カテゴリ:芝居を観てきた2017( 27 )

今年観た芝居を振り返りベスト5を選んでみる2017

毎年恒例。今年観た芝居を振りかえり、個人的にベスト5を決める。
今年は演劇37本、ダンス1本(プロジェクト大山「大山曼荼羅」に、
静岡の演劇フェス「ストレンジシード」に出かけた。
映画はあんまり観てないかな…。記憶がないw
あとは劇作の方には気づいたら3本ほど関与。そんな暇あったんかいなw
衣装の仕事は、物量多くて大変でしたけど、充実した感じで終えることができました。

今年の傾向としては、本数減ってますね。
あと、前半に東京が多くて、後半に名古屋が多い。
他都市もよく出かけてます。一番遠いのは岡山か!(もっとゆっくりしたかった、岡山…)

●2月19日 パルコプロデュース「キャバレー」@刈谷市総合文化センター
▲3月4日 NODA・MAP「足跡姫~時代錯誤冬幽霊~」@東京芸術劇場プレイハウス
▲3月5日 ベッド&メイキングス「あたらしいエクスプロージョン」@浅草九劇
▲3月11日 NODA・MAP「足跡姫~時代錯誤冬幽霊~」@東京芸術劇場プレイハウス
▲3月11日 玉田企画「少年期の脳みそ」@アトリエ春風舎
▽3月18日 ミクニヤナイハラプロジェクト「曖昧な犬」@クリエイティブセンター大阪 ブラックチェンバー
☆3月20日 SPAC「真夏の夜の夢」@静岡芸術劇場
▽4月8日 悪い芝居「罠々」@HEPHALL
●4月22日 コトリ会議「あ、カッコンの竹」@ナンジャーレ

●4月22日 オイスターズ「うちやまつり」@七ツ寺共同スタジオ
▲4月29日 デス電所「すこやかに遺棄る」@下北沢ON/OFFシアター
▲4月29日 クロムモリブデン「雲と空とバラバラの奥様」@吉祥寺シアター
☆5月5日 SPAC「アンティゴネ~時を超える送り火~」@駿府城公園紅葉山庭園前広場特設会場
▲5月20日 小松台東 「山笑う」@三鷹市芸術文化センター星のホール
▲5月20日 劇団唐組「ビンローの封印」@鬼子母神

☆5月28日 演劇ユニットcoicoi 「贋作・罪と罰」@岡山県天神山文化プラザ
●7月16日 第七劇場「人形の家」@三重県文化会館小ホール
●8月10日 少年王者舘「シアンガーデン」@七ツ寺共同スタジオ
▲8月11日 日本総合悲劇協会「業音」@東京芸術劇場シアターイースト
▲8月18日 八月納涼歌舞伎第三部「野田版桜の森の満開の下」@歌舞伎座

●9月7日 ぐりむの法則「フクロウガスム」@千種文化小劇場
☆9月9日 SCOT「北国の春」@富山県利賀芸術公園(利賀山房)
☆9月9日 SCOT「サド侯爵夫人」@富山県利賀芸術公園(新利賀山房)
☆9月9日 SCOT「世界の果てからこんにちは」@富山県利賀芸術公園(野外劇場)

●9月13日 日本総合悲劇協会「業音」@青少年文化センターアートピアホール
●9月30日 ロロ「BGM」@三重県文化会館小ホール

●9月30日 虚構オメガ「沈黙と産声」@BRICKYARD
●10月14日 下鴨車窓「冬雷」@四天王寺スクエア
●10月14日 廃墟文芸部「アナウメ」@千種文化小劇場
●10月22日 愛知県文化芸術振興財団「それからの街」@愛知県芸術劇場小ホール
●10月28日 星の女子さん「ハワイアン」@ナビロフト
●11月4日 少年王者舘「人工恋愛双曲線」@七ツ寺共同スタジオ
●11月18日 劇団B級遊撃隊「不都合な王子」@千種文化小劇場

▲11月25日 東葛スポーツ「ハウス」@六本木スーパーデラックス
●12月6日 ナイロン100℃「ちょっと、まってください」@三重県文化会館中ホール
▲12月16日 チェルフィッチュ「『三月の5日間』 リクリエーション」@神奈川芸術劇場大スタジオ
▲12月16日 ブス会*「男女逆転版・痴人の愛」@こまばアゴラ劇場

[凡例]
●…東海3県(愛知・三重) ▲:首都圏(東京・神奈川)
▽:関西圏(大阪、兵庫) ☆:その他の地方
※灰色文字は感想未掲載


別に批判対象にはならなくなってきたチケット代ですが、今年は147,900円でした。
ダンス入れると、15万100円とか、かな。
旅費は97,000円くらいしてました。なんで!!(苦笑)
時々新幹線乗ってるからか!!…これだから、首都圏以外はイヤ!!(笑)
って、このセリフも柏から引っ越ししてきてから毎度言ってる!!

で、この中からベスト5を選ぶわけですが。
というわけで、以下の5本にしたいと思います。(観劇順)

・SPAC「アンティゴネ~時を超える送り火~」@駿府城公園紅葉山庭園前広場特設会場
・八月納涼歌舞伎第三部「野田版桜の森の満開の下」@歌舞伎座
・ロロ「BGM」@三重県文化会館小ホール
・劇団B級遊撃隊「不都合な王子」@千種文化小劇場
・チェルフィッチュ「『三月の5日間』 リクリエーション」@神奈川芸術劇場大スタジオ


歌舞伎とか選んでしまったけど、すんません、だってよかったんだもん。
余談ですが、この5本、たまたま上演場所(都市)がバラバラでして。
(静岡、東京、津、名古屋、横浜)
そんだけなんですけど。あとは、悪い芝居「罠々」が悩みどころでした…。

来年は1月にいきなりまとめて、東京と横浜で3本くらい観まくります。
自分はまとめて観らえるからありがたいけど、本番かぶりすぎ説を提唱したい(笑)
(可能なら、もっと観たいのだが、時間とホテル代が不足)
衣装仕事の方も、来年も恐らくやります。身辺の状況が不明すぎて自信ないけど。

というわけで、皆様、良いお年を。

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(写真は何となく冬っぽい様子)
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by yokusang_09 | 2017-12-31 18:53 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

ブス会*「男女逆転版・痴人の愛」@こまばアゴラ劇場

この作品が今年の観劇納めだったのだが、東横線が地味に遅延して遅刻の危機…。

c0025481_02503465.jpg【あらすじ】
「小鳥を飼うような心持」で女給の少女「ナオミ」との同棲を始めた平凡な主人公・譲治。二人の主従関係が逆転していく様を描き、1924年の発表から約100年の時を超えて未だ読まれ続ける不朽の名作、谷崎潤一郎の『痴人の愛』を、現代に置き換え男女逆転させて描くブス会版『痴人の愛』。
仕事人間の40歳独身女性の“私”は男性に対して独自の理想を持つようになる。それは未成熟な少年を教育して自分好みの男に育て上げるというもの。ある日“私”は美しい少年ナオミと出会い、「小鳥を飼うような心持」で同棲を始める。人見知りで垢抜けない少年だったナオミは次第にその美貌を利用して奔放な振る舞いを見せるようになり“私”はナオミに翻弄され身を滅ぼしていく…。


谷崎潤一郎の「痴人の愛」を、男女逆転にしてアレンジした作品。
譲治は洋子に、ナオミはナオミとなって登場してくる。
恥ずかしながら、ちゃんと読んだことはないのだが、だいたいのあらすじは知っていた。
概ね原作に沿っている(はず)のだが、ラストだけが大きく違うのかな。
(ネタバレになってしまうが、主人公はナオミの首に手をかけてしまう)
その辺は、ブス会っぽいというか、今回のユニットのイメージに合う感じで
自分としては、しっくりくる好きな結末だった。

時代的に、原作ベースな部分(大正時代)と現代風な部分とが混在している感じが、
文学的な雰囲気と一体となって、少し不思議な空気感を作っていた印象。
現(うつつ)ではない感覚とでも言えばいいのか。
それは、少年の存在もそうだし、主人公の願望の隔世感にも当てはまるかも。
全体的にソリッドな作りをしている中でも、笑いのポイントもしっかり押さえていて、
構成的には大変観やすい感じ。元々は新聞連載小説だったので、ストーリーのテンポもよい。
安藤さん演じる主人公の、静かに燃えたぎる愛憎の念は、圧がすごかったし、
ラストは、寺山修司の作品を思い起こさせるような展開で、やはり愛憎の念が
今の自分にはビシビシ感じ取られて、ついつい感情移入してしまった。

ただ、個人的にはもうちょっと遊んでしまってもよかったかな、とは思う部分も。
その文学的で、非現実的な空気感をまとっているが故に、ナオミの不義理に対して、
主人公は怒りに燃えて般若になってもいいかな、みたいな(笑)
でも、本当に般若のお面が出てきたら、少しチープで露骨かもしれないのだけどw、
舞台美術も能舞台っぽく見えたし、折角チェロ生演奏付きだし、羽織も出てくるし、
やっぱりもうちょっと遊んでもよかったかなぁ…。
文学的で抒情的な雰囲気を大切にして、あえて抑制気味な演出にしていたのかもしれないが、
とはいえ、役者のエネルギー的に(←適当な言い方がわからん)舞台を
埋めきれていないな、と感じる瞬間もあったので。
(抑え気味の演出自体は、大人っぽい雰囲気がして好きではあるのだが…)

夏に鬼子母神で観た唐組の芝居で、主役を演じていた福本さんは、
「え!こんな演技もするんだ!」という感じで、要するにおとなしかったのだが(笑)、
あの色気と若さと憎たらしさは、この作品には絶対に欠くことのできない役者だった。
俺もあんなふうになりたいなぁ(笑)むりだけど!

というわけで、自分としては戯曲もキャスティングもよかったとは思うのだが、
演出的にもう一ひねり(もしくは一押し)欲しかったかなぁ、という印象。
人的・物的条件は整っていたが故に。面白かったんですけどね。

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ペヤンヌマキ×安藤玉恵生誕40周年記念ブス会*
「男女逆転版・痴人の愛」
2017年12月8日~19日 @こまばアゴラ劇場
脚本・演出:ペヤンヌマキ(原作:谷崎潤一郎『痴人の愛』)
出演:安藤玉恵、福本雄樹(唐組)、山岸門人、浅井智佳子(チェロ演奏)
美術:田中敏恵  照明:伊藤孝(ART CORE)   音響:中村嘉宏
舞台監督:村田明、土居三郎 演出助手:奈良悠加 小道具:小林麗子
イラスト:Cato Friend   宣伝美術:冨田中理(Selfimage Products)
WEB:rhythmicsequences   宣伝写真:宮川舞子   広報:黒澤友子
制作:半田桃子、横井佑輔  制作助手:榎本靖、岩田博之  制作協力:木下京子、黒澤友子
企画協力:山田恵理子  協力:マッシュ、唐組、テレコムスタッフ
主催:ブス会*

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by yokusang_09 | 2017-12-16 23:46 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

チェルフィッチュ「『三月の五日間』リクリエーション」@神奈川芸術劇場大スタジオ

c0025481_02370445.jpgチェルフィッチュの超代表作が新しいメンバーを迎えて再演ということで、名古屋や豊橋でも上演予定はあるのですが、一足先に横浜で観劇。
「演劇に身体を持ち込んだ作品」という紹介がパンフレットにありましたが、確かに、この作品ではないけれど、チェルフィッチュの芝居を最初に観たときは、今にして思えば衝撃でしたわ…。

イラク戦争開戦前後の5日間を渋谷のラブホテルでずっと過ごしていた男女の話、なのですが、意外とその周辺事情も描かれているのね…。案外その周辺事情が、面白くって笑っちゃう。
しかしこれ、渋谷と六本木と虎ノ門までの地理がわからないと面白さがちょっと減少しちゃうかも…。まぁ、外国でも上演しているので、わからなくても大丈夫なんだろうけど、わかってるとすっごく楽しい(笑)ちなみに僕は思いっきりわかるエリアなので、楽しかったです(笑)
六本木のライブハウスって、スーパーデラックスだよね。この前行ったし!

六本木ヒルズ開業前の話、と言われるとちょっと時代が経過しているようにも思えるけど、正直イラク戦争そのものはあまり問題ではなくて、むしろ、世界と私との関係性のような、そういったことが描かれている普遍的な作品なのかな、という印象でした。
まぁ、戯曲の設定から10年以上が経過した今となっては、そのイラク戦争の影響が未だ続いているし、他にも世界では深刻な事態が発生していて、ちっとも「すぐ」終わっていないということがわかっているので、登場人物の語る内容には、なんとも複雑な気持ちになるのですが…。
でも、その時の経過から感じることも含めて、やはり「イラク戦争」の部分は代替可能だし、つまりは、いつの時代にも当てはまることだったりするのかな、と。(むしろ、もっと強烈になってくるかもしれないくらいですわね)

それと、観たままです、のようなコメントがあったので、あえて私は観たままに言いますけど、劇中のテンション低めのデモ参加者や、関係なくセックスしまくっていた2人のこととか、全く批判する気にはなれないんですよね。そもそも批判的な描写でもありませんでしたけど。
自分は、声を上げるもの、上げないもの、それぞれに対して肯定的にも否定的にも取れちゃう。結局起こっていることは起こっていることで、何を信じるか、どう見るか、なのかな、なんて。(そういう意味では、最後の近隣住民の声は象徴的かも。)

今回は、20代の若い役者を起用してクリエイションしているもんだから、余計にそういう感覚があるのかもしれない。いつものノイジーな身体は、アクションとしてはやや控えめだったようにも感じたのだけれど、逆にそこにエネルギーを感じたし、劇中に音楽はないのだけれど、ある種のBGM的効果を感じてしまった。(←こんなこと感じてるの自分だけかもしれないけど)

まーほんと、心に残る作品でしたわ。ガツンときました。
最後、思いっきり余談ですけど、チェルフィッチュの芝居観た後って、しばらく真似したくなるんですけど、というか、しちゃうんですけど、え、ならなくないですかぁ?(←手をぶらぶらさせながら)

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チェルフィッチュ 
「三月の五日日」リクリエーション (横浜公演)

2017年12月1日~20日 @神奈川芸術劇場大スタジオ

作・演出:岡田利規
出演:朝倉千恵子、石倉来輝、板橋優里、渋谷采郁、中間アヤカ、米川幸リオン、渡邊まな実
舞台美術:トラフ建築設計事務所
技術監督:鈴木康郎 照明:大平智己(ASG) 音響:牛川紀政
衣裳:藤谷香子(FAIFAI) 演出助手:犬養真奈 宣伝写真:小林健太
宣伝美術:牧寿次郎 主催:KAAT神奈川芸術劇場 助成:芸術文化振興基金
企画制作:株式会社precog 製作:一般社団法人チェルフィッチュ、KAAT神奈川芸術劇場
国際共同製作:KAAT神奈川芸術劇場、ロームシアター京都、Kunstenfestivaldesarts
国際共同製作賛助:穂の国とよはし芸術劇場PLAT、長野市芸術館、山口情報芸術センター[YCAM]
レジデンスサポート:豊橋市、穂の国とよはし芸術劇場PLAT
協力:急な坂スタジオ、城崎国際アートセンター(豊岡市)

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by yokusang_09 | 2017-12-16 16:32 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

NYLON100℃「ちょっと、まってください」@三重県文化会館中ホール

おれ、実はナイロンを東京以外で観るのって初めてではないか?
東京以外でケラ演出作品を観たことは何度かあるけど。
というわけで、三重県文化会館までドライブでおでかけ。
(3時間ちょいも芝居観てると、名古屋まで帰れるかどうか怪しかったから…)

c0025481_02550112.jpg【演出コメント(一部抜粋)】
この度書こうと考えているのは乞食と金持ちが入れ替わる物語だ。と書くと「そりゃ、あれじゃないか、『王子と乞食』じゃないか」と言う者もあろう。敢えて否定せず、観て驚いてもらう手もなくはないものの、やはりここはキッパリと言っておく。「まっっっっったく違います」。まず、王子は出ない。乞食と入れ替わるのは金持ちであり、また、金持ちも乞食も「家族」、つまり複数だ。単数より多い。多けりゃ勝ちというものではないが。
現代における道化としての、金持ちの家族と乞食の家族。彼らは、紋切型の言葉で言えば日常的な生活空間からこぼれ落ちた人々だが、それだけに、或る演劇的な佇まいを見せている。彼らほど、我々の今を代表する道化師にふさわしい者たちはいない。
これ以上のことは、ちょっと、まってください。


今回の作品は「不条理喜劇」を目指したとのことで、いつもの「ナンセンスコメディ」とは
似ているようで、違うものなのだとか。
「不条理喜劇」と「ナンセンスコメディ」の違いは正直なところ、言語化できるほど
よくわかっていないのですが、ただ、「不条理喜劇」と言われて、何となく腑に落ちるのは、
ほかならぬ、別役実作品のオマージュがハンパないからでしょう(笑)
ケラさん本人も、当日パンフの中で書かれておりますが(てか、やっぱパンフ買えばよかった)、
電信柱、リアカー、おままごと…と聞くと、んもーーー、別役実!
あと、あの乞食の兄弟の会話なんかも、まさに別役実ですw
余談ですが、冷静に振り返ってみると、ああいう不条理劇の会話って、
現実世界で考えてみると、なかなかに気が狂ってるけど、案外せっかちな
B型みたいな人はやってる気もしますね。
つまり私は、日常でやってる可能性があるということですね…。怖い…。

では、不条理とナンセンスの違いは?というと、前段の自分の言い方からすると
別役的なものとケラ的なもの、ということになってしまいそうなのですが、
それが何か、そこまで分析する知識がないので省略w
過去にも、ナイロンの作品の中で、別役作品を意識した作品はあったはずなのだが、
自分がこれまで観た中では、別役実へのオマージュが過去最高レベル。
オマージュというか、サンプリングというか。そういう意味ではちょっと音楽的?

別役実というと、個人的には「天神様のほそみち」と「帽子屋さんのお茶の会」の
イメージが強烈にあって、そしてそのテンションが、(今となっては刷り込みレベルで)
決して得意とは言えないのですが、実は今回、結構そのあたりの不条理テンションが
展開されてた気がするんです(笑)
自分はその日、運転する関係で眠気対策をしていたので元気でしたが、
これは疲れてると眠くなっちゃうヤツでは…。
というか、このテンションで3時間ってどうなんの?と思っておりましたが、
ド直球の不条理から、メタっぽい要素が張り込んだりして段々と
時空が歪んでいるような世界となり、そして、いつのまにやらストーリーが
大きく動きだしちゃうんですね…。
ちなみに、ストーリーが動き出すと、「不条理喜劇」の「喜劇」部分が増してくる印象。
最後の最後で、しっかりタイトル(「ちょっと、まってください」)も回収していますし。
ところどころ、現代に対する批判というか皮肉っぽいともとれる場面があったり。
(「中立派」のエピソードは、大変に興味深い…。)

で、なんか振り返ってみると、そんなところも含めて、実に上手い構成になっていて、
なかなかにエンタメ作品というか、「不条理喜劇」だったな、とまとまってしまう(笑)
しかも面白くて、あっという間の3時間10分。なんか、見事に乗せちゃった感はあるなw
ちょっとこの感覚は久しくなかったので、観劇後の満足感が何とも嬉しいというか。
どうでもいい余談ですが、「ちょっと、まってください」というタイトルを見て、
真っ先にゴールデンハーフを思い出したんですけど、自分のこういう気付きって、
全然共感得られないのよね…。

キャストについては手堅くまとめてきてた、という印象ですが、
でも特に劇団員については今回のキャスティング以外思いつかないかも。
しかし、意外と出演者少ないんですよね。一番印象に残っているのが、
劇団員ではないのですが、客演のマギー氏。
あとは、若手の劇団員の仕事具合も印象的でした。

なんか、つらつらと書いてしまいましたが、久しぶりのナイロン、面白かったー。


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NYLON100℃ 44thSESSION
「ちょっと、まってください」(三重公演)
2017年12月6日 @三重県文化会館中ホール

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:三宅弘城、大倉孝二、みのすけ、犬山イヌコ、峯村リエ、村岡希美、藤田秀世、廣川三憲、
   木乃江祐希、小園茉奈、水野美紀、遠藤雄弥、マギー
音楽:鈴木光介 美術:BOKETA 照明:関口裕二(balance,inc.DESIGN)
音響:水越佳一(モックサウンド) 映像:上田大樹(&FICTION!) 衣装:宮本宣子
ヘアメイク:宮内宏明(M's faactory) 演出助手:山田美紀
舞台監督:武井祐樹、福沢諭志(StageDoctor.Co.Ltd)
大道具:唐崎修 大道具製作:C-COM舞台装置 小道具:高津映画装飾、天野雄太
特殊小道具:アトリエ・カオス、田中康平 宣伝美術:はらだなおこ
プロデューサー:高橋典子 制作統括:川上雄一郎 
制作:前田優希、瀬藤真央子、仲谷正資、藤野和美(オフィス・REN) 
票券:北里美織子 製作:北牧裕幸 企画・製作:シリーウォーク、キューブ
主催:キューブ

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by yokusang_09 | 2017-12-06 23:53 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

劇団B級遊撃隊「不都合な王子」@千種文化小劇場

c0025481_01100425.jpgB級遊撃隊、千種文化小劇場で観るのって初めてなんじゃないかな。
森昌子の「越冬つばめ」とオスカーワイルドの「幸福の王子」を
モチーフにした作品とのこと。
演歌的な話なんだろうか。幸福の王子って。でも寒い土地の話だでなw

【あらすじ】(劇団HPより)
そこはどこか北の町…
ぐるりと見渡せる小高い丘にある広場…
そこにはかつて町を見下ろすように一人の男の銅像が立っていた…
町の人々もそれが誰の銅像なのか誰も知らない…
偉人か英雄か…
誰も知らない…
今はもう崩れ去って台座の上には足首から上は無い…
寂れた広場にはポツンと一人の女…
それは娘盛りを無駄にしてしまった越冬つばめ…

いやーーーー、面白かった!戯曲も演出も役者もよかった。
ダメな男についつい献身的に尽くしてしまったものの、
最終的に裏切られる冒頭の流れは少し心が痛みましたけど(笑)

いつもの不条理っぽいのを想定していたのですが、実のところはアングラ寄せ。
アングラだと思うと、ストーリー運びやら演出やらに合点がいくんですよね。
ただ、ガチのアングラ劇団ではないので(笑)、その辺はライトな口当たりなんですけど、
要素はちゃんと押さえてあった感じで、唐組のことをちょっと思い出したりw
冒頭の女の設定とか、思いっきりアングラですやん、って感じだし、
佃さん演じるおっちゃんの役どころと登場タイミングは、
唐組で言うなら唐さんポジションよね。普段よりもアクティブかつスピーディーで、
ちょっとスリリングな展開は、新鮮で心地よかったです。
とはいえ、ベースはやっぱり安定のB級遊撃隊クオリティなので、
そこんところの安心感はキープしつつ。

そして、戯曲と演出もいいんだけど、今回は役者も全員魅力的。キャスティングが秀逸。
客演の鈴木さんがかなりいい仕事をしておられましたし(肉まん食べまくってた…)
役者全体の中でもよいアクセントになっていたし、よい仕事してたと思います。
山口さんのお嬢様スタイルは驚きましたけどw、ちゃんと少女でしたね。
まどかさんの謎の女役も、ドはまりで改めて器用な女優さんだと認識。
そして、なんといっても佃さんが本当に上手い。むっちゃくちゃ上手いの。
失礼を承知でw、ちょっと驚いてしまうくらい、ハマってたし上手い。

いつものようで、いつもとちょっと違う、何だか、
改めてこの劇団の魅力を見せてもらったって感じでした。
あー、面白かった。シンプルに面白かった。好き。

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劇団B級遊撃隊 「不都合な王子」
2017年11月18日~19日 @千種文化小劇場

作:佃典彦
演出:神谷尚吾
出演:佃典彦、山口未知、徳留久佳、まどか園太夫、大脇ぱんだ、梅宮さおり、
三井田明日香、鈴木理恵子
舞台監督:渡辺智大(株式会社制作舎) 照明:坂下孝則 音響:椎名KANS(Garage Inc.)
音響オペ:角岡栞(喜劇のヒロイン) 大道具:渡辺智大(株式会社制作舎)
小道具:才谷組 衣装:上海リル's カンパニースタッフ:吉村公佑
銅版画:森田朋 宣伝美術:KINGS ROAD
制作:劇団B級遊撃隊制作部 主催:劇団B級遊撃隊

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by yokusang_09 | 2017-11-18 22:07 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

少年王者舘「人工恋愛双曲線」@七ツ寺共同スタジオ

c0025481_01003093.jpg愛知県の生んだ小酒井不木※の生んだ百を越える小説群のエレメントを、とろとろになるまでグツグツ煮込み、毒と心臓と探偵とあやかしとごまかしと犯人と分身と網膜と偶然と卒倒と錯誤と月と血と猫と詩と科学と犬神と躓きと覚醒と催眠と容疑者と遊技者と手術と酒壜と贈り物と脅迫状とアリバイと接吻と闘争と逃走と監獄と大須と沈黙と名古屋と哄笑と恐怖と宝石が渾然一体したブキみめ麗しい味の缶詰めにいたします。 (やっとかめ文化祭HPより)


本公演ではないから、ちょっと宣伝が控えめだったのかなぁ。
結構短いスパンで、少年王者舘の新作公演です。
今回は、愛知県出身の作家・小酒井不木の作品が元ネタだそうで。
お恥ずかしながら、全然読んだことがなかったので、事前に少しだけ情報を調べましたが、
まぁ、ホント事前に触りだけって感じなのでほぼ意味なし…。

さすがに古い小説をモチーフにしているので、場面場面でいつもよりストーリーがある感覚。
でもその辺を恐らくむちゃくちゃパッチワークしてるし、
なんといっても「ごった煮」らしく、確かにごった煮でした(笑)
原作なんてあってないようなもんですわ、多分。
しかし、劇団のビジュアル路線と小説が描く時代がハマっているので、良い意味で
カオス感は控え目で、むしろ綺麗に収まっていたのではないか、という印象。
そう、衣裳がいつになくテーマがはっきりしていて、それが妙にかっこよかったです。

ちょっと面白いなと思っていたのが、美術でして。
大きなボックスをゴロゴロ動かしながら場面転換をしていくのですが、
それ、よく考えると普段の王者舘ではあまりみないんですよね。
それで、その結果、いつもよりも奥行きのある空間使いになっていて、
それが客席の自分からすると普段の観慣れた視点を変えてみたような感覚で印象的。
パーツパーツでストーリーがしっかりしているけれど、繋がっていないようで繋がっていて。
ダンスも多めで、抜けのある空間使い。
基本的なテンションはいつもの王者舘だと思うのですが、まさに演出なんでしょうけど、
普段よりもパキッとしたテンポは、普段よりもちょっとだけ音楽劇とか
ミュージカル風な印象を勝手に感じておりました。
(そんなにずっと歌って踊ってたなんてことはないんですけど。)
あと、夕沈さんが、少年役だったり、被り物で出てきたり、というのもよかった。

なんというか、風が吹き抜けて部屋の空気が入れ替わるような、そんな感じの爽快感。
ちょっといつもと違うんだけど、やっぱり持ち味はしっかり出ていて、やっぱり王者舘。
そのバランス感が、結果として、洋服で言うならばちょっとよそ行きな感じがして、
その新鮮さが楽しかったです。やっぱクールでしたね。

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やっとかめ文化祭2017
少年王者舘 「人工恋愛双曲線」
2017年11月2日~8日 @七ツ寺共同スタジオ

原作:小酒井不木
脚色・演出:天野天街
出演:夕沈、雪港、小林夢二、宮璃アリ、池田遼、る、カシワナオミ、
岩本苑子、珠水、井村昴、echo
舞台美術:田岡一遠 美術製作:小森祐美加 照明:小木曽千倉  
音響:岩野直人(ステージオフィス)映像:田中博之 映像操作:小川雄基  
舞台監督:中山秀一、平岡希樹 振付:夕沈、池田遼 音楽:珠水、きのこともぐら  
チラシ:アマノテンガイ  チラシロゴ:田岡一遠 写真:羽鳥直志  
企画協力:小松史生子(金城学院大学文学部教授) 
制作協力:紺野ぶどう(大名/Contondo)
受付:若旦那家族/原千晶  制作:宮璃アリ、篠田ヱイジ

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by yokusang_09 | 2017-11-04 23:54 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

愛知県芸術劇場「それからの街」@愛知県芸術劇場小ホール

c0025481_01110283.jpgわしが、年に1回、どういうわけか、名古屋で構えてみる芝居ってのが
このAAF戯曲賞受賞記念公演かもしれん。関係者じゃないけどw
なんか、たいてい何かしら攻めてくるから…。

今回は、審査員の一人、第七劇場の鳴海さん演出。なんかうれしい。
(審査員、みんな演出家だし、それぞれ観たいので。)
しかし、脚本を事前に見て驚きましたけど、なんちゅーか、
案外ザックリといいますか、世界がパラレルに流れてるところがあって、
台詞が被ったり、同時進行したり、つながったりって…
あれ…これって…名古屋でいうなら王○舘…w みたいな気持ちになり、
「ちょっとこの王○舘のお膝元で、いい根性してるじゃないの~」みたいな、
ウザ外野モードな気持ちも持ちつつw(←冗談です)鑑賞。

作者は元々は音楽系の人で、ミニマルミュージック等をやっておられるとのことで。
そういわれてみると、戯曲を見たときの印象は、自分が今まで見た演劇の台本とは違って、
ちょっと楽譜のような印象もあったのは事実。
「音楽的と捉えるか、演劇的と捉えるか」みたいなことが当日パンフの記述にあって、
正直言うと、鳴海演出の今回の作品には、演劇的なものは感じていたけど、
あまり音楽的な要素は見いだせてなくて(踊ってたりもしてたけど)。
そうしたら、実はそういうことで、今回の作品ではすごく
「演劇」に寄せることに注力したんだそうな。
ワシ、そういう点では完全に演劇思考なので、普通に受け入れちゃってたよ…w
でもなに、ついついテキストから意味を見出そうとするのって、
やっぱ、あれかね、一応は演劇思考なの…?
(これ以上深く考えるのはやめますw)

行動を起こす/起こさない、去りし者/残されし者という関係性も
気になってはいたけど、物事や行動を繰り返す(時には他とリンクする)中で、
形骸化したり欠落したりしていく様子が、今の自分には大変印象的だった。
別にそれが悪いことだとは一切思わないし、人間が本能的に行っている、
ごく当たり前のことなのかもしれないけど、こうやって辛いことも嬉しいことも、
大なり小なり忘れて、熟して生きていくんですよね…という。
しかし、それのことが、何か大きな気持ちの変動を伴って起こるものではなく、
流れるようにして事が起こって、受け入れ、段々と喪失していく、
というそのプロセスは、色んな事に当てはめれてしまうし、それ故色々想起してしまう。
そのことが、批判のような、同時に自責のような、でもそんなことは切り離して、
ただそういう事実が示されていたような。
とはいえ、これ、色々そぎ落としての演劇でしょ? みたいな思考が結構ぐるぐる
回ってしまって最終的に、結構心にずっしり来ちゃう。

今回の公演、役者は事前段階からとっても気になっていたのだが、
予想していたよりもずっとよかった。
雑なコメントになってしまうけど、やっぱり役者力がすごい!
あの役者だから成立していた部分もあったかな、という印象。
中林さんと茂手木さんは何度か演技は観たことがあって、
名古屋で観られる喜び~みたいな
感じだったけど、
あとの初見の2人もこれまた、すんごくよくて。

そういう意味で言うと、ホントに、演出をはじめとするスタッフと
役者で作り上げてますな、今回の作品。なんちゅーか、この構築された感じってのが、
自分は結構好きだったのかもしれない。別に関係者じゃないから、
苦労に対する贔屓目みたいなものは一切ないし、そういう意味でもないんですけど。

------------------------------------------------------------------------------
愛知県芸術劇場 第16回AAF戯曲賞受賞記念公演「それからの街」
2017年10月21日~23日 @愛知県芸術劇場小ホール

作:額田大志
演出:鳴海康平(第七劇場)
出演:中林舞、南波圭(なんばしすたーず/青年団)、茂手木桜子、山内庸平
振付:福留麻里 サウンドアドバイザー:池田萌
照明:藤原康弘  衣装:清川敦子
演出助手:蜂巣もも(青年団演出部) ドラマトゥルク:長島確
宣伝写真:松見拓也 宣伝美術:三重野龍
舞台監督:世古口善徳 制作:村松里実、高橋志野
プロデューサー:山本麦子

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by yokusang_09 | 2017-10-22 21:03 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

下鴨車窓「冬雷」@四天王寺スクエア

c0025481_23573063.jpg【あらすじ】
寒い海に臨む小さな町で起きた山火事。報道によれば死者は出ず、被害は無人の山小屋が焼け落ちるところで止まったという(その周りの林に多少の延焼があった)。麓から火事を見たある者は山に雷が落ちて煙が上がったと証言した。別の者は放置された山小屋にたびたび侵入する地元の若い人が関係しているのではないかと噂した。
消防が原因を調査中というところまでしか報じられなかったのは、なにか秘密があるわけではなく、報じるに値するほどの事件ではないとされたからであり実際にほとんどの者はまもなく忘れてしまった。現場近くのロープウェイも火事の翌日から通常通りに営業され観光にも影響はなかった。
けれども沈黙して現場に赴く者がいる。焼けたままになっているその場所から海に目を遣り、雷が鳴るのを聞く。しばらくすれば雪が降る。海から向かってくる、強い雪が。(劇団HPより引用)


劇団名は以前から知ってはいたのですが、今回初めての下鴨車窓。
あんまりどんな芝居なのかってことは、ちゃんと聞いたことがなかったので、
超暗かったらどうしよう…とか思ってたんですけど(笑)
結果的には超良質な会話劇に大満足。

台詞・役者の動き・スタッフワークのすべてにおいて、実に細かなところまで
配慮がなされていて、その緻密さに圧倒されたというか。
アフタートークでわかったことなのですが、まさか役者がチャック全開で出てくる
場面に関して、あそこまでの配慮があったとはw
個人的には、汗っかきと思われる役者に、途中で汗を拭かせる演出が
あったというのが斬新だったです。それも、きわめて自然に。
あとは屋外の放送のエコーの効き方とか。
基本的には静かな芝居なのですが、意外と静かさを感じさせない、上手く言えないけど
登場人物たちの意識と、実際の空間描写とのバランス具合も興味深かったです。

男女の会話から、まぁ、いわゆる男脳女脳的なものも感じ取れるわけなのですが、
そのすれ違いっぷりというか、立ち上がってくるディスコミュニケーション具合が
超リアルで、登場人物の気持ちや、場の空気感が、本当に手に取るように、というか
心に直接伝わってくる感じで、その空気感自体は心地よいものではないのだけれど、
芝居には安心して身をゆだねられるっていうか。

一方で、台詞が何度かリフレインしたり、土とリノ床のコラボのところに裸足で立つとか、
役者の出ハケのアレンジによる時間的・空間的処理という、いかにも演劇的な
ものが、全体のリアルさとの対比で結構意識が向くんです。
ともすれば何でもない会話劇なのですが(まぁ、会話劇とは大抵そういうもんであるw)、
そこに、そういった演劇的な非リアルが、実にスッと入り込んでいるところも面白くて。
ただ切り取ってきた、というわけじゃなくて、ちゃっかり?しっかり演劇的な
構造が組み込まれて機能していたという、そういう点でも、演劇的満足度が高かったです。
つまり、大変良かったということです。はい。

てか、津なんて、名古屋から案外近いんだからもっとみんな
行けばいいと思うんだどなぁ。うん。
(というのも、自分がいった回は、意外と客が少なかったので…)

------------------------------------------------------------------------------------
下鴨車窓 演劇作品「冬雷」(ふゆのらい)
(津公演)
2017年10月14日~15日 @四天王寺スクエア

脚本・演出:田辺剛
出演:気田睦、横山莉枝子、國松卓、政井卓実、福井菜月(ウミ下着)、篠原彩
舞台監督:山中秀一
舞台美術:川上明子
照明:葛西健一、堀あゆむ
音響:小早川保隆、下野司
企画制作:下鴨車窓、三井耶乃、(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
主催(津公演):下鴨車窓、(特非)パフォーミングアーツネットワークみえ、四天王寺スクエア
助成:芸術文化振興基金

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by yokusang_09 | 2017-10-14 16:53 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

ロロ「BGM」@三重県文化会館小ホール

c0025481_01275963.jpg車は走る。誰かの思い出が音楽になって、車の中にぎゅわーって広がっていく。窓を開ける。音は車の外へとこぼれていって景色に形を変える。二次元の夜景、形見だらけのハードオフ、スズナリに閉じこめられた下北沢と雨を降らせるミラーボール、ディスクジョッキーの集まる競馬場に、Instagramで加工された松島の海。記憶は音になって、音は僕らの背景になる。バックグラウンド・ミュージック。車は北へと走ってる(ゴキゲンに)


【劇団ウェブサイトより】


ちょっと久しぶりのロロ。これで3作品目になるのかな。
ぶっちゃけ、今まで見た作品の中では、いかにもロロ!
って感じでもなかったのかもしれないが、
とはいえ、自分の中では一番好きな作品かも。
(まぁ、3作品中だが…)

学生時代の友人の結婚式に出席するため、思い出のドライブルートを辿りながら
過去と現代を行き来して、守谷→いわき→会津→仙台→石巻を目指すというあらすじ。
ロロ版ロードムービーで音楽劇ってところですかね。
こんなドライブなら、こういう音楽聞きたいな、という感じにドンピシャな、
書きおろしの音楽がすごくマッチしていて、ずっと心地よい。まさにBGM。
やたらと思わせぶりなあだ名のキャラクターが登場してきたり、
かと思えば女優本人の役で登場してきたり、人間ではない役が登場してきたりと、
従来の作品に比べると、役者の都合もあったのかもしれないが、
イカにもさは少ないようにも感じはしたものの、キュートでリリカルで、
そして少しキッチュなロロらしさは変らず。
というか、劇作もさておき、ロロらしさって、役者が形作ってるところも大きい。
まぁ、劇団なのだから、それは当たり前のことではあるのだがw

思い出の学生時代というのは、実は東日本大震災前で、そして今は震災後なわけで、
福島の浜通り(常磐道経由)や石巻というドライブルートについて、
ちょっと考えてみれば、確かに震災について何か訴える、もしくはそういう
ビフォーアフターを見せる場面が出てくるのかと思っていると、
これが直接的には何も出てこない(!)
ついでに言うと、やたら思わせぶりな登場人物のあだ名についても謎のままなのだが…。

学生時代にいわきで知り合った占い師の女性は、今は男性を追っかけて京都にいるし。
でも、当時知り合った小学生は、本来なら20歳を超えているくらいの年齢のはずなのだが、
その年齢でありながら、いまだに小学生をやっていることになっている(笑)
人間外のキャラが登場してくる等ファンタジーな前振りがあったせいで、
そういうのも何故か違和感を感じないのだがw
(というか、私、信じやすい性格なのか、あまり穿った見方をしないのです…)、
見ようによっては、彼は地震で亡くなってしまったのかもしれない、とも取れるのかな、
なんてことも思いつつも、少なくともこの作品においては、個人的には、
あまりそういう見方はしたくないかな…、と思った。

震災により多くの人が亡くなった、受けたダメージが継続している、
震災前の水準に戻り切っていない…等、震災前のある一点と比べて
そういう失われたものがあることも事実なのだが、その一方で、
変らない部分や、取り戻した部分があることも事実なわけで。
(例えば、アンケート調査の結果として、福島県産農作物を買いたくないという人が
1割とか2割いる報道があるが、それは裏を返せば、8~9割の人は、福島県産の
農作物を買いたい(買ってもいい)と思っている、ということである。)

東北沿岸部といえば、どうせみんな勝手にそういうことを想像するんだろうけど、
あえてその地を舞台にして、さらに時間軸的を震災ビフォーアフターにした上で、
その地に多く存在する不変・普通・自然体の様子を描く、というのは、
自分はすごく入ってきたし、当然ながら、風化や忘却といったこととは違うが、
そういう視点は持ち合わせていきたいし、もっと認識されてもいいのかな、
なんてことを思ったり。
それがやっぱり、心地よいBGMに乗せて、さわやかな疾走感と共に見せてもらえた
ってことが、この芝居の良かった最大のポイントですかね。
後、ちょっとサントラ欲しいw

--------------------------------------------------------
ロロ vol.13「BGM」
(三重公演)2017年9月30日~10月1日 
@ 三重県文化会館 小ホール

脚本・演出:三浦直之
出演:⻲島一徳、篠崎大悟、島田桃子、望月綾乃、森本華(以上ロロ)
石原朋香、井上みなみ(青年団)、油井文寧、江本祐介
音楽:江本祐介 振付:北尾亘(Baobab)、中村蓉
美術:杉山至(⻘年団) 、中村友美 照明:富山貴之、 久津美太地(Baobab)
音響:池田野歩、工藤尚輝  衣裳:臼井梨恵 (モモンガ・コンプレックス)
舞台監督:鳥養友美 演出助手:中村未希(恥骨)
宣伝イラスト:南田真吾 デザイン:佐々木俊+郡司龍彦
広報:浦谷晃代(Diet-chicken) 当日運営:田中亜実(劇団 女体盛り)
制作助手:仙波瑠璃 制作:奥山三代都 、坂本もも
後援:レディオキューブFM三重
企画(三重公演)
企画制作・主催:三重県文化会館[指定管理者:(公財)三重県文化振興事業団] (三重公演)、
ロロ、さんかくのまど

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by yokusang_09 | 2017-09-30 16:11 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

日本総合悲劇協会「業音」@東京芸術劇場シアターイースト/青少年文化センター アートピアホール

c0025481_00531842.jpg【あらすじ】
限りなく深い人間の“業”が奏でる物語…。
母の介護をネタに、演歌歌手として再起を目指す落ちぶれた元アイドルの女・土屋みどり(平岩紙)は、借金を返すために、マネージャー・末井明(皆川猿時)と共に自身が運転する車で目的地に向かっていた。途中、自殺願望を持つ夫・堂本こういち(松尾スズキ)と、夫をこの世につなぎ止める聡明な妻・杏子(伊勢志摩)と遭遇し、不注意から杏子を車ではねてしまう。
杏子は脳を損傷し、一生涯植物人間として生きる事に。
怒り狂った堂本は責任を迫って、土屋を拉致連行し、 “有罪婚”と称し、二人は結婚。奇妙な共同生活が始まる。
芸能界を夢見て東京に出てきたものの、結局体を売る事でしか生きていくことの出来ない堕落した姉・ぽんた(池津祥子)、弟・克夫(宮崎吐夢)、年を偽わってまでも孤児院に入る事に執着する屈折したゲイの男・不動丈太郎(村杉蝉之介)、正体不明の老婆・財前とめ(宍戸美和公)らを不幸のループに巻き込み、負の連鎖は更に奇怪にうねってゆく…
やがて、末井とも関係を持つ土屋は、父親がわからない子を身ごもり出産するのだが、堂本との時間に執着し、子供の命を引き換えにしてまでも、「10ヶ月の夫婦生活の元を取るため」と、堂本とのわずかな触れ合いを選択するのだった。
“それ”をやらなければ物事は上手く運ぶのに、
どうしてもやらずには先に進めない各自の“固執”。
その“固執”が“業”を生み、空回りするそれぞれのエネルギーは、
不協和音のような音楽を響かせてゆく・・・



東京で観て、せっかくなので名古屋でももう1回観てしまった。
けど、2回観たら、なんか色々とわかってきたし、やっぱりよかったな、と。
(ちなみに、名古屋の分は、自分への誕プレを兼ねているw)

結構めちゃくちゃな話はなずなのだが、思いの外さらさらと流れて行ってしまう。
なんちゅーか、筆が走ってるな、という印象。でもむしろその疾走感が心地いい。

初演時は荻野目慶子が土屋みどり役で、何やらそこに随分と苦戦していた印象、
というような感想をみかけたことがあったのだが、今回は劇団員の平岩紙。
というか、踊り子役以外、全員大人計画で、これ別名義でやる意味あるのか?と
思ったこともあるが、全く何の問題もないのでこれ以上は触れないw
というわけで、今回は、劇団員である意味手堅くまとめてきたのかな、
と勝手に思っていたのだが、この作品だったら、むしろ劇団員純度高めで観たかったので、
今回のキャスティングは嬉しい。
でも、まぁ、劇団員の皆さんも、いつの間にか年齢を重ねておられましたな…。
「え!まだこんなことやっちゃうんだw」とか思った瞬間があったことは否定しないけどw、
でもそこはやはり大人計画の劇団員、むしろ円熟味の増した演技で、すぐに引き付けれた。

個人的なこともあってか、とにかく登場人物の業深さというものが、
そりゃあもう、うわーーーーっ!!と舞台上にあふれだしていて、
その勢いを感じながらも、「ああ、人間って結局こうなのかも」と、
冷静にそれを見ている自分もいた。
人間の醜い部分を見せつけられた~、というよりは、自分自身にも当然ある業と、
その深さを、舞台で提示された結果、どちらかと言うと肯定的な感覚を覚えた。
そりゃ、自分自身の業と向き合うために、神に許しを請うたりする方法(=宗教)も
あるのだろうが、でも、人間なんだからどうしようもないでしょ、そんなもんでしょ、みたいな。

平岩紙の演技が、そんな感覚を強力な圧で客席に押し出してきていて、
思わず背筋が伸びたし、なによりあの勢いで、サラリとここまで言い切ってしまう
松尾スズキのこの戯曲にも、近年の作品とは違った、
(随分平たい言い方ではあるが)ある種の凄みを感じるのであった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本総合悲劇協会 vol.6
「業音」
(東京公演)2017年8月10日~9月3日 @東京芸術劇場シアターイースト
(名古屋公演)2017年9月13日~14日 @青少年文化センター アートピアホール

作・演出:松尾スズキ
出演:松尾スズキ、平岩紙、池津祥子、伊勢志摩、 宍戸美和公、宮崎吐夢、
   皆川猿時、村杉蝉之介、 康本雅子+エリザベス・マリー(ダブルキャスト)
舞台監督:菅田幸夫  照明:佐藤啓 音響:藤田赤目 舞台美術:池田ともゆき 
衣装:戸田京子 ヘアメイク:大和田一美 振付:康本雅子 映像:上田大樹 
音楽:伊藤ヨタロウ 演出助手:大堀光威、佐藤涼子 衣装助手:伊澤潤子 
宣伝美術:榎本太郎 宣伝写真:森崎恵美子 宣伝スタイリスト:森保夫 
宣伝協力:る・ひまわり票券:河端ナツキ 
制作:北條智子、赤堀あづさ、横山郁美 プロデューサー:長坂まき子
企画・製作:大人計画、(有)モチロン

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by yokusang_09 | 2017-09-13 22:45 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)


生きて名古屋に帰って来たよ。


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