてしまうテーマではなくて、
右や左に分かれる事そのものだったり、別れた後の言動だったり。
本当にきっちりと、頭の中を整理して、理論構築していかないと、
明確な(自分なりの)正解が出せなくて、でもそんなことまで
頭を回している余裕がなくて、感覚的にはわかるんだけど、
「あー、なんか、なんかなぁ~」となった人は多いのではなかろうか。

他にもなかなかに、登場人物の闇深さがポロポロと提示されていて、
(ここは個人的に)ザワつかされつつ、物語としては、
ちょっとSFファンタジー風にまとまってしまうので(←このへんがキャラメルか!)、
なんか、鴻上尚史の芝居をキャラメルボックスでやりました、
みたいな感覚が残る。。。のか?

ストーリーはわかりやすいし、演出的にも観やすい芝居だったので、
全然嫌いじゃないのだが、それが故に、その「ザワ」とか「モヤ」が
すごーく残る芝居だった…。良くも悪くも。
でも作・演出としては正解なのかな(笑)


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虚構の劇団 第13回公演
「もうひとつの地球の歩き方〜How to walk on another Earth.〜」
(大阪公演)
2018年2月2日~4日 @ABCホール

作・演出:鴻上尚史
出演:秋元龍太朗、小沢道成、小野川晶、三上陽永、森田ひかり
池之上真菜、梅津瑞樹、溝畑藍、金本大樹、橘花梨、一色洋平
美術:池田ともゆき 音楽 :河野丈洋 照明:林美保 音響:原田耕児
振付:齋藤志野 ヘアメイク:西川直子 衣裳:小泉美都 映像:冨田中理
舞台監督:中西輝彦、内田純平 宣伝美術:末吉亮(図工ファイブ) 
宣伝写真:坂田智彦+菊地洋治(TALBOT.)
劇団演出部 : 藤岡文吾、帯刀菜美(演出助手)、菊池祐児、土屋克紀、
遠藤佐助、賀数夏子、那須康史、渡部優美
制作:倉田知加子、池田風見、金城史子

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by yokusang_09 | 2018-02-04 17:57 | 芝居を観てきた2018 | Comments(0)

青年団「さよならだけが人生か」@AI・HALL

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東京都内某所の雨が続く工事現場に、折り悪く遺跡が発見される。
遅々として進まない工事。
工事現場の人々、発掘の学生達、ゼネコン社員や文化庁の職員など、
様々な人間達がだらだらと集まる飯場に、ユーモラスな会話が、
いつ果てるともなく繰り広げられる。
青年団史上、もっともくだらない人情喜劇。

1992 年に初演され、「そのとき日本の演劇界が青年団を発見した」とも言われる劇団の出世作、
2000 年 のリニューアル上演以来、16年ぶり待望の再演。(劇団HPより引用)


昨年、吉祥寺で見逃していたのだが、随分と経ってから
伊丹でやるということは知っていたので、さくっと伊丹までおでかけ。
ちなみに今回は、帰りは珍しく高速バス1900円!
(いつもはJR新快速利用で2時間半なのよね。近いもんです、大阪。)

とある工事現場の作業員の休憩所が舞台。
まもなく山形の現場に移るベテラン作業員の送別会に向けた準備の話と、
工事現場から見つかった遺跡の発掘調査に関わる大学院生の話を中心として、
交錯する人間模様を描いた作品。
前回の上演は、旧石器ねつ造事件の頃(2000年ころ)なのだそうで。
そこからさらに、2018年現在に合わせて書き直しているのだろうか?
でも戯曲そのものには、初演が1992年だと感じるような古さは全くなく。

わかってはいたのだが、相変わらず役者のリアルさには驚いてしまう。
大学院生も、ああいうの、思い出すと大学時代には居たな…。
あんなようなビジュアルと会話!史学とか、心理学専攻!!
工事現場のおじ様たちも、ちょっと小ぎれいだけど、確かにいる(笑)
がゆえに、演技面の問題ではなく、そもそもの設定がちょっと芝居っぽい役は
なーんか、キャラ立ちとは違う意味で目立つ。
例えば、文化庁の役人とか。ああいう文化系女子は世の中に確実にいるのだが、
文化行政に携わっているかと言われると、私はあまりイメージがない…。
国公立の博物館学芸員ならまだしも。
そして、そういう役に限って、意外と芝居っぽい言動をしたりするもんだから、
ちょっと鼻につくのである…。(苦手な人には苦手なアレ)
役者的には、その役にドはまりで、いい味出しまくっているのだが、
それとこれとは少し別の話で。

この芝居、タイトルが凄く印象的だが、もちろん元ネタは、
御存知、さよならだけが人生だ」と井伏鱒二が訳した漢詩である。
この漢詩の解釈について、惜別と捉えるか、もしくは一期一会と捉えるか、
2つの見方があるらしい。
詩に描かれた事象は一つだし、見えてくるビジュアルも当然一つなのだが、
その様子をどう捉えるか。惜別と一期一会、違っているようで似ている、
というか、この微妙な具合を上手く言葉に言い表せないが、
ベースにあることは一つなのだと思う。

声高に主張するわけでもなく、込められたメッセージが、やおらハッキリ
立ち上がるというわけでもない。ぱっと見た感じ、本当にその辺の日常を
そのまま切り取ってきたような、特段ドラマチックでもない話。
しかし、各登場人物がポロリと語る過去や現在の境遇には、
それまでのドラマや歴史がある。「人に歴史あり」である。
ここの歴史が日々交錯してドラマが生まれて、さらに年月を重ねて、
また歴史になって、そんなその辺の人々の、ごく溢れた日常の積み重ねの
一端やら痕跡やらを、何千年後には歴史学者が発見して、
勝手に分析しちゃったりして、ロマンを感じているわけである。

そう思うと、こうして過ごしている私の日常もちょっと愛おしいモノに
思えてもくるし、今身近にいある人の人生や、ともに過ごしているこの時間も、
何やら無価値ではないように思えてくるから不思議。

「さよならだけが人生だ」の漢詩には、個人的には、
どこかフォークソング的な出会いと別れを感じるところがあるのだが(笑)、
そんな(今の時代となっては)暑苦しいものでなくても、
瞬間瞬間の出会いを、感謝までしなくとも、大切にしていきたいものである。

というか、この漢詩の意味(井伏鱒二訳)について、じっくり考えてみると、
「本当にそうだわ~」そう思うことがいっぱい…。
大事にしたい出会いはたくさんあるのだが、なかなか続かない…。
人生は、あっけないまでに、さよならばかり。
一期一会と思うのも、情緒があるようで、切ないものもあるんだよな。

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青年団第76回公演 「さよならだけが人生か」
(伊丹公演)
2018年1月26日~29日 @AI・HALL

作・演出:平田オリザ
出演:山内健司、小林 智、太田 宏、石橋亜希子、荻野友里、小林亮子、
立蔵葉子、森内美由紀、石松太一、伊藤 毅、井上みなみ、小瀧万梨子、
佐藤 滋、前原瑞樹、串尾一輝、藤松祥子、大村わたる、寺田 凜
舞台美術:杉山至  装置:濱崎賢二  照明:西本彩
衣裳:正金彩  舞台監督:小林朝紀  宣伝美術:工藤規雄+渡辺佳奈子 太田裕子
宣伝写真:佐藤孝仁  ロケーション・コーディネーター: 渡辺一幸(NEGO-TI)
制作:石川景子、金澤昭 撮影協力:(株)TYOテクニカルランチ、恵積興業(株) 
協力:(株)アレス  主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 
共催:伊丹市立演劇ホール 助成:平成29年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

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by yokusang_09 | 2018-01-27 19:12 | 芝居を観てきた2018 | Comments(0)

悪い芝居「罠々」@HEPHALL

c0025481_27682.jpg【あらすじ】
芝居を観よう。芝居を観よう。どうせ観るなら『悪い芝居』を観よう。
幸も不幸も苦も楽も、誰かが仕掛けた罠だと思うと、
雲吹き飛んで快晴になりました。
でも、人生はドッキリだってことを知らずに、
完全に騙されてる方がマシだったかもしれないです。
閉じ込められてた部屋から逃げ出して見た朝焼けはとても眩しすぎて、自由がちょっと不安になりました。
さて、これからどうしようか。
被害妄想はファンタジーなんだ。
悪い芝居2017年最新作は、罠にハメられたと思い込む人間たちによる、愛しい復讐劇。
(劇団特設HPより)


何だかここ最近、やたらと「悪い芝居」の芝居が観たいなぁ、と思っており、
そんなタイミングでの上演だったので、過去最高レベルでふらっと大阪へ。
なんか、最近稼ぎもよくないのに散財癖が復活してきていて、ふらっと大阪とか
やっちゃうので困ったもんだが、ふらっと行けちゃうのである。近鉄とか駆使して。

ここ最近の作風とは少し違うようなことが言われているらしい。
確かに、最後に自分が観た芝居(東京時代に赤坂で観た作品)に比べると
生バンド演奏もなくて静かめだった、といえばそのとおりなのだが、作品名は
忘れてしまったが、過去の作品(ビデオで観た)に舞台上の雰囲気が通じるものが
あったことや、やはり戯曲自体は、山崎色がでていたこともあり、個人的には
特に違和感を覚えることはなく。(違和感覚えるほどしょっちゅう
観ているわけではない、というのが最大の理由だが…)

17年ぶりだか18年ぶりに、故郷の中途半端な街(どうやら奈良県らしい)に
戻ってきた青年が「誰かに罠を仕掛けられている」という何ともサイコな
発言から始まる本作。そのサイコな出だしと、チラシにもある「罠にハメられたと
思い込む人間たち」というコピーから当初はその「罠」が一体何なのか、
という謎解きに関心が向かいがちなのだが、正直、その「罠」が具体的に
何を指していたのかは、最後までわかったような、わからなかったような…。

いくつかのパートに分かれて進む物語が、この街で、まさか全部が一つに
つながったとき、劇中に何度か出てくる「人生はドッキリだ」という台詞が、
脳内の電光掲示板にデーン!と表示され、知れば「わなわな」してしまう事実が、
全部一つの束になって、何も知らなかった人にズトッと入ってきてしまう。
このことこそ、何者かによる「罠」と言いたくなってしまうよなぁ…
なんて考えていた。自分も、ここしばらくそういうことに悩んでいて、
正直、気が狂いそうになっていた時期もあったので、自分なりに回収して
しまったところもありつつ。

2時間かからない程度の尺の芝居なのだが、盛りだくさんの伏線と、
終始疾走感のあるテンポで、最後には鮮やかなまでに、ストーリーとしては
回収してまとめているので、ストーリー自体が難解であるという印象はない。
むしろ、そのテンポと伏線の回収具合から、観劇後は軽い爽快感さえ
感じていたのだが、ただその分、まるで長い夢を見ていたかのような、
ところどころ靄のかかったところだったり、ザラッとした感触を残して
いかれることもあり、受け手によって印象が異なる作品だったのでは。
リアルな設定で、そしてネガティブな事象が起こっているのに、
それに対する感度が妙に鈍い、そんな長い夢を見た後のような感覚。
(多忙な時期に、仕事の夢を見て魘された、みたいなやつw)

関西の劇団らしい客演が2人出演していたのだが、NMB48石塚朱莉さんが、
劇団のカラーと大変マッチしていたのと、緒方晋さんが個人的にはこれまで
見たことない感じの演技をしていたのが、収穫。
もちろん劇団員の皆様もよかった(やっぱり山崎さんの演技も好きなのだ)。

というわけで、直前にさくっと予約を入れて、さくっと行った(実はお忍び)
大阪での観劇だったが、大変満足でございましたなのでした。以上。

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悪い芝居vol.19
「罠々」
(大阪公演)2017年4月8日~16日 @HEPHALL

作・演出:山崎彬
音楽:岡田太郎
出演:渡邊りょう、山崎彬、野村麻衣、植田順平、中西柚貴、北岸淳生、畑中華香 
長南洸生、東直輝、川人早貴、松尾佑一郎(以上、悪い芝居)
石塚朱莉 (NMB48)、緒方晋 (The Stone Age)
舞台監督:大鹿展明 美術:竹内良亮 照明:加藤直子
音響:児島塁 衣裳:植田昇明 映像:松澤延拓
舞台監督助手:進野大輔、佐藤かりん 宣伝美術:植田順平、野村麻衣
写真(メインビジュアル・メンバー):bozzo 演出助手:藤嶋恵、大益賢佑
メンバー:大川原瑞穂、米田優 制作:加藤恵梨花、阿部りん、畑中華香
協力:kasane、Quantum Leap*、The Stone Age、株式会社Showtitle、
DASH COMPANY、ナッポスユナイテッド、株式会社NEGA、リコモーション
主催:悪い芝居
京都芸術センター制作支援事業

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by yokusang_09 | 2017-04-08 22:56 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

ミクニヤナイハラプロジェクト「曖昧な犬」@クリエイティブセンター大阪ブラックチェンバー

c0025481_1871176.jpg[あらすじ]
小さな部屋に閉じ込められたふたり。光のないその部屋からは何も見えず、世界が続いているのかさえわからない。そんな不安と絶望の中で、未来に希望を見出せない人たちの物語。なにもない閉ざされた世界にあっても、それでも「最期まで生きる!」ことの意味を問う矢内原美邦最新作!


ふらっと大阪まで。
このシーズンは、やはり18きっぷ利用の新快速で行くのが快適です。そりゃホントは新幹線が一番だけど…。
初めてIKEA以外で大阪南港の方行きましたけど、何となく名古屋の築地口とかあの辺と似てますね…。

劇場が、こまばアゴラ劇場をもっとソリッドにしたような感じで。
確かに今回の芝居には、ロケーションも箱も大変マッチしておりました。

ただ、芝居が始まってしまうと、ちょっと加減があるというか、
東京で観ていた役者さんとは色が随分違う印象で、ちょっとそこに
慣れない感じは否めなかったかも。
とはいえ、やっぱり矢内原さんの作品だけあって、すごい運動量とスピード感。
ただ、なんか、いつもより真面目な印象だったかな…。
個人的には、もっとハンパないムダとキレ、そこに洗練されたアーバンな
空気感が乗ってくる感じを想像していたので、今回はそれに比べると、
台詞も真面目だし、ムダが少なめだったような…(笑)

というわけで、正直に言うと若干ノリ切れなかった部分があったんです…。
というか、なんか観ている間は、結構追いついていくのに集中していて、
あまり考えていなかったのですが、これ、よく考えたら、不条理劇ですね…。
ミクニヤナイハラ版不条理劇。おお、なるほどw
そうやって考えると、正直、ちょっとノリきれなかったのがわかる…。
閉塞感に満ちた不条理劇、自分はどちらかというと得意ではないのだ!(笑)

自分、実はこの芝居の意外すぎるラストを観たとき、
もしかして「木の芽時、すぐ『死にたい』っていう人への処方箋」なのかな、
と思っておりました。窓もある、ドアもある、鍵もある、監視カメラもある。
でもどうにもならない閉塞感。そして、募る焦りや苛立ち。
案外、ブレイクスルーなんて、切り替えひとつで、大して意識することもなく
やれちゃうことだったりするのかもしれない。勿論、閉塞感というのは、
今の時代性を反映させた部分もあるとは思っているのですが、それも含めての、
もっと個人ベースな話をされているような、そんな感覚を覚えました。
劇中に出てくる景色の描写が、関西での上演が故に、自分が一人で見た関西の
風景と重なったからかもしれません。

まぁ、あまり多くは語りませんが、自分自身も現在、
結構な閉塞感とか詰み気味なところがありまして。
ちょっとこの陽気にやられて、軽く死にたくなることもあるんですが、
でも自分が可愛いので死ねないんですけど、
そんな自分には特に、言語化するのが難しいのですが、
ちょっとザラッとした何かを残された、という感じですかね。


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ミクニヤナイハラプロジェクト「曖昧な犬」
2017年3月17日~19日
@クリエイティブセンター大阪 ブラックチェンバー

作・演出:矢内原 美邦
出演:立花 裕介、白木原 一仁、生島璃空
映像・照明:高橋啓祐  制作:秋津ねを
協力:竹内桃子 、プロデュースユニットななめ45° 、STAND FLOWER
主催:ミクニヤナイハラプロジェクト/ニブロール
助成:おおさか創造千島財団

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by yokusang_09 | 2017-03-18 18:04 | 芝居を観てきた2017 | Comments(2)

維新派「アマハラ」@平城宮跡

c0025481_0501318.jpg「あらすじ」
私たちがこの地で上演する『アマハラ』は、2010年に、20世紀三部作のアジア篇として上演した『台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき』を再構成した作 品です。劇場プランや演出だけでなく、台本も改訂し、日本とアジアの国々をつなぐ、島から島へ、島づたいに続く“海の道“を辿った人々を、史実を織り交ぜながら描きます。


維新派最終公演ということで、1か月振りに平城宮跡へ。
(前回、大阪で屋外プールに入っていたとか、信じられねーなw)
作・演出の松本雄吉が亡くなり、どうなるんだろうと思っていたところ、
まさかの、そしてやはり最終公演。もう行くっきゃないじゃんか!

パンフレットや事前の情報で知ったのだが、最近の維新派の芝居の作り方として、
パートごとに役者が提案してきたものを調整するような形で演出を組んでいたらしい。
不幸中の幸いで(?)今回の作品が再演だったということと、亡くなる前に
ざっくりとしたビジョンまでは示されていたこと、近年のそのような演出手法に加えて、
何よりも役者・スタッフ含めた関係者の維新派の芝居に対する想い
(知識やら経験やらそういうものを全部ひっくるめた)が
この芝居を最終的に作り上げたんだなぁ、という気概のようなものは感じていた。
正直、演出的には松本雄吉演出と言われても、ほとんどわからなかった。
「ほとんど」というのは、なんとなくのニュアンスが違うとか、
もう0.5ピース欲しいなぁ、と思うところはあって、そこはやはり、
どうしたって、松本雄吉でないと埋められない部分なんだろうな、とは思うけど。

…あ、もしかして、だからなのか。
前々回に比べると、繋がりがないとは思わなかったのだが、
明確なパートの区切りは感じていたんだよね。
もともとそういう構成で作ってることは承知の上なのだが。

南の島を目指して海洋進出していき、繁栄を築くも、太平洋戦争で
実にあっけなく灰燼に帰してしまう。
そんな、祖国を離れて遠く南の島を目指し、現地で生きた日本人たちの物語。
モチーフがわかりやすいので、少しチープに(?)見えがちなところもあるが、
その分、劇作家の(個人的な経験とは別の)私たち日本人の歴史に対する
見方を感じることができた、かな。
登場人物たちは、島から島へ、ずっと旅を続ける。その先で築き上げたものは、
何かのきっかけで一瞬で消えてしまったり、またふりだしに戻ったり。
今回の作品では、そこまでは描かれていなかったが、きっと人々はその後も
旅を続けていくのだろう、と想像してみたり。(初演の作品ではあるらしい)
このフレーズ、「マハーバーラタ」のときも言っていたのだが(笑)、
シルクロードの東の終着地といわれる奈良・平城宮の地で、
朽ちた廃船を模した野外劇場で上演される、流浪する民を描いた芝居。
そんな野外劇場で芝居を観ている自分たちもまた、登場人物たちと同じく、
旅をしている最中なのかもしれない。
希望の旅なのか、不安の旅なのか、それはわからないけど。
そしてなにより、ここで描かれているモチーフ自体が、維新派自身の公演スタイルと
実に重なるものがあり(勿論、彼らの劇場は焼けてしまうわけではないが)、
それが最終公演として、松本氏がずっと上演場所として希望していた
平城宮跡で演じられることにも、アツいものがあった。

最後、少年による「おーーーい」の呼びかけは、一義的には、劇中に登場した、
かつて海外進出した日本人達に対するものであるのだが、それと同時に、我々観客に対する
呼びかけのようでもあり、さらには、亡くなった松本氏に対する我々生きている者側の
呼びかけのようでもあったと思っていて、これまで以上に色んな意味が詰まった
「おーーーい」に少し込み上げてくるものがあった。

松本氏死去からの最終公演ということで、ちょっとひいき目に観てしまった部分が
確実にあるのだが、それを差し引いても、やはり濃厚で素晴らしく、
心に迫ってくるものがあった。
(友人が、「維新派や王者舘を観ると、他の作品を観なくても観劇欲求が満たされる」
という趣旨の発言をしていたのだが、ようやっとその意味が分かった)

月並みな言葉ですが、これまでの沢山の感動、本当にありがとうございました。

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東アジア文化都市2016奈良市 舞台芸術部門 野外舞台公演
維新派「アマハラ」
2016年10月14日~24日 @平城宮跡(東区朝堂院)

脚本・構成:松本雄吉
音楽・演奏:内橋和久
出演:森正吏、金子仁司、井上和也、福田雄一、うっぽ、石本由美、平野舞 
吉本博子、今井美帆、奈良郁、松本幸恵、石原菜々子、伊吹佑紀子、坂井遥香 
松永理央、衣川茉李、平山ゆず子、室谷智子、山辻晴奈、下村唯、大石英史
松井壮大、風速純、久世直樹、瀬戸沙門、日下七海、阿山侑里、岩坪成美、飯島麻穂
佐竹真知子、五月女侑希、手代木花野、中田好美、増田咲紀、南愛美
舞台監督:大田和司 美術:白藤垂人 照明デザイン:吉本 有輝子(真昼)
照明 :PAC West、岩元さやか、吉田一弥、吉津果美
音響デザイン:田鹿充 音響:SHOUT  SE:佐藤 武紀
衣裳 :維新派衣裳部、大形梨恵  メイク:名村 ミサ
宣伝美術:東 學(188) 写真:井上嘉和(井上写真事務所)
ウェブ製作:中川裕司(house-A) 印刷:翔樹
屋台村ディレクター:山本真一 
舞台スタッフ:五十嵐大輔、池田剛、内田欽弥、柏木準人
金城恒次、白藤垂人、羽柴英明、百々寿治
福岡嵐、山本真一、相澤伶美、中西美穂
制作:山﨑佳奈子、清水翼
制作協力:藤原顕太、小森 あや
主催:奈良市「東アジア文化都市2016奈良市」実行委員会
共催:文化庁
製作:維新派、株式会社カンカラ社

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by yokusang_09 | 2016-10-22 21:26 | 芝居を観てきた2016 | Comments(0)

SPAC「マハーバーラタ~ナラ王の冒険~」@平城宮跡

c0025481_0585117.jpg【あらすじ】
その美しさで神々をも虜にするダマヤンティ姫が夫に選んだのは、人間の子・ナラ王だった。その結婚を妬んだ悪魔カリの呪いによって、ナラ王は弟との賭博に負け国を手放すことになる。落ちのびていく夫に連れ添おうとしたダマヤンティ。だが疲れて眠っている間に、彼女の衣の切れ端を持ってナラは去る。夫を捜して森をさまようダマヤンティを様々な困難が襲う。行く先々で危機を乗り越えた彼女はやがて父親の治める国へ。一方ナラも数奇な運命を経てその国にたどり着く。果たして夫婦は再会し、国を取り戻すことが出来るのか…。


実は、宮城さん演出のSPACって初めてなんですよね。
奈良で開催されている芸術祭「東アジア文化都市」の舞台芸術部門として上演される作品。
なんと、会場は、平城宮跡です。…せんと君のとき以来やー!

あたし、てっきり、奈良でやるから「ナラ王」なのかと思ってましたけど、
聞くところによると、奈良じゃなくても「ナラ王」らいしですね…。恥ずかしw
というのも、事前にマハーバーラタ(原作)のあらすじに目を通そうと思って
ネットで調べて読んでいたのですが、あまりにも壮大で複雑だったので、
理解するの諦めたんですけど、そこでは、多分「ナラ」なんて名前出てこんかったんだて!
自分が読んだ範囲では…。
(てか、SPACのサイトにあらすじ書いてあったの、たった今、知った…。)
しかし、劇場で一緒だった劇団仲間の文乃さん曰く「一切の予習なくても感動して泣ける」
とのことだったので、大丈夫かなぁ…と思いながら観始めたわけですが…、
確かに予習とか一切要らんかった(笑)

逆円形舞台、と表現すると伝わりやすいのだろうか、客席を取り囲むように舞台があり、
冒頭のシーンで、エキゾチックでダンサブルな音楽に合わせて、役者がゆっくりと
歩きながら登場してくる様はかっこよすぎて鳥肌モノでした。
しかも、ステージ奥にある樹木にその影が映ってるんですよね。超クール。
物語はインドの叙事詩なのですが、舞台での表現手法としては、演劇をベースに、
能や文楽の要素が取り入れられており、さらに、逆円形舞台に関しては、
奥行きがないので平面的な使い方なのですが、それが紙芝居のような、影絵のような、
はたまた絵巻物のような不思議なビジュアルを作り出していて、音楽も含めて、
アジア感に満ち溢れているというか、シルクロード感に満ち溢れておりました。
それを、「シルクロード東の終着点」と言われる奈良・平城宮跡で観られるこの贅沢!

心配していたストーリーも、一応(途中まで)予習していた内容のある時点から
スタートはしていたのですが、基本的には、冒頭にもあるとおりシンプルな内容で、
それが気持ちいいスピード感に乗せて、笑いあり・涙あり・緊張ありで進んでいくので
もう余計な頭を一切使わず、この祝祭劇に安心して身をゆだねることができました。
そうやって考えてみると、野外ということもあって、なんだかヒーローが活躍する
紙芝居を観ているみたいだったかもなぁ。…駄菓子はなかったけど、
ちょっとした客いじりもあったし(笑)
※余談ですが、お茶のCMの場面で、「奈良の春日野」の替え歌が使われていたのが
極めてよかったw「ひょうきん族!!」って一人ひそかに喜んじゃったし、
しばらく「ふんふんふ~ん」が頭を離れなかった…。


まぁ、あんまりごちゃごちゃ言ってもしょうがなくて、とにかく圧倒されたし
楽しかったんですけど、いつものように「良いもの見せてもらいました」というのとは
少し違って、逆円形舞台と暗闇の中の照明のおかげで、まるで劇世界に
包み込まれたかのような感覚。劇中の登場人物も含めて、みんなでこの幸せな時間を
共有できてよかった、というのが、この感覚を表す的確な表現かもしれない。

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東アジア文化都市2016奈良市 舞台芸術部門 野外舞台公演
SPAC「マハーバーラタ~ナラ王の冒険~」
2016年9月9日~12日 @平城宮跡(東区朝堂院)

台本:久保田梓美
演出:宮城聰
出演:阿部一徳、赤松直美、石井萠水、大内米治、大高浩一、片岡佐知子、
加藤幸夫、貴島豪、黒須芯、榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、関根淳子、
大道無門優也、舘野百代、寺内亜矢子、仲村悠希、本多麻紀、牧山祐大、
美加理、三島景太、森山冬子、山本実幸、横山央、吉見亮
音楽:棚川寛子 空間構成:木津潤平 照明デザイン:大迫浩二
衣装デザイン:高橋佳代 美術デザイン:深沢襟 音響デザイン:加藤久直
舞台監督:村松厚志 演出部:山田貴大、佐藤洋輔 照明操作:小早川洋也
音響操作:牧嶋康司 衣装:大岡舞、川合玲子 ヘアメイク:梶田キョウコ
字幕翻訳:スティーヴ・コルベイユ 制作:大石多佳子、中野三希子
技術統括:大田和司 会場設営:維新派 照明:(株)ピーエーシーウエスト
音響:(株)エス・シー・アライアンス 舞台照明機材提供:丸茂電機(株)
製作:SPAC 静岡県舞台芸術センター

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by yokusang_09 | 2016-09-11 22:57 | 芝居を観てきた2016 | Comments(0)

庭劇団ペニノ「ダークマスター」@オーバルシアター

ペニノによるダークマスター再々演。
ということで、ゴールデンウィーク後半は、大阪に行ってきました。
(日中は、京都で買い物してましたけど…)

c0025481_22343262.jpg(あらすじ)
大阪にある洋食屋「キッチン長嶋」。
超一流の腕を持つマスターが一人でやっている小さな洋食屋。
しかし、偏屈な人間性と極度のアルコール中毒のため全く客がこない。
ある日一人の若者が東京から客としてやってくる。自分探しをしている無職の男だった。
マスターは自分の代わりにここのシェフになれと提案する。しかし若者に料理人の経験はない。
マスターは若者にイヤホン型の小型無線機を渡す。そして自分は二階に隠れ、無線を使って若者に料理の手順を伝えるというのだ。
行く当てもない若者はそれを引き受ける。
そして、やがて有名な行列店になる。
しかしあの日以来マスターの声は聞こえるが姿を見かけない…。


芝居の舞台自体が大阪の洋食屋という設定で、今回は実際に大阪公演。
阿部野橋の細い路地の角にあるところが会場なのですが、
普段からカフェとかレストランとかなのかと思ったのですが…。
なわけないねw 普段はちゃんと劇場のようです。
でも、普通に、厨房のあるスペースを借りているのかと思ってしまう…。
いや、美術のリアルさについては知っていましたが、まさかここまでリアルだとは。
だって、もう、都市レベルからセットが始まってるじゃないの、これw

そんな超絶リアル空間で展開されるこの芝居、もう3度目の上演なので
ネタバレも何もないのですが、客席には片耳分のイヤホンがセットされていて、
イヤホンから流れる音声を聞きながら鑑賞するのですが、
そこから流れる音声というのは、マスターの声なのですね。
マスターが遠隔操作で、レストランの2階から指示出しをして、
素人の青年に料理をさせるわけです。
そして、客は劇中の青年と同じように、イヤホン越しにマスターの声を
聞くことになるわけです。
ちなみに、実際に料理しちゃうところも、もちろん再々演でも同じ。
わし、あんまりお腹すいてなかったからよかったけど、これ時間的にも、
空腹だったら結構な苦行だな…w

公演のある都市、劇場の立地する場所、空間、登場人物(キャスティング)、
実際に行われる調理、そしてイヤホン越しのマスターの声。
想像を上回るレベルで構築された、自分の目の前に広がる空間を、
確かに、自分はいかにも芝居小屋的なシートに腰を掛けて見ているわけなのですが、
客イジリこそないものの、いろんなことがボーダレスな状態になりつつあり、
物事を覗き見るように目撃する、というよりも、登場人物たちと
この場で起きていることを共有するとか、もしくはこの空間の内装にでもなって、
芝居に参加しちゃってるみたいな、そんな気分でした。
そしてなにより、舞台上で実際に料理をして、定食を用意し、
それを別の人に食べさせる、ということで、あんなにも(良い意味での)緊張感が
走るものなのね…という(笑)
上演時間が2時間半くらいあったのですが、その尺になった理由は、
間違いなくお料理作ってたことが最大の要因ですよね(笑)

と、最低限のあらすじくらい知っていれば(知ってなくても)十分面白いのだが、
この日はアフタートークで、ロボット工学の第一人者である阪大の石黒特別教授が
ゲストにきていて、またこの話が面白かった。
この作品で描かれていることは、ロボット研究の中で学術的に証明されていることが
いっぱいなのだそうだ。
(石黒先生曰く「めちゃくちゃわかる。てか、自分の話かと思った」らしいですw)
石黒教授といえば、平田オリザと組んでロボット演劇をやっていたので有名ですが、
私が観たのはあれこれ6年近く前ですが、この芝居で描かれていたエピソードの数々は、
実際に、ロボット演劇の製作過程で青年団の役者が体験しているらしい(笑)
そんなこんなで、アフタートークは勉強にもなったし、身も蓋もない感じで、
実に面白かったし、興味深かった。
人間による演劇という表現方法によって、人間同士とのやり取りを描いた世界が、
実は機械と人間との間でも現実に起きていて、その事実もまた、
こうして偶然にもリンクしていく。

そう考えると、この芝居って、自分が思っていたのよりも、ずっとずっと
リアルでボーダレスなお芝居だったんだなぁ、なんて。

-----------------------------------------------------
庭劇団ペニノ「ダークマスター」
(大阪公演)
2016年5月5日~8日、12日~15日
@OVAL THEATER(オーバルシアター)

原作:狩撫麻礼 
画:泉晴紀
(株)エンターブレイン「オトナの漫画」所収
脚色・演出:タニノクロウ
出演:緒方晋(The Stone Age)、井上和也、大石英史、FOペレイラ宏一朗、坂井初音、
野村眞人、相馬陽一郎、たなべ勝也、山中麻里絵(劇団しようよ)、尾崎宇内(無隣館)、
髭だるマン(爆劇戦線 和田謙二)、廣川真菜美、杉田一起、吉田雄一郎
美術:カミイケタクヤ 演出助手:葛川友理 舞台監督:夏目雅也 照明:伏屋知加
音響:井尻有美 映像:三谷正(PixelEngineLLC.) 
美術アシスタント:竹腰かなこ、さかいまお 中国語翻訳:小野塚佳代子
宣伝美術:甲賀雅章 制作:小野塚央、さくらこりん、落合佳人
プロデューサー:中立公平 特別協力:(一社)KIO 
企画:庭劇団ペニノ、OVAL THEATER 主催:(同)アルシュ、(有)PHI
助成:アサヒ芸術文化財団、芸術文化振興基金
平成28年度城崎国際アートセンター アーティスト・イン・レジデンスプログラム採択事業

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by yokusang_09 | 2016-05-07 22:29 | 芝居を観てきた2016 | Comments(0)

NODA・MAP「逆鱗」@東京芸術劇場プレイハウス/シアターBRAVA!

c0025481_0513149.jpgひょんなことから、東京と大阪で2回観てしまいました。
東京以外でノダマップ観るの、実は初めてなんですよね。
ネタバレになりますが、人間魚雷「回天」がテーマのお話。

ぶっちゃけてしまうと、テーマのチョイスは「オイル」に似たものがあるし、
話の展開のさせ方は「エッグ」に似ている。
「オイル」はヒロインが松たか子だったし。ますます似ているw
特攻隊に比べれば、人間魚雷は比較的認知度が低いのかもしれないが、
かといって、さほど新鮮味のあるモチーフでもないし、
それに、ストーリーの展開も、まぁ、強引と言えば強引かもしれない(笑)

と、言いつつ…めちゃくちゃ面白いんですよ、この芝居。
そりゃあ、もう、悔しいくらいに(笑)
東京と大阪と2回観たけれど、2回ともグイグイ引き込まれてしまった。
まぁ、オイルもエッグも、個人的には大好きな作品ではあるのですが、
潔いまでに王道というか、ノダっぽさ満載で構成されていた、
というのもあるかもしれないし、ビジュアル(美術等)の美しさという
要素も大きかったと思います。
テーマの既視感と、直接的な訴求性と、戯曲による包み方が、
バシバシッとキマッたパターンなのではないかと思ってみたり。

王道と言いつつも、ひとつだけ「おや?」と思ったことがあり、
それは野田さんがガンガンは出てないのに、そこに不満がなかったこと(笑)
いや、結構出ていたと思うが、井上真央の存在感がかなり強くて、
ポイントはちょいちょい押さえていたけど、あまり仕事してなかったような・・・
というくらいの印象だったりする。
この点については、俳優・野田秀樹好きとしては地味に衝撃でしたw
あと、瑛太が異常なまでにカッコよかったし、井上真央も凄くよかったし、
アンサンブルのみなさまだって、なんだかもはやアンサンブル域を
超えているような気もしますし。

最初に言った、既視感とかモチーフの新鮮味のなさとか、
その点が引っかからないかと言われれば残念ながら、
多少は引っかかるのだがw、その辺を諸々を全部超越していた。
いやー、素直に、すごかった。面白かった。

余談ですが、東京と大阪で客席の反応を比べてみると、
大阪の方があんまりリアクションよくなかったのに、大阪では、
定番のカーテンコール終了後にまさかのスタオベになってしまい、
野田さんが土下座していたのが、結構衝撃的でしたw
地方公演だとこういうことがあるのか(笑)
あと、良い芝居は2回見るのがいい。贅沢だけど。

---------------------------------------------------------
NODA・MAP 第20回公演 「逆鱗」
(東京公演)2016年1月19日~3月13日 @東京芸術劇場プレイハウス
(大阪公演)2016年3月18日~27日 @シアターBRAVA!

作・演出:野田秀樹
出演:松たか子、瑛太、井上真央、阿部サダヲ、池田成志、満島真之介、銀粉蝶、野田秀樹
秋草瑠衣子、秋山遊楽、石川朝日、石川詩織、石橋静河、伊藤壮太郎、大石貴也 
大西ユースケ、織田圭祐、川原田樹、菊沢将憲、黒瀧保士、近藤彩香、指出瑞貴 
末冨真由、竹川絵美夏、手代木花野、中村梨那、那海、野口卓磨、的場祐太、
柳生拓哉、吉田朋弘
美術:堀尾幸男  照明:小川幾雄  衣裳:ひびのこづえ 
選曲・効果:高都幸男  振付:井手茂太  映像:奥秀太郎 
美粧:柘植伊佐夫  舞台監督:瀬﨑将孝  プロデューサー:鈴木弘之
主催:NODA・MAP
共催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)


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by yokusang_09 | 2016-03-19 18:24 | 芝居を観てきた2016 | Comments(0)

ほりぶん「得て」@アートコミュニティスペースKAIKA

c0025481_2165713.jpgいやぁ。この発想すごいわw
まさか、テレビ画面の中の人と、あんなに芝居で絡み合うなんてw

死んだ友人が残したメッセージビデオをみんなで観て、涙した後、まさか本人がビデオ越しに登場し、あの頃聞けなかったことや心の内を伝えたりしつつ、いつのまにやら、一緒にビデオを観ていた友人も死んでしまう、というお話ですが、ホラー要素は一切なし。女性達の感情の高ぶりやら、痴話喧嘩やらはありましたけど。安定の調子で。

でも今回なにがすごいって、まさかのキャスト4人中、1人は主にモニタ越しの出演ってことよね。あれ、実際のところ、かなりやりにくいんじゃないかと思うんだけど。だって、人間関係とは別のところで、決定的に1対3になるじゃん。てか、客としては慣れるまで結構モニタの方を見ちゃいましたよ。(通常なら、他の役者に視線が行きそうなところであっても)演出としてどこまで狙っていたのかはわかりませんけど・・・。あと、別にモニタばかり見てても、最初はそれほど支障はなかったけど、でも、きれいな女優さんが結構な熱量の演技をしていたのに、ちょっともったいなかったな、という(笑)

でも、この映像もの、大半はライブだと思うんですけど、途中から明らかに録画したものにあわせて台詞を言うシーンがあったり(録画された役者としっかり会話を交わす)、逆にモニタの中の人(川上さん)は、声だけじゃなくて、舞台上の役者の動きにあわせて顔や目線も動かしているわけだから、今回も大笑いしましたけど、それと同時に、この芝居の緻密さというか、手の込み具合だったり役者の力量だったりといったところに「ほえ~っ」となっておりました。

あと、ばかばかしくもちょっと悲しいお話なのよね。何とも処理できない気持ちを他人に伝えるときに、チョイスした言葉って額面どおり受け取ってほしいときもあるし、必ずしもそう言えないこととかもあって。ギャーギャー喚いてる時点で、それもディスコミュニケーションなんだけど、そんなすれ違いもあったりして。

今回はストーリーや演出にまさかの技巧があったのも印象的でしたが、それ以上に気になったのは役者4人の存在感。キャスティングの秀逸さというか、個々のスペック発揮度合いが実に素晴らしい。当たり前のことではあるんですが、それが作品強度につながっていて、さりげなく贅沢な時間を構築していたなぁ、なんて思ってしまいました。

個人的には、西日暮里とか町屋とか超馴染みのある地名がでてきたのも良いw 確かに西日暮里にも町屋にもケンタッキーありますわw(何でこんなことを京都で思い起こしているのかは、知らん。)

以上。

--------------------------------------------------------
ほりぶん 第2回公演
「得て」
(京都公演)2015年12月17日~20日
@アートコミュニティスペースKAIKA

作・演出 鎌田順也(ナカゴー)
出演:墨井鯨子、
川上友里 (はえぎわ)、
上田遥(ハイバイ)、
木乃江祐希(ナイロン100℃)
音楽協力:中村むつお イラスト:持田加奈子

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by yokusang_09 | 2015-12-20 20:10 | 芝居を観てきた2015 | Comments(0)

岡崎藝術座「イスラ!イスラ!イスラ!」@京都芸術センター

c0025481_145081.jpg柏時代、最後に観た芝居が岡崎藝術座だったわけですが、そのときの作品の兄弟的な作品になるようです。確かに、取り扱っているテーマは似ている。

ある架空の島の歴史について、人間ではない者たちに語らせる、という形で芝居は進行していきます。とはいえ、多分、全面的に島そのものが、王様という叙事詩的に語っているのだとは思うのですが。
全員仮面をかぶっていて、その形状から何となく、架空の島は南の島なのだろう、ということは想像可能なのですが(戯曲中にも台詞としてでてくる)、小笠原諸島をモチーフにしていると言われながらも、沖縄のようにも、日本全体のことのようにも思え、確かに特定できるものではありません。ただ、やっぱり日本のどこかっぽいモチーフがちらつくので、日本人である我々には、何か完全に架空のこととも思えれず、かといって直接的な共有がなされるわけでもなく、意識やらDNAやら、そういうものに直接作用するような、そういう感覚になってくるのです。

「アビタシオン~」が、どちらかというと私小説的な印象が強かったのに比べて、今回の方が物語的な印象が強いこともあってか、モチーフのチラつかせ方もあって、より客の内面に訴えてくる感覚というのはあったかな。他者との共存とか、行き過ぎた正義とかそんなようなことを声高に訴えているわけではないのですが、今回の作品モチーフになっている小笠原諸島自体が、もうそんなことお構いなし(?)みたいな歴史を歩んでいて、それを知ってしまうと、最近の世界のニュースを見ていると、何とも言い難い気持ちになってくるのです。(てか、作品モチーフ知らなくても、観ていると、何だかそういう気分になってくる。)

5人の役者はずっと仮面をかぶっていて、髪型によっては男女の区別もよくわからないくらいだったのですが、それぞれ味があって面白かったです。個人的には、最後の台詞担当だった女優さん(ずーっと自転車のペダルをこいでいた・・・)が印象的。声がハスキーで、なんちゅーか、一瞬エモジュンかと思った(笑)しかし、あの達観した感じの低音ボイスは、最後にふさわしかったなぁ。ずーっとペダル漕いで電球灯していたので、お疲れさまだと思いましたけど。(てか、ペダルで発電って、つるピカハゲ丸かよ・・・と一瞬頭をよぎったのは内緒w)

色々なことが作用して、すごく身の締まる芝居だったなぁ、という感じでした。
てなわけで、劇場出てからも、しばらく余韻に浸っておりました。
ガツーーンときた。

------------------------------------------------------------------------------
岡崎藝術座 「イスラ!イスラ!イスラ!」
(京都公演)
2015年12月17日~20日 @京都芸術センター

作・演出:神里雄大
出演:稲継美保、嶋崎朋子、武谷公雄、松村翔子、和田華子
美術:稲田美智子  衣裳:藤谷香子(FAIFAI)  照明:筆谷亮也  音響:和田匡史
技術監督:寅川英司  技術助手:河野千鶴  
舞台監督:渡部景介(熊本・京都公演)、横川菜保子(東京・横浜公演)
映像:ワタナベカズキ  写真撮影:富貴塚悠太  宣伝美術:古屋貴広[Werkbund]
制作:中村茜、内山幸子、川崎陽子  制作インターン:穂坂拓杜
制作協力:古殿万利子[劇団きらら] (熊本公演)
企画制作:プリコグ  製作・主催:岡崎藝術座、プリコグ
共催:京都芸術センター (京都公演)、早稲田大学 (東京公演)、STスポット (横浜公演)
協力:プリッシマ、シバイエンジン
助成:公益財団法人セゾン文化財団、芸術文化振興基金
アーツカウンシル東京[公益財団法人東京都歴史文化財団] (東京公演)
アーツコミッション・ヨコハマ[公益財団法人横浜市芸術文化振興財団] (横浜公演)

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by yokusang_09 | 2015-12-20 16:42 | 芝居を観てきた2015 | Comments(0)


生きて名古屋に帰って来たよ。


by yokusang_09

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