なごやかなごやレコンキスタ!
2021-12-31T12:22:47+09:00
yokusang_09
主に観劇記録になっていますが、たまに旅行記や単なる雑記も載せています。そういうブログです。
Excite Blog
猫のホテル「ピンク」@ザ・スズナリ
http://catchy.exblog.jp/32425383/
2021-10-10T16:07:00+09:00
2021-12-30T13:24:05+09:00
2021-12-30T13:19:56+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
30年も続くってすごいなぁ…。記念パンフレットとか作ってほしかったな(笑)
染めてやるのだ、この空気!
新宿で芝居を始めた頃は飲み盛り食べ盛りで、朝まではしゃぎたくて仕方なかったけど、
今はひっそり慎ましく、21時過ぎればもう瞼が重い。
加齢もコロナも容赦ない。
できないことが増えて、記憶の細部がこぼれ落ちて行く。
うら枯れた想いがあふれて行くばかりだ。
このままじゃシャクだから、色めく人々が色をなす芝居をやる。
欲望のまま登りつめようとする荒々しいおんなの闘いを描く。
いろいろと経てこその『ピンク』だ。
愛らしさ、お色気、郷愁、マダム・・・好きに想像してほしい。
100年前は男児の色として、50年前はレディやカーテンを形容して文化の一翼として、
変幻自在に生まれ変わったその色で染めてやるのだ。(劇団ウェブサイトより)
家庭教師に来た女子学生とその教え子、2人の女性の半生を描いた作品。
かつては家庭教師と教え子だった2人が、教え子が結婚するのを機に再会し、
共に暮らし、そして再び別々に生きていく、というストーリー。(超ざっくり)
家庭教師の女性は、真面目なのだが、頑固で不器用で世の中とちょっとそりが合わない。
一方、教え子の女性は、バブル絶頂期にイケイケな感じで結婚しちゃうし、
可愛げがあって、立ち回りが上手くて、周りの男性たちからチヤホヤされて生きていくけど、
傍から見てて、ちょっと危なっかしい。
もちろん戯曲上の架空の人物ではあるのだが、家庭教師と教え子、
それぞれ演じている千葉さんと佐藤さんの2人の役者にも重なるし、
登場人物2人が、作者である千葉さんを投影しているようにも見える。
多分、別に本人たちがそういう人生を歩んできたわけでもないし、
そういう性格でもないと思うのだが、いつもよりも、作家の想いというか内面性というか、
そういうものを感じながら観ていた。
「ピンク」というタイトルにそのことは現れていて、ピンクという色は19世紀までは
男性の色だったのだが、今では女性の色という印象である。
チラシにもあったし、インタビューで千葉さんも答えていたのだが、
「時勢に合わせて変化しながら、これまでもそしてこれからも生きていく」という
振り返りと決意を込めた作品なのだと思う。
確かに二人の登場人物も、時と状況に合わせて、住まいやらなんやらを変えながら、
変わらない・変えられないこともあったけれどそれでも生き抜いていた。
役者のうち、女性は2人だけで、あとは全員男性なのだが(劇団員も男性が多いし)、
どういうわけか、終始、女性役がめちゃくちゃ出てくる。
客演の尾上さんとか、何故かずっと女性役だし。…どういうこと?(笑)
ジェンダー問題が再び注目を集めている昨今、女優2人を核にして、
男優があれこれ演じ分ける、しかも衣装が女装なだけでちゃんと女形になっているわけではない、
でも別にギャグでもない、というのは、演劇的都合かもしれないが(笑)、
性の倒錯という印象は受けるし、その意図について(あるのかないのかわからないけど)、
勝手に考えたり感じてしまうことはやはり避けられない。
といいつつ、劇団員のおじさんたちが、キャピつきまくったOLを演じている姿は、
単純にとても楽しく観させていただきましたけども。(みんな楽しそうだったw)
色々感じることはあったのに、意外なほどサラッとすっきりした印象なのだが、
それもそれで「らしい」ような。
30周年、劇団メンバーがわいわい演じているのが観られたことが一番嬉しかったかも。
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猫のホテル 30周年記念本公演
「ピンク」
2021年10月6日~13日 @ザ・スズナリ
作・演出:千葉雅子
出演:中村まこと、森田ガンツ、市川しんぺー、佐藤真弓、村上航、千葉雅子、尾上寛之
美術: 中村裕幸 照明: 斎藤真一郎 音響: 佐藤こうじ(Sugar Sound)
衣装: 植竹ナツコ 舞台監督: 土居歩 演出助手: 村田千尋
舞台写真: 引地信彦 舞台収録: 原口貴光(帝斗創像) 宣伝美術: 犬川ヒロ
宣伝デザイン/宣伝写真: 寺部智英 制作協力: 鈴木ちなを 制作: 大橋さつき
協力:アスタリスク、OVER TONE、ギフト、ゴーチ・ブラザーズ、ザズウ、鈍牛倶楽部
⽂化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
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ニットキャップシアター「ヒラカタ・ノート」@枚方市総合文化芸術センター ひらしんイベントホール
http://catchy.exblog.jp/32426394/
2021-10-09T23:46:00+09:00
2021-12-31T12:22:47+09:00
2021-12-31T12:22:47+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
2004年12月に発表された劇団ニットキャップシアターの代表作。架空の街「ヒラカタ」を舞台に、1990年代を生きる若者達の青春を描いた作品。主人公は平凡で臆病で真面目な男の子。彼の高校時代から二十代後半までの受難の日々を生々しく描いた。またときおり幻想的とも言える場面が差し挟まれ、その独特の劇世界が発表時は高く評価された。
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死者になにをしゃべらせても、
たとえ恨みの言葉をしゃべらせても、
それは生きている人間の事情の反映である。
死者はなにも語らない。
ただ生きている側が死者と交流を持ちたがるだけではないか?
けれど、しかし、本当の狙いは死者にしゃべらせることにある。
できることなら劇作中に私の右手に神が宿って、
死者の、十代で死んでしまった女の子の言葉を
書き記してくれることを期待している。
作・演出 ごまのはえ 「ヒラカタ・ノート」(2004年初演時チラシより)
(劇場ウェブサイトより)
そのタイトルからして気になっていたのだが、
まさかの「東京ノート」と常時上演という企画にヤラれて(笑)
急遽枚方まで。関係ないけど、初めて京阪電車のプレミアムカーに乗った。
すごくプレミアムだった。(あと「東京ノート」は今回は観ない)
そして、むちゃくちゃ久しぶりのニットキャップシアターなのである。
大阪のベッドタウンである枚方の団地を舞台にした群像劇、といえばいいのか。
引きこもりの青年の話と、交通事故で亡くなった女子高生の話と、
何時の時代かわからないけど人間が2人だけになった世界の話。
2004年初演の作品だったけど、特に古さとかを感じることもなく。
ただ初演?時の台本をサラッと読んだけど、今回は少し改訂してるみたい。
戯曲を読む限りでは今回の方が、シュッとした感じがして、
リマスター版感があるかな。
交通事故で無くなった女子高生(の話)が、作品の横串となっていて、
描かれてるシーンも想像してみると、なかなかにグロくてシュールなので
印象に残るのだが、冒頭の団地の小ネタシリーズからの引きこもり青年の一連の話が、
やはり個人的には切ない。
私自身も中学生の途中まで、団地のような社宅に住んでいたので、
団地の小話は割と具体的に想像しやすいし、同時にエモさも出てきたりして。
20代の青年の段々と濁ってくる日常と、そこにずっとある団地という存在が、
誰にでも抱えていそうな少しネガティブな部分を引き出してくるし、
死んでいるのに歩き続き続ける女子高生とそれを背負う母親の姿と、
団地という存在に、思わず胸が熱くなったり。
まぁ、今回上演されているものは演劇なので、当然面白く創作された物語なのだが、
人々がそれぞれの(何等か関係する)土地に対する、一言では言い表しようがない
幾重にもなった思い出や気持ちをそのまま切り出してきた、
というかパックしたかのような戯曲で、
正直、観ている途中、話の流れがよくわからなくなる時もあったのだが、
それでも、最後まで観た後の余韻がなかなか凄い。
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枚方市総合文化芸術センター 開館記念
枚方市文化芸術アドバイザー企画
ニットキャップシアター「ヒラカタ・ノート」
2021年10月8日~10月10日 @枚方市総合文化芸術センター ひらしんイベントホール
作・演出:ごまのはえ
出演:池川タカキヨ、黒木夏海、佐藤健大郎、高田晴菜
仲谷萌、西村貴治、益田萠、山谷一也、山本魚
舞台美術・小道具:仲谷萌 音響:三橋琢 照明:葛西健一
舞台監督:河村都(華裏) 衣装:清川敦子(atm) 音楽制作:真都山みどり
振付:山田レイ 演出助手:小山裕暉(テノヒラサイズ)
制作:まいやゆりこ(一般社団法人 毛帽子事務所)
主催:枚方市、枚方市総合文化芸術センター指定管理者 アートシティひらかた共同事業体]]>
大パルコ人④「愛が世界を救います(ただし屁が出ます)」@PARCO劇場
http://catchy.exblog.jp/32425468/
2021-08-20T21:56:00+09:00
2021-12-30T15:04:18+09:00
2021-12-30T15:04:18+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
超能力ものです
2055年の渋谷に超能力者が集まって、
世の中をよくするために、喧嘩したり仲直りしたり、演奏したり歌ったりするマジメな集会です。
ただし屁が出ます。すいません。マジメな時ほど屁が出ます。
感想は「#ただし屁が出ます」で呟いて下さい。屁が出ます。
(大人計画ウェブサイトより)
久し振りの大パルコ人、「のん×宮藤官九郎」で注目される中、チケットを確保できたので行ってきた。
でも私的には、キャスト名にあった「藤井隆」の方が圧倒的に気になっていたのだが…。
パンフレットに記載のあらすじに目を通したら、
「音楽プロデューサー 大江三千里(藤井隆)」の文字を見つけて、
それだけで軽く吹き出してしまった私…。そんなの面白くないわけないがね!(笑)
事実、予感は的中で、おそらく「あまちゃん」以来の「のん×宮藤官九郎」の世界も
めちゃくちゃ良かったのだが
(テレパシーで訴えかける「おっさん声」がでんでんだったのが、すごくよかったw)、
全体を通して、藤井隆が「藤井隆」しているのが大変良かった。
ちょっと「マシュー南」的な感じ。
「クドカンの舞台に、『藤井隆』が入ってくるとああなるんだぁ…」みたいな発見というか、
ちょっとした感動。
全体的にあて書きとは言え、どこまで「役をつけて」いて、
どこまでが役者の素みたいな部分なのか、
ちょっと計りかねる部分もあるのだが、難しいことは置いといて、
シンプルにとにかく面白かった。
(まぁ、自分が藤井隆が好きっていうのも相当大きいとは思いますが…。)
冒頭から藤井隆が面白かった話しかしていないが、全体を通じても、
第1回公演のときのような、割としっかりしたストーリーというか、
1本の戯曲としてのまとまりがあった気がして、
結果として、安心して演劇として楽しめた感じ。
(なんだかんだで1回目の作品が好きなのだ。)
キャストも、若い二人とその周りベテランが囲む形で、人数も適度。
そのあたりも安定感・安心感の一因かもしれない。
でも、歌詞には時事ネタを盛り込んできたり、映像出演でまさかの清水ミチコによる
都知事のモノマネとか、ネタのキレはしっかり効いていたし(かつ贅沢!)、
そのあたりのバランス感もよい。
とにかく、笑いに大いに走っていても、ヘンな浮つきとか軽さとかがなくて、
ちゃんと演劇作品としてまとまっていて、繰りかえしになるが、
そのまとまりとか全体的なバランス感がとても好感。
大いなるメッセージ性がある作品ではない、とは思っているが、
それでも観劇後は、少しだけ考えるところ、とブーブークッションのお土産付きで、
エンターテイメントとして、トータルでの満足度がかなり高かった。
頭空っぽで、大満足の2時間45分。良い。
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大パルコ人④マジロックオペラ「愛が世界を救います(ただし屁が出ます)」
(東京公演)
2021年8月9日~8月31日 @PARCO劇場
作・演出:宮藤官九郎
出演:のん、村上虹郎、三宅弘城、荒川良々、伊勢志摩、少路勇介、よーかいくん、
YOUNGDAIS、宮藤官九郎、藤井隆
美術:小泉博康 照明:大島祐夫 音響:大木裕介 衣裳:伊賀大介
ヘアメイク:山﨑聡 振付:八反田リコ 映像:横山翼/KENNY 音楽アドバイザー:益田トッシュ
歌唱指導:蔵田みどり ローディー:上甲陽仁 演出助手:大堀光威
衣裳進行:戸田京子/梅田和加子/田邊千尋 舞台監督:榎太郎
イラスト:おおひなたごう 宣伝写真:三浦憲治 宣伝美術:箭内道彦(風とロック)
宣伝:る・ひまわり 宣伝映像:尾野慎太郎 制作助手:武藤香織
制作:北條智子/赤堀あづさ/横山郁美/藤原治 プロデューサー:長坂まき子/田中希世子
協力:モチロン 企画:大人計画 プロデュース・製作:大人計画/(株)パルコ]]>
キョードー東京「ミュージカル『衛生』~リズム&バキューム~」@オリックス劇場
http://catchy.exblog.jp/32311216/
2021-08-01T21:44:00+09:00
2021-09-19T22:18:36+09:00
2021-09-19T22:16:41+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
オリックス劇場って初めて行くって思ってたけど、昔の大阪厚生年金会館なのね。
え、何年振りに来たんだろ…?
『あらすじ』
昭和33年、水洗トイレが普及する前のお話。し尿の汲み取り業者「諸星衛生」は、社長の良夫(古田新太)、息子の大(尾上右近)を中心に、利益を出すためなら殺人も厭わないという経営方針でのし上がってきた。地元の政治家・長沼ハゼ一(六角精児)をバックにつけ、庶民のわずかな資産を吸い尽くすべく、さらなる経営の拡大を画策している。
一方、諸星衛生のモテない従業員・代田禎吉(石田明)は、恋心を寄せる事務員・花室麻子(咲妃みゆ)を、大に身勝手な理由によって奪われたことでモテない恨みをくすぶらせていた。麻子が、お腹の中に命を宿したまま悲惨な最期を迎えたことで、禎吉のモテない恨みはさらに加速する。
昭和50年、麻子の残した娘・小子は18歳になっていた。諸星衛生の経営は、良夫から大へと事実上の実権が移り、地元の経済を隅々まで制圧していた。その裏で、かつてのライバル業者だった瀬田好恵(ともさかりえ)が、逆襲の機会を窺って、怪しい組織を率い、その規模を拡大していた。
そんな中、庶民からの搾取の効率化を進める長沼は、大を起用する一風変わった一計画を進めることになる。計画を聞きつけ、水面下で諸星衛生に復讐を誓う者たちが集い始める。好恵、禎吉、そしてまたひとり――。
(公式HPより引用)
いや~~~、自分で自分のこと、「普段あまりミュージカルは観ないけれど、別に嫌いではない人」と思っていたのだが、実はそんなに得意ではないというか、案外受容できる幅が広くないのだということを今回学ばせていただいた、という感じ…。オブラートに包みつつ、ぶっちゃけてしまうと(笑)
タモリが「ミュージカルは何で突然歌いだすんだ?」みたいなことを言っていたのを覚えている方も多いと思うのだが、まさにソレだった(笑) とはいえ、最近のミュージカルというのは、登場人物の感情が高まったときに歌い出す、つまりは「突然」歌いだすようになっていない演出になっているらしい。
なるほど、前に観た劇団四季もそんな感じの演出になっていたような。もしくはもっと歌いまくってるか。
あと、元々ミュージカル畑出身ではない、小劇場系出身の作・演出だと、というか、松尾スズキとかの作品だと、そのミュージカルの「突然歌い出す」という特異性(?)も加味したうえで芝居を作っているように見受けられるのだが、この作品はそんなことは一切ない(笑)
申し訳ないが、私にはそれを「最近のトレンドに対する逆張り」と言って面白がれる素養はなかったようで、「えっ…ダサッ…!」みたいな印象が先行しまくってしまった(笑)
アンサンブルと一緒に踊るというのは、ミュージカルではいくらでもあるのだが、アンサンブルの使い方も「アンサンブルですよ~」と言わんばかりな感じで、これも残念…。
尾上右近が登場しているが故の歌舞伎的演出の使い方も、もうちょっとあったと思うのよね。というか、諸星親子は、全体を通じて、もっと歌舞いてしまってもよかったのかもしれないし、そうすることで、ミュージカルの「特異性」とももう少し仲良く出来たようにも思うのだが…私だけかしら。(せっかく「歌舞伎」するのであれば、最初と最後だけはもったいない。まぁ、これは歌舞伎ではないのだが。)
ミュージカル畑以外(小劇場系出身)の人が初めてミュージカルをやることになって、色々やりたいこと盛りこんだら、こんな感じになっちゃいました、というのが正直な印象で…うん。古田新太がやりたいことをいろいろ盛り込んでいるのかもしれないが、なんか、ちょっとなぁ…。
かつて観た「いやおうなしに」がむちゃくちゃ面白かったので、期待していた分、ぶっちゃけちゃうと、やっぱり残念。(とはいえ、あの芝居は、既成の楽曲を使ったどちらかというと音楽劇だし、演出は河原さんだったけど)
ミュージカルとしては、私的にはボロクソ言っているが、戯曲の内容は相変わらずの福原ワールド&福原節全開で、「こんな大ホールで歌って踊ってをやっても、福原さんだ」とこれまで小劇場での作品を観てきた身としては嬉しいものもあった。平塚と伊勢原のあのミクロな話も含めて、「え、これミュージカルでやるんだ?」みたいな(笑)
極悪人とされる諸星親子を取り巻く登場人物たちも魅力的で、好印象。むしろそこにこそ、いつもの福原ワールドが詰まっていた感じで、大好き。
愛人の大物議員の欲求を満たすために、共産党議員になってセンセイを攻撃するとか、もうホントいい。そして、その役を猫ホテの佐藤真弓さんがやってたのが、また最高(このときの歌もよかったし!)。確かに猫ホテの二人の活躍ぶりは、猫ホテファンとしては嬉しかったので、観れてよかった。
あとは、麻子/小子の気の狂い方も、いつもの福原脚本に登場してくる感じで大好き。
というわけで、良かった部分もあったのですが、全体的には珍しくケチつけました。
すみません。
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キョードー東京
「ミュージカル『衛生』~リズム&バキューム」
(大阪公演)
2021年7月30日~8月1日 @オリックス劇場
脚本・演出:福原充則
音楽:水野良樹(いきものがかり)、益田トッシュ
出演:古田新太、尾上右近、咲妃みゆ、石田明、村上航、佐藤真弓、ともさかりえ、六角精児、
稲葉俊一、今國雅彦、尾上菊三呂、甲斐祐次、加瀬澤拓未、久保田武人、後東ようこ
高山のえみ、竹口龍茶、新良エツ子、八尋雪綺、江見ひかる、エリザベス・マリー、おでぃ、
かにえゆうき、鏑木信三、高橋伶奈
振付:振付稼業air:man 美術:稲田美智子
照明:斎藤真一郎 音響:藤森直樹 映像:石田肇 衣裳:髙木阿友子
ヘアメイク:大宝みゆき アクション:渥美博 歌唱指導:益田トッポ
稽古場ピアノ:井高寛朗 演出助手:相田剛志 舞台監督:二瓶剛雄、廣瀬次郎
制作:相場未江、藤本綾菜 制作統括:笠原健一 デスク・票券:岩﨑泉希
アシスタントプロデューサー:小川美和 プロデューサー:熊谷信也
宣伝美術:トリプル・オー 宣伝写真:永石 勝(トリプル・オー)
宣伝衣裳:堀井香苗 宣伝ヘアメイク:大宝みゆき、門永あかね、水口美穂
宣伝映像音楽:益田トッシュ 宣伝映像ディレクター:山口保幸
宣伝:雲林院康行 小澤理絵(キョードーメディアス)
公式HP:メテオデザイン 企画製作:キョードー東京]]>
NODA・MAP「フェイクスピア」@東京芸術劇場プレイハウス/新歌舞伎座
http://catchy.exblog.jp/32236870/
2021-07-17T22:09:00+09:00
2021-07-23T17:32:30+09:00
2021-07-23T17:23:08+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
【めちゃくちゃネタバレしています】
東京での開演まもなくの頃、白石加代子の不調(?)具合がTwitterで話題になっていたので、「上演大丈夫か?」と心配していたこともあったが、東京・大阪ともに無事観劇することができた。
タイトルからして、フェイクニュースの話かと思うのだが、最終的には全然関係ない話になる(最終的なモチーフは御巣鷹山の日航ジャンボ墜落事故です)。
前提知識なしで観ていると、その結末は全く想像が出来なくて、でも「言葉の入った小さな箱」を山で探している時点で、「これはもしかしてブラックボックスでは」?とは思ったが、それが御巣鷹山につながるとは思わなかったし、ましてやそのブラックボックスがあんな役割を果たすとは…という意味でも全く予想外だった。(音声記録を聞いたことがある人ならば、すぐにピンときたかもしれないが)
全体をかなりざっくり観ると、過去の野田作品にあるような、いわばそれなりに手慣れの流れではあるのだが(例:逆鱗)、タイトルの効果もあって、結末は全く予想できないし、何より前半はちょっと遊眠社ぽい。ちょっと久しぶりに「等速で倒れる」みたいな、遊眠社っぽい身体の使い方があったし、「言の葉が入った箱」を神の使いの者が探す、とか抽象的な感じも遊眠社。あとは、意外とアナログ(?)でシンプルな美術(というか演出手法)もいいし、遊び方もちょっと懐かしい。
冒頭から白石加代子が「白石加代子」として意外と長めの尺で登場してきたり(!)、野田秀樹がシェイクスピア役で登場してきたり(やたらと似合っていて、ほぼ出オチw)、「偉大な劇作家 野田秀樹」を強調してきたり(笑)、おじさん3人でラップに挑戦したり、前作がかなり派手な印象の演出だったのと比べて、前半はしっかりと戯曲ベースで遊びまくっている印象。
後半(というか結構ラスト近く)になると、散りばめられていた伏線が回収されて、ラストの123便の機内の様子へと繋がっていくのだが、「虚構と現実」とか「フィクションとノンフィクション」といったことがテーマの一つとなっている本作だからこそ余計に、舞台上から伝わってくる緊迫感に惹きつけられるものがあった。
ずっと温めてきたネタだったようなことをパンフレットで野田さんが語っているのだが、このタイミングでのお披露目というのは、近年の(特にコロナ禍以降の)時代の流れの意識もあったのかな、ということはどうしても感じてしまう。
「がんばれー」「どーんと行こうや」という機長の発言は、緊迫した一連の状況から発せられたまさしくリアルな言葉(な言葉の一群)なのだが、その背景や文脈を一切無視して、単語だけ切り出せば「何をふざけたことを言っているのだ」ということになるのだろうし、そうやって(本来の背景や文脈から切り離されて)独り歩きしてしまった言葉が、あっという間にSNSで拡散して、ここぞとばかりに湧いてきた不特定多数(しかも匿名)からボコボコに叩かれまくるなんてことは、現実では、今日往々にして発生しているところである。
(SNS全盛期の今でなくとも、文書や音声流出当時もそう取られたのだが…)
「言葉が軽い」「虚構化する現実」という野田さんの発言も、思い当たる節はちらちらとあり、フィクションの言葉を紡ぐことを生業としている者(=野田さん自身)としての矜持を示すよう内容にも感じられるけれど、決してベクトル的に閉じた内容ではなくて、昨今のフェイクニュースや、ネットの誹謗中傷、キャンセルカルチャー等々への言葉を扱う者としての批評的眼差しというか、そういったものも感じられたかな、という印象。
ただ、野田地図、割と近い時代(?)の事件等を題材にするとイマイチ面白くなくなる傾向がある気がするのだが(笑)、全然説教臭くなくて、素直に面白かった。それは戯曲の遊びっぷりも良かったと思うのだが、今回はキャスティングもかなり功を奏していたと思う。
なんといっても、白石加代子&橋爪功のベテランコンビ。もうほんとスゴイ!巧い!(語彙力)
高橋一生のこの作品での起用は超納得。失礼ながら、舞台をやる印象も全然なかったし、あんなに器用な俳優だという印象がなくて、その実力に吃驚しつつも、その安定感に引き込まれた。あと、センター分けが全く崩れないのは流石芸能人って思っちゃったw
前田敦子の「わかって使ってるアイドル感」もとても好感。やはり華がありますな。
遊眠社っぽい戯曲だったり、まさかの着地点だったり、キャスティングだったり、野田さん出オチで大活躍だったりと、トータルして、個人的には、素直な気持ちでかなり満足度高い感じ。
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NODA・MAP 第24回公演
「フェイクスピア」
(東京公演)2021年5月24日~7月11日 @東京芸術劇場プレイハウス
(大阪公演)2021年7月15日~7月25日 @新歌舞伎座
作・演出:野田秀樹
出演:高橋一生、川平慈英、伊原剛志、前田敦子、村岡希美、白石加代子、野田秀樹、橋爪功
石川詩織、岩崎MARK雄大、浦彩恵子、上村聡、川原田樹、白倉裕二、末冨真由、谷村実紀
手打隆盛、花島令、間瀬奈都美、松本誠、的場祐太、水口早香、茂手木桜子、吉田朋弘
美術:堀尾幸男 照明:服部基 衣裳:ひびのこづえ 音楽・効果:原摩利彦
音響:藤本純子 振付:井手茂太 ヘアメイク:赤松絵利 舞台監督:瀬﨑将孝 プロデューサー:鈴木弘之
演出補:高都幸男、山崎清介 制作:青木康子、松本景衣、伊藤育
企画・製作:NODA・MAP]]>
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 「未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―」@神奈川芸術劇場大スタジオ
http://catchy.exblog.jp/32425459/
2021-06-12T16:29:00+09:00
2021-12-30T14:43:48+09:00
2021-12-30T14:43:48+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
ザハ・ハディドをシテに描く『挫波(ザハ)』/高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる『敦賀(つるが)』
現代演劇の言葉と身体、空間がおりなす可能性を開拓し、国際的に活躍する劇作家・演出家の岡田利規(チェルフィッチュ主宰)が、現存する世界最古の舞台芸術「能」に触発された音楽劇を上演します。
本公演は、ザハ・ハディドをシテに描く演目『挫波(ザハ)』
高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる演目『敦賀(つるが)』の2演目で構成されます。
『挫波』ー東京五輪招致のため、2012年新国立競技場の設計者としてコンペで選ばれた天才建築家「ザハ・ハディド」。その圧倒的なデザインで脚光を浴びながら、後にその採用を白紙撤回され、それからほどなく没した彼女をシテとして描く。
『敦賀』―夢のエネルギー計画の期待を担い、1985年の着工以来一兆円を超す巨額の資金が投じられたものの、一度も正式稼動することなく、廃炉の道をたどる高速増殖炉もんじゅ。もんじゅを臨む敦賀の浜を訪れた旅行者が出会うのは――。
目に見えないもの、霊的な存在がその想いを語る「夢幻能」の構造を借り、岡田が問うものはー
社会とその歴史は、その犠牲者としての未練の幽霊と怪物を、
ひっきりなしに生み出して来て、今だって生み出し続けています。
わたしたちはそれら幽霊や怪物のことを見ないこと忘れてしまうことを、
その気になればできちゃうし、そのほうが快適な向きは確かにある。
でもそれらに、つまり直視しないこと忘却することに、抗うために、
能という演劇形式が持つ構造を借りて、音楽劇を上演します。 岡田利規。
(劇場ウェブサイトより)
チケット取りにめちゃくちゃ苦戦したのだが、
何とか都合の良い時間帯のチケットを確保することに成功し、
久し振りに横浜まで。
公演そのものは、モチーフも含めて気になっていたものの、
お恥ずかしながら、能に関しては知識が全くなく、
事前に軽く調べてみようと思ったものの、ぶっちゃけよくわからなかった…。
実際に観てみると、なるほど、(私はよくわからないが)確かに能の形式である。
そして、能のシテというのは、死者や幽霊のようなものが多いらしく(←それはわかった)、
なるほど、だからこのモチーフで能の形式なのかと。
申し訳ないが、導入がその程度の理解なのである…。
もうちょっと能に関して、知識を入れてから観たら見え方が全然違っていたと思うのだが…。
能の形式等の話は、いったん脇においとくとして。
私としては、敦賀の方がより刺さるものがあった。
「もんじゅ」について、ああいう形で擬人化(?)するとは思いもしなかったし、
弔い的な目線が向けられるとも思わなかったし、ともすれば反対派からは攻撃されがちな、
地元(住民)のあの描写とか、とにかく意外だった。
とはいえ、擬人化してポエティックな世界になっているわけではなく、
そこに描かれているものは、政策的失敗に対する指摘~~~(中略)~~~にも取れ、
その視点に対してハッとさせられる。
ザハ(国立競技場)については、事象としては、もんじゅよりも分かりやすく
能のテーマになりやすいことなのだと思うが、
分かりやすく怨念的要素がどうしても出てしまう部分と、
以前、展覧会に行って「まぁ、それなりに知ってた」ところと、
でも、新国立競技場の実物を見たことがないっていうのがあって、
個人的にはちょっと入りが悪かった…。
気持ちとか思い入れのようなものは、もんじゅよりも強いものを感じはしたのだが。
(というか、まさかリアルにオリンピック開会式に繋がっていくとはなぁ…)
キャスティングについては、キレがいいというか。
恐らく前年のリモートでの作品作りとかが効いているのだと思うが、良い。カッコイイ。
石橋静河があんなに踊れる人だとは知らなくて、びっくりしたけど、衣裳もビックリした(笑)
そして、片桐はいりという女優は本当に貴重な存在だと改めて認識。
あの全体の雰囲気の中で、ちゃんとチェルフィッチュ的な色にあった「片桐はいり」をしていて、
それがあったからこその、作品バランスな感じがして。単純に言えば、面白かったのだが。
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KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース
「未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―」
(神奈川公演)2021年6月5日~6月26日 @神奈川芸術劇場大スタジオ
作・演出:岡田利規
音楽監督・演奏:内橋和久
出演:森山未來、片桐はいり、栗原類、石橋静河、太田信吾/七尾旅人(謡手)
演奏:内橋和久 筒井響子 吉本裕美子
美術:中山英之 (建築家) 照明:横原由祐 音響:佐藤日出夫
衣裳:Tutia Schaad 衣裳助手:藤谷香子(FAIFAI)
ヘアメイク:谷口ユリエ 舞台監督:横澤紅太郎
編集:鈴木理映子
宣伝美術:松本弦人 宣伝写真:間部百合
宣伝衣裳:藤谷香子 宣伝ヘアメイク:廣瀬瑠美
企画製作・主催(神奈川公演):KAAT神奈川芸術劇場]]>
劇団唐組「ビニールの城」@花園神社
http://catchy.exblog.jp/32210222/
2021-05-23T22:43:00+09:00
2021-07-04T01:48:23+09:00
2021-07-04T01:48:23+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
唐組の再演により、2021年にようやく舞台(というかテント)で観ることができた。
ちなみに私が観にいった回は、本来なら下北沢で上演される予定だったのだが、
近隣店舗からの苦情で中止になり、急遽花園神社での上演となった。
まぁ、演劇はとかくうるさいと言われがちなのだが、演劇の街・下北沢でそれを
言われちゃあねぇ…と反射的に思ってしまうのは私だけではないだろう。
【あらすじ】
月光さし入る浅草・神谷バー。
腹話術氏の朝顔は、8か月前に別れた相棒の人形・夕顔を探し続けていた。
人形を「遠くから来た人」と思う朝顔は、他人との「なま」の関わりを持てずにいる。
そんな中、アパートの隣に住んでいたビニ本のモデル女・モモと再会する。
モモは朝顔にこう告げる。
「あたし、あなたが忘れられない人形と同じ名の人と結婚しました。いつまでもあなたの体の
半分と暮らしていたかったから」
それを知った夫・夕一は「人形の夕ちゃんにならなければ、モモという妻に喰い込んでゆくことは
できない」と思いはじめる。
交錯する三人の想いと葛藤の中で、この悲恋物語はどういう結末を迎えるのか…。
(チラシより引用)
しかし、まぁ、まさか2021年現在、こんなにも現実社会が「ビニールの城」になるとは…(苦笑)
タイトルの「ビニール」はビニ本のビニールであって、決して飛沫防止シートことではないw
あと、ちらちらと過去上演時の感想を読んでいて思ったのだが「ビニ本」と言われて
何のことかわからない人って、今やそんなに多いのか?
ちょっと前までコンビニにもあった気がするのだが…。ビニール被ったエロ本のことじゃん!
閑話休題。
元々、唐十郎が他劇団(第七病棟)向けに書き下ろした台本であり、そういわれてみると
これまでの自劇団向けの作品とは、ちょっとテイストが違うようにも思える。
(とはいえ、私にとっては、特段違和感があるわけではないが。)
割とストーリーがわかりやすいというか、男女の愛に重きが置かれているというか。
初演当時、この作品がどういう捉え方をされていたのかは正直分からないが、
生身の女を愛することが出来ないとか、二人の間を遮るものがビニールだったりとか、
そういった描写は、2021年時点においては、作品が書かれた時代以上にリアリティを
持っている気がして古さを感じさせない。
言い換えるなら、世の中がやっと芝居に追い付いてきた、ということか。
テント内のファンタジーの世界と、テント外のリアルの世界が、「屋台崩し」の前から
混濁しているような感覚を覚え、だからこそ唐組の定番「屋台崩し」が起こったときの
テント内と外界との「地続き」感、現実と虚構がごちゃまぜになって感じられる
物語の奥行きがいつも以上に強くて、興奮というよりも圧倒されてしまった。
夕一(ゆういち)の「僕は誰からも愛されたことがない」という主旨の台詞が
個人的には妙にぶっ刺さった。物語的には夕一の存在というのは大変大きいのだが、
確かに誰からも愛されてはいない。自分のことのように悲しい。
しかし、その感情を観客である私に引き起こさせるところも、むしろ現代的。
飛沫防止シートを含めて、いろんな意味で現実の方がよほど「ビニールの城」に
なってしまった今、あまりにも不器用で、でも真剣な人間どおしの関わりというものに
熱くなるものを感じるのであった。
というわけで、よかったです。
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劇団唐組 第67回公演
「ビニールの城」
(東京公演)
2021年5月8日~9日、14日~16日、22日~24日、28日~30日
6月4日~6日 @新宿・花園神社
作:唐十郎
演出:久保井研
出演:久保井研、稲荷卓央、藤井由紀、福原由加里、加藤野奈、大鶴美仁音、
重村大介、栗田千亜希、升田愛、藤森宗、松本遼平、全原徳和、友寄有司、
木村健三、影山翔一、新美あかね
絵:合田佐和子 作曲:北村早樹子、安保由夫 演出助手:加藤野奈
宣伝美術:海野温子 舞台美術:大鶴美仁音+紅美術団子
照明:福本雄樹 衣装:安楽きわ+藤井由紀 音響:岡田悟一 舞台監督:全原徳和
協力:(株)インター・アート・コミッティーズ、(株)ファーストビジョン、(株)千代田組
小田急電鉄株式会社、本多劇場グループ、足利浩平]]>
サードステージ「アカシアの雨が降る時」@六本木トリコロールシアター
http://catchy.exblog.jp/32200187/
2021-05-23T17:00:00+09:00
2021-06-27T00:18:44+09:00
2021-06-27T00:18:44+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
母が倒れた。
病院に駆けつけると、母は自分のことを20歳の大学生だと思い込んでいた。
そして、私の息子を、つまり、母の孫を自分の恋人だと信じて呼びかけた。
母の恋人、つまり私の父と息子は、顔がよく似ていた。
母と父は大学生の時に出会ったのだ。
医者は、母は病気であり、母の妄想を否定してはいけないと告げた。
息子は母の恋人として話し、私は恋人の父、つまり私の祖父だと振る舞った。
こんがらがった関係の中、母は大学に戻ると言い出した。
70年代初頭、恋と革命が途方に暮れ始めるキャンパスへと。
ふと公演案内をツイッターでみかけて、行くことにしてしまった。
チラシのデザインが、めちゃくちゃ第三舞台って感じがした上に、ストーリーのあらすじも、どこか「トランス」を想起させる内容に惹かれて…。
なんか、コロナ以降、新しいモノよりも「久しぶりにこのテイストに触れたい!」みたいな感覚が強い。でも、鴻上的なセンスとか、第三舞台的なセンスっていうのは、私の中では、ずっと「都会的でシュッとしたもの」であこがれてしまう。
六本木に小劇場が出来ていたとは全く知らず。傾斜の緩さは、博品館劇場や紀伊國屋ホールを思い出す。客層は、多分テニミュの前田君狙いの女子と、第三舞台世代の50代くらいのオジサマに二分された感じ(笑)勿論、私は、オジサマの方ですが…。でも、カムカムの松村さんも気になっていたのも事実。
まぁ、予想どおり、「トランス」+「僕たちの好きだった革命」みたいな感じの内容と言ってしまえば、だいたいそういう内容。ただ、この規模の劇場で3人芝居というのも、なんか、プリミティブな構造ながらも(というか、むしろそれ故に)役者や戯曲の魅力が濃縮された、贅沢な味わい。
世の中の分断が進み、コロナ禍で何だかギスギスする今の世の中。でも、ついちょっと前まで、若者はおかしいと思うことに声をげていたし、体制と戦っていた。突然痴呆になった祖母(母)は、自分が一番輝いていたと思うその時代の感覚に戻ってしまい、ベトナム戦争に反対するための行動を起こそうとし、ぎすぎすした関係だった息子(父)と孫(子)は、祖母に合わせて、演じながら日々を過ごす。
「ちょっと前」、といいつつも、1970年ってもう50年も前なのね…。え、半世紀前…(白目)
正直、(オッサン的にはまだまだ「ちょっと前」だと思っている)50年前の学生運動のことを持ち出して、今の世の中が云々…というような話は、まぁ、言いたい気持ちはわかるのだけれど、「あの頃の学生運動・反戦運動よもう一度」、ってことがメインで言いたいわけではないことは流石にわかる。
自分にとっての母親(または祖母)である、一人の人間が、その時代に色々考えながら、(母親や祖母になる前に)一人の若者として生きていたということをきちんと認識できた時のその衝撃を通じて、「一人一人に人生ありだよなぁ…」って思うと、急に、たまらなく切なくなるのである。
親や先生って、上手く言えないけど、パブリックな存在であるところがあるので、単なる一人の人間として見づらいかもしれないけど、ひとりの人間なのである。毎日コロナで何人死んだとか言ってるけど、全国で○○人という1つの死ではなく、
一人一人の何十年という人生の積み重ねが、○○人×何十年が終わっているということなのである。
なんてことをね、急に考えちゃったりするわけですよ…。
オッサンだと、親が要介護状態だったり、老人ホームに行っても会えなかったりするが、その会えない人は、自分にとってかけがえのない、何十年という人生を積み重ねた一人の人間なのである。
別に、どらめちゃ当たり前なことで、今さらドヤっていう話でもないのだが、今の時代、改めて考えてみると重みがある。
そして、親からの愛情が重くて、それに耐えきれなくて遠ざけてしまった(本当は好きなのに)って、あれは効くね…。オッサンじゃなくてもグッときてしまう。何かとグッときてしまう。私も愛情かけると重い方だからw
そして最後に、「アカシアの花の咲くころに」、でしょ。このあたり、絶対オッサン殺しに来ていると思うけど(笑)、ズルいよ…。
ともすれば、オッサンの懐古主義的な説教臭くて、そんでもってオジサンホイホイな芝居になるかもしれないけれど、人の皮膚の一枚下にある、何か大事なところを優しく触れていく芝居だったなぁ…。という感じ。懐古主義的感覚とか、まぁ、やっぱ、あるんだけど。
演出面で言えば、松村さんはちょいちょいカムカム感があって◎ 前田君もちゃんといい。松村さんのカムカム演技をみて吹き出してたの、いい(笑) 役者も美術も、色々とピースが上手いことハマっている感じで、観ている側としては大変心地よい。なんか、反米みたいな文字が見えるのがちょっと気になったけど、まぁ、50年前のベトナム戦争の頃が題材として出てきているが故のデザインと解したし、結果として煩くなかったので私としてはマイナスではないかな。
てか、今回、普通にサードステージの企画としてやってるけど、KOKAMI NETWORK名義ではもうやらないのかしら。
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サードステージ「アカシアの雨が降る時」
2021年@六本木トリコロールシアター
作・演出:鴻上尚史
出演:久野綾希子、前田隆太朗、松村武
美術:池田ともゆき 音楽:河野丈洋 振付:川崎悦子
照明:中川隆一 音響:原田耕児 映像:冨田中理 衣裳:森川雅代
ヘアメイク:西川直子 演出助手:吉野香枝 舞台監督:大刀佑介
宣伝美術:永瀬祐一 制作:倉田知加子 プロデューサー:白樹栞
企画・製作:六本木トリコロールシアター/サードステージ]]>
玉田企画「サマー」@小劇場B1
http://catchy.exblog.jp/32257731/
2021-05-22T22:28:00+09:00
2021-08-07T22:38:10+09:00
2021-08-07T22:36:50+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
いや、別に深い感想は特にありません(笑)
何も考えずに「わはは」と笑っていただけですが、別に「コント」なわけではなく、ちゃんと演劇。ちゃんと玉田企画の芝居、なところがいい。過去に観た「あの日々の話」のような、何かと自分の中の何かと重なる感覚とか、ワンシーンを切り取ってきたような、私に言わせるところの「平田オリザ」的感じはなくて、ほんと、難しいこと考えずに、笑っていればいい感じ。
いや、あんな経験したことある人、いないでしょ(笑)
でも、あの洗練された感じなんなんでしょ。まぁ、青年団出身風といえばそれまでなのだが、しっかり会話劇だし、リアリティもちゃんとある。恐らくキャスティングが功を奏している部分が大きいとは思うし、あとは、単純に役者の理解度が高いよね。だって、青年団系の人多いし。
とにかく、シュッとか、スッとした人たちが、なかなかオシャレにちゃらんぽらんなの、気が狂ってて、とてもいい。リアルにいたら一瞬むかつくけど、なんか励みになる(笑)
でもねぇ、あの狭いコミュニティであんなに色恋沙汰起こしまくってるのは、まぁ、お芝居だからしょうがないんだけど、別のリアリティがあって、キモいといえばキモい…。
個人的には、堀さんがお美しくてよかったですし、シェフもよかったですね。てか、役者さんはみんな好きでしたよ。繰り返しになるけどお話も好き。玉田さん本人も、なんかいい感じで出てきますね。でも、あれをリアルにやられたら、心底軽蔑すると思う…。
家に帰ったら、iPhoneのバックアップ取らなきゃと強く決意した。
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玉田企画「サマー」
2021年5月20日~30日 @小劇場B1
作・演出: 玉田真也
出演:浅野千鶴(味わい堂々)、神谷圭介(テニスコート)、今野誠二郎、玉田真也
深澤しほ(ヌトミック)、堀夏子(青年団)、前原瑞樹(青年団)、森本華(ロロ)、山科圭太
舞台監督:青木規雄(箱馬研究所) 舞台美術:福島奈央花 照明:山内祐太
音響:池田野歩、栗原カオス 衣装:早野アレックス、秋田百合美 脚本協力:野田慈伸(桃尻犬)
演出助手:森皓平 イラスト:野崎浩貴 宣伝美術:牧寿次郎 制作:小西朝子、河野遥(ヌトミック)
協力:イマジネイション、jungle、スターダストプロモーション、レトル、味わい堂々、
青年団、テニスコート、ヌトミック、桃尻犬、ロロ
主催・企画制作:玉田企画 助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京]]>
小松台東「てげ最悪な男へ」@三鷹市芸術文化センター 星のホール
http://catchy.exblog.jp/32311168/
2021-05-22T21:26:00+09:00
2021-09-19T21:43:53+09:00
2021-09-19T21:40:25+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
【あらすじ】
女のこれまでの恋愛は散々なものだった。
誰が見ても最悪な男とばかり付き合ってきた。女にだらしない、働かない、理不尽にキレる……。だけどもド田舎に暮らす限り楽しみなんて恋愛くらいしかない。だから女はまた恋をする。“次こそは”と期待を込めて。そうして新たに出会ったのは都会から越してきたという男。女は惹かれる。かつてないほど恋に溺れる。ようやく幸せを掴んだかに思えたその時、てげ最悪な男の姿が剥き出しになる。
宮崎県出身の友人(オオサワ君)との観劇を目論むも、一人で観劇。
チラシに書いてあった内容からすると、やっぱりダメな男が好き、
みたいな内容かと思っていたら、「実は復讐劇」とあったので、
誰に対する、もしくは何に対する復讐なのだろうと考えてしまった。
周囲の男たち? 母親? 土地? 過去の自分?正解が一つというわけでもないのか。
宮崎県出身者の知り合いもいるし、遊びに行ったこともあるけれど、
別に宮崎に詳しいわけではない私。でも、ちゃんと方言で綴られたこの会話劇には、
宮崎という田舎の閉塞感のようなものとか、(特に主人公は)その生い立ちならではの、
さらに田舎ならではの生きづらさみたいなものが詰まっていて、
個人的には、全体を通してちょっと息苦しい感覚があった。
主人公の生きづらさもわかるんだけど、おじの心情もまた自分が歳をとったせいなのか、
それなりにわかってしまう部分もあるし、犯罪加害者の家族の気持ちというのも
とても苦しいものがある。そして、新型コロナ…。
というか、芝居の中であれほどナチュラルに、
今のコロナ禍の状況を取り込んだ作品って見たことがないんだけど…。
ソーシャルディスタンスやマスクの存在といったものが、
会話劇の中に実に巧みに取り込まれ、そして実に効果的に作用していたのは、
とても印象的だった。どや~~~って感じより、ああいうのが好き。
松本さんは、劇作家・演出家として、緊張感を作り出すのが上手いなと思う。
で、その中に、まさかのガッツリお遊びがぶっこまれてくると、そりゃ面白い(笑)
男子高校生が女子相手に段々コーフンしてきちゃうところとか、
最高の演出じゃないですか(笑)
(最初、なにが「ワッショイ」なのかよくわからなかったけどw)
その緊張感と遊びとのメリハリが面白くて、やっぱりグッと引き込まれちゃう。
しかし、過去の観劇記録を振り返ってみると、実は小松台東、今回が2回目だった。
もう少し観たことある気がしていたのだが…。そんなこともなかったようですw
また観にいきたい。
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小松台東 2021年本公演
「てげ最悪な男へ」
2021年5月21日~30日 @三鷹市芸術文化センター 星のホール
作・演出:松本哲也
出演:小園茉奈(ナイロン100℃)、瓜生和成、今村裕次郎、松本哲也、
青野竜平(新宿公社)、荻野友里(青年団)
CP:佐藤こうじ 舞台監督:内山清人(サマカト) 美術:泉真
音響:Sugar Sound 照明:鷲崎淳一郎(ライティングユニオン)
演出助手:福名理穂(ぱぷりか)スタンドイン:土屋翔(劇団かもめんたる)
方言指導:梢栄 宣伝美術:吉田電話 題字:小園茉奈
撮影:向殿政高(株式会社オプティグラフィック) 制作協力:塩田友克
企画制作:小松台東 主催:(公財)三鷹市スポーツと文化財団]]>
SPAC「アンティゴネ」@駿府城公園紅葉山庭園前広場特設会場
http://catchy.exblog.jp/32200178/
2021-05-03T23:51:00+09:00
2021-06-27T00:01:12+09:00
2021-06-27T00:01:12+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
2年越しのSPAC、駿府城跡での野外公演。
もうこれがないと、GWって感じしないのよね…。
公園に組まれた、客席と10段近くあるイントレ壁にテンションぶち上がる…!
※過去にも見ているので細かい内容については割愛。
当時の感想はこちら https://catchy.exblog.jp/26684269/
2017年に静岡で上演されたのはいわば、プレビュー版とでもいうべき内容で、今回上演されたものが、アヴィニョンで上演されたバージョン(に近い)もの、なはず。
配布された宮城さんによる「演出ノート」には、2017年当時の書き物があるのだが、むしろ、今回の2021年に書き下ろれた内容なんじゃないかと思ってしまう。それくらい、2017年よりも2021年の今の方が、SPACによる「アンティゴネ」で示しているテーマが深刻というか、鬼気迫ってくるというか。
正直、アヴィニョン版の方が、プレビュー版よりも演出的には静と動の振れ幅が大きい気がしていて、合間合間に挟まれる盆踊りのシーンも、かなり弔いとか鎮魂とか慰霊とかの意味合いが強調されてるなぁ。。。というか、日本人の私でもかなりクセの強い印象を受けたので、ぶっちゃけた話、事前に解説があったとしても、外国人はちゃんと理解できるのか…?と疑問に思うレベルだったのだが…(笑)(プレビュー公演の時もあんなにクセ強かったっけ?)
その一方で、世界の分断とか、善と悪で二分されない(「死ねばみな仏」)の世界とかといったテーマ性というのは、超色濃くプッシュされていて、ラストはその迫りくるものに、思わず涙が出そうになった。
コロスの中から、カツラやお面をかぶった人が、役名のある登場人物になり、最後に再びコロスに戻っていく様子は、「死ねばみな仏」「鎮魂の祝祭」の世界観を如実に現わしていたし、背景の壁に投影された影は、一義的には登場人物たちの関係性や内在するものを表していたと思うのだが、(登場人物間の関係性とはまた別の意味での)政治性のようなものも、直接の台詞に変えて語っていたような気がした。
余談だが、動き(ムーバー)と台詞(スピーカー)を二人で分ける手法というのが、結果的にコロナ対策に適応した形になっていたのは、ちょっと面白かった。
スピーカーは、文楽の太夫のように、舞台正面を向いて台詞を語るのだが、結果的にスピーカー同士が向き合わないため、相手に対して飛沫が飛ばないし、何よりコロスは、衣裳として(←ここがポイント)口覆(覆面)のようなものをつけているため、ますますバッチリ…!さすが、SPAC。静岡県がお金出してるだけのことはあるな…(笑)
しかし、4年ばかりの月日が経過したら世の中がガラリと変わってしまい、同じ芝居を観ても(多少演出が変わっているとはいっても)着目点が全く変わってくるというのは、我ながら、なかなか面白いというか。。。うん。
とにかく、今回、やっぱり静岡まで観にいってよかった。
それだけは間違いない。
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東京2020 NIPPONフェスティバル共催プログラム
ふじのくに野外演劇フェスタ2021
「アンティゴネ」
2021年5月2日~5日 @駿府城公園紅葉山庭園前広場特設会場
作:ソポクレス 訳:柳沼重剛
構成・演出:宮城聰
出演:SPAC/美加理、本多麻紀、大高浩一、阿部一徳、赤松直美、池田真紀子、
石井萠水、大内米治、加藤幸夫、貴島豪、小長谷勝彦、榊原有美、桜内結う、
佐藤ゆず、鈴木真理子、大道無門優也、武石守正、舘野百代、寺内亜矢子、
永井健二、野口俊丞、布施安寿香、三島景太、森山冬子、山本実幸、吉植荘一郎、吉見亮、若菜大輔、渡辺敬彦
音楽:棚川寛子 空間構成:木津潤平
衣裳デザイン:高橋佳代 照明デザイン:大迫浩二 ヘアメイク:梶田キョウコ]]>
M&Oplays「白昼夢」@東海市芸術劇場大ホール
http://catchy.exblog.jp/32257719/
2021-04-25T22:05:00+09:00
2021-08-07T22:27:22+09:00
2021-08-07T22:25:37+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
【あらすじ】
髙橋家の家主・高橋清は、妻を亡くし、次男の薫と二人暮らし。
47歳にも拘わらず、長年自分の部屋にこもりっきりの薫に業を煮やした長男の治は、引きこもり支援団体『ひだまりの会』に助けを求める。高橋家に訪れた『ひだまりの会』の別府正樹と石井美咲。治も加わり、薫を更生すべく尽力するが…
それぞれに闇を抱えた5人の、夏、秋、冬、春、季節を巡った交流を綴る…
なんか、久し振りに赤堀さんの芝居観たいなぁ~って思っていたら、ホント偶然にも太田川で芝居やるってことを知り、ギリギリのところでチケットをゲットして観に行ってきた。てか、いつの間にこんな立派なホールが出来たんだ、東海市。生意気にも駅前にスタバあるがや!とか思っとったけど、日鉄のおかげか…。(閑話休題)
8050問題とかに切り込んだような感じだけど、必ずしも別にそういうわけでもなくて(笑)
場面は終始、淡々と静かに、時に緊張感と笑いを交えながらも、舞台上では1年ほどの月日が流れていく会話劇。役者の年齢と役柄もあっているし、なんだかリアル。リアルなんだけど、でも、みんなどこかヘン(笑)
それぞれ色んな状況を抱えながらも、淡々と、真面目な顔したシリアスな場面ながらも、人々の持つ欲望やらなんやらは、いつだって蠢いているわけで。例えば、クッソ月並みだけど、「いくつになっても男は男」とか言いたくなる感じ?でも男に限らずそんな感じ。個人的には、月日が経つにつれて、新たな関係性が見えてくる、というより、家の中の関係者間における
緊張感のなくなる関係性っていうのが、すっごく気持ち悪くて良かった(笑)(※演技が弛んでた、とかって意味ではないです。念のため。)
今回、たまたま2階席で、ちょうど舞台上の家のセットをのぞき込むような感じだったので、余計にその、真面目顔しながらの欲求が止まらない、みんな真面目で静かにオカシイ様子を、まるで他人の家の中を覗き見しているような感覚で観られたので、これまた面白かった。
リアリティという意味で言えば、風間杜夫のあの、昔はモーレツ社員で今は偏屈ジジイ、みたいなのがあまりに上手くて、途中、ガチで引きかけちゃった(笑)5人中2人が大人計画で、プラス赤堀さんなので、個人的には意外と大人計画っぽい
感じだったりもするのだが、あの感じはやっぱり赤堀作品・演出。というか、赤堀さんは、舞台にいるだけで、なんちゅーか、ちょっと狂気味と緊張感が出ていいですね。5人しか出演しない静かな会話劇ですが、それぞれに(役とは別の意味での)大きな役割があって、ミニマムな座組ながらも、全ての役と、俳優自身がすごく効果的に作用していたのがとてもよかった。
まぁ、でも、最終的には、ジャストなタイミングで観たいな~と思っていた芝居が(しかもこのご時世に)観られるという、
映画か金曜ロードショーみたいな出会いが、演劇(しかも地方)であるんだなという奇跡に、色々細かいことそっちのけで感激していて、しかも面白かったのでますます感激している(笑)
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M&Oplays プロデュース
「白昼夢」
(愛知公演)2021年4月24日~25日 @東海市芸術劇場大ホール
作・演出:赤堀雅秋
出演:三宅弘城、吉岡里帆、荒川良々、赤堀雅秋、風間杜夫
美術:田中敏恵 照明:杉本公亮 音響:田上篤志 衣裳:坂東智代 ヘアメイク:大和田一美(APREA)
演出助手:相田剛志 舞台監督:髙橋大輔 演出部:宇野奈津子、藤原秀明、小林英雄
照明助手:是安理恵 音響操作:田島誠治 衣裳進行:冨田貞美 現場ヘアメイク:井草真理子
稽古場代役:西本竜樹、諫早幸作 大道具:C-COM、伊藤清次 小道具:高津装飾美術、西村太志
制作:近藤南美 制作助手:寺地友子 制作デスク:大島さつき 宣伝:ディップス・プラネット
宣伝美術:坂本志保 宣伝写真:渡部孝弘 宣伝衣裳:チヨ(コラソン)
プロデューサー:大矢亜由美 協力:大人計画、エー・チーム、コムレイド、オフィスカザマ
製作:(株)M&Oplays]]>
劇団こふく劇場「昏睡」@三重県文化会館小ホール
http://catchy.exblog.jp/32126137/
2021-04-11T21:33:00+09:00
2021-05-08T21:40:06+09:00
2021-05-08T21:40:06+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
以前からその名前は聞いていたけれど、今回初見の、宮崎県を中心に活動している劇団。
今回の作品は、元々は旧約聖書の創世記をもとに書き下ろした作品で、過去には岡崎藝術座の神里さんの演出で、二人芝居のオムニバス作品として上演されたこともあるらしい。
言われてみると、確かに、岡崎藝術座と相性よさそうなところあるな…(笑)
今回は、一部作品を入れ替えて、初めて作家が演出することとなったんだそうで。
生(性)と愛と、死。
二人の人間が生きて、愛し合い、そしていつか死んでいく様。
コメディタッチだったり、なんか抽象的だったり、ちょっと岸田國士っぽかったり、
テイストはある程度散らばっているけど、なんちゅーか、とにかく、そのことに
まっすぐに根差した短編戯曲群って感じで、観客それぞれに感じるところがありそう。
衣装のテイストは、少し古代のヨーロッパ風に感じる部分もあるのだが、
途中にはお神楽のような、古くから伝わる宗教儀式のような演出があり、
宮崎県って、日本神話の舞台になっている場所が多い地域ということもあって、
生きて、眠る(死ぬ)という行為の、原始性にも目が向けられてるように感じで、
このコロナ禍の時代だからこそ、迫ってくるものがある。
決して都市部ではない地方部から出てくる劇団の、インディペンデントで
プリミティブで、そしてしっかりしたコアを感じる芝居に触れられたことは、
このご時世、なんだか嬉しいというか、安心するというか。
とにかく、演出と役者の安定感がすばらしくて。安心できるし、引き込まれる。
役者の体形は、見た目は必ずしもそんなことないけど(皆さま全体的にスリム)、
どこか骨太でどっしりした印象。
個人的には、短距離男道ミサイルの小濱さんが、終始着衣のまま演技している姿を
劇場内では初めて観た気がして、ちょっと感動(笑)
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劇団こふく劇場 プロデュース公演#29
「昏睡」(三重公演)
2021年4月10日~11日 @三重県文化会館 小ホール
作・演出:永山智行
出演:かみもと千春、濱砂崇浩、大迫紗佑里、有村香澄
大西玲子、木内里美、小菅紘史、小濱昭博、坂田光平、多田香織、当山彰一
演奏:坂元陽太(ベース)
音楽:坂元陽太 舞台監督:河内哲二郎 照明:工藤真一(ユニークブレーン)
音響:出井稔師 美術:満木夢奈(ユニークブレーン)衣装:伊藤海(劇団歩く窓/FLAG)
制作:大迫紗佑里、高橋知美(キュリーズリンク)
主催:合同会社こふく劇場、三重県文化会館 後援:レディオキューブFM三重]]>
チェルフィッチュ×金氏徹平「消しゴム山」@あうるすぽっと
http://catchy.exblog.jp/32016699/
2021-02-11T22:32:00+09:00
2021-02-27T19:44:01+09:00
2021-02-27T19:44:01+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
人間のスケールを脱し、世界を見る目を更新する演劇
人、モノ、時間、空間、言葉が、未知のすがたで現れるーー
演劇という人間のための営みを通して、人間とモノ、それらを取り巻く環境とがフラットな関係で存在する世界を生み出すことはできるだろうか。
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市。津波被害を防ぐ高台の造成工事は驚異的な速度で風景を人工的に作り変えつつあった。岡田利規がその光景を目撃したことから構想された「人間的尺度」を疑う作品は、彫刻の領域を拡張し続ける美術家・金氏徹平をコラボレーターに迎え『消しゴム山』として実現した。無数にモノの並ぶ空間で俳優はモノと新たな関係を構築し、それを目撃する観客もまた、世界を新たな目で見ることになる。
2019年10月の『消しゴム山』京都初演から1年。劇場からスタートした試みはさまざまな空間へと展開してきた。『消しゴム森』では美術館というモノのための空間に俳優が入り込み、モノとのパフォーマンスはさらなる進化を遂げた。その成果は『消しゴム畑』で俳優の生活空間へと持ち込まれ、日常の風景の見え方を変えた。再び劇場へと回帰した『消しゴム山』はどのような風景を描き出すのか。「消しゴム」シリーズの最新形。
2度目の緊急事態宣言でどうなることかと思ったが、無事観劇することが出来てよかった。
劇団のチェルフィッチュと彫刻家の金氏徹平氏のコラボ作品ってことになるのかな。
京都での初演の評判(難解すぎるとか、客が途中で帰りまくるとか)をネットで見ていたので、かなり準備して観に行ったのだが、率直な感想としては「よくわからんけど、全然退屈しなかったし、面白かった」(笑)
ちなみに、今回はエクストラ音声ガイドを借りての観劇だったのだが、音声ガイドは借りた方がオススメ。多分、解説がないと、シーンとしている場面とか、自分の脳みそでは全然意味が分からない(笑)
陸前高田の町全体のかさ上げ工事の様子に衝撃を受けたことが、この作品(シリーズ)のきっかけとなったというような趣旨のインタビュー記事を事前に目にしていたのだが、どことなく、(陸前高田の工事に端を発しているのだから、そりゃそうなんだけど)東日本大震災のことを匂わせつつ、人間に与えられた時間と想像力の限界が故の、諸々の行動に対する批評・洞察、そしてちょっとアニミズム的なものに対する意識(?)があるのかな…みたいなことを考えていた。上手く言えないんだけど。
第1部の壊れた洗濯機に振り回されている人も、第2部の人間が作ったタイムマシンに乗ってやってくる未来人について、その存在に気づいているのに認めない政府高官も、その人間的時間軸や価値尺度の中で、わちゃわちゃやっているだけで、(音声ガイドでは繰り返されていた、舞台上に広がる)大地の上では、時間もモノも、実のところ、人間はコントロールできていない、ということなのだろう。
そこで自分は、対比するものとして、昔からある山岳信仰のようなアニミズム的なものを連想したのだが、第3部では、舞台上の様々なモノが、人間の手を借りて(?)移動したりしながら「モノたちによる演劇」が繰り広げられる。モノたちの自由(朽ちる自由とか)とは、まさしく人間的時間軸や意味づけ等からの解放であり、普通に演劇を見に来た観客からすれば「何してるんだろ…」と、置いてけぼりを食ったような気分になるのだが、その置いてけぼりを食った気分(に気づく)ことこそが、この芝居の狙いの一つなのかなぁ。。。
でも、舞台上においてあるものの大半が人工物(工業製品等)であるから感じたことなのか、そこはよくわからんのだが、こんなことを考えてるのも、そしてこんなことを劇場という空間で演劇にしていることも、結局のところ、人間の、物質や時間に対する即物的で些細な作用でしかないし、色々講釈垂れたとしても、人間という生き物は、大地や物質や時間に対して、そういう作用を続けていくことでしか生きられない存在ということを、批評的に描いていたようにも、後々思い起こしてみると、感じたところでもある。(さらにメタっぽい話にもなりそうだけど、禅問答みたいになりそうで省略)
あまり自信がないので、安易な感想に逃げると(笑)、みなさん言っていたとおり、青柳いづみ先生がとてもよかった。個人的には、これまで観た中で、一番好印象。矢沢誠さんも素敵。衣裳は、藤谷さんっぽかった。大好き。
なんだかんだ、最終的には諸々含めてチェルフィッチュだったよ。
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チェルフィッチュ×金氏徹平 「消しゴム山」
(東京公演)2021年2月11日~14日 @あうるすぽっと
作・演出:岡田利規
セノグラフィー:金氏徹平
出演:青柳いづみ、 安藤真理、板橋優里、 原田拓哉、 矢澤誠、米川幸リオン
衣裳:藤谷香子(FAIFAI) 照明:髙田政義(RYU)
音響:中原楽(ルフトツーク) 映像:山田晋平 技術監督:鈴木康郎
舞台監督:湯山千景 演出助手:和田ながら 英語翻訳:アヤ・オガワ
プロデューサー:黄木多美子 アソシエイト・プロデューサー:田中みゆき
プロダクションマネージャー:水野恵美 制作アシスタント:遠藤七海
舞台監督:川上大二郎 舞台監督助手:松嶋柚子
照明オペレーター:葭田野浩介 音響オペレーター:上島由起子
映像オペレーター:樋口勇輝 字幕オペレーター:田澤瑞季 撮影ヘアメイク:廣瀬瑠美
グラフィック:金氏徹平 宣伝美術:Werkbund
大道具製作:坂本遼 広報:村上晴香 広報ライティング:山﨑健太
票券:谷津有佳 制作デスク:佐藤瞳
制作デスクアシスタント:大川文乃、関萌美
企画制作:株式会社precog
製作:一般社団法人チェルフィッチュ
主催:一般社団法人チェルフィッチュ、株式会社precog
共催:公益財団法人としま未来文化財団(あうるすぽっと)
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
公演助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会]]>
ロロ「グッド・モーニング」@長久手市文化の家 風のホール
http://catchy.exblog.jp/31999048/
2021-01-23T23:46:00+09:00
2021-02-16T23:55:03+09:00
2021-02-16T23:55:03+09:00
yokusang_09
芝居を観てきた2021
誰もが惚れ惚れするような「おはよう」を言ってみたくて、私はひとり朝練をしてる。まだ誰もいない駐輪場で、完璧な「おはよう」の特訓。昨夜を光に返してあげるための「お」と、朝霧に溶けて忘れさられる「は」と、チャイムにもかき消されない、あなたにだけ手渡す「よ」と、どこまでも伸びて夕暮れまで残る「う」を言えるように、ひたすら口角 筋を鍛え上げていく。お、は、よ、う、お、は、よ、う。遠くから誰かのペダルを漕ぐ音が聞こえてくる。いよいよ本番だ。開口一番、私は青春史上最高の挨拶を決めて、きっとあなたは一目惚れをする。(劇団HPより引用)
高校演劇の大会のルールに則って作品を作る、というシリーズのこれが第6作目、ということでいい?? 私、高校時代はバリバリの演劇部員だったのだが、「セッティングも制限時間内で」というところとか、めちゃくちゃ懐かしくて。
ちなみに、私は全国大会まで出場したのだが、大会直前の地元ホールでの記念公演(実質、遠征費用回収公演ですわなw)で、校長からその趣旨の説明があった後、観客(多くは保護者とかOB含めた地元の人とか)の前で、セッティングするところから公開したことがあり、今回の公演でもその時点からやっていたので、ますます懐かしい。…とはいえ、私の出身校は舞台装置が大掛かりで、セッティング時間は毎回戦場状態だったので、3人くらいでのんびりセットしてるのを見ると「もっとサッサと動けよ!」とか檄を飛ばしたくなる(笑)
シリーズ初見で、企画趣旨以外のシリーズに関する前提知識が全くない状態での観劇だったのだが、その程度の知識で、いきなり観る60分1本勝負って、それこそ高校演劇の大会の世界だし、その状態から立ち上がってくる世界とか、普通に高校生活を描いているところとか、思っていた以上に高校演劇のスキームに則って作品が作られていて、ちょっとびっくり。高校演劇で女2人芝居なんて、大体は部員が全員で10人以下のような学校の出してくる作品なのだが(笑)、ナメてるとポーン!とコンクールのいいところ行っちゃうような、そういう香りがした。(そりゃ、作演と役者のクオリティを考えれば当たり前だが…。とはいえ、高校生じゃないけど。)
何気にハイコンテクストな演劇だったなとは思うのだが、シリーズ初見でも分かるだけの人物説明はあるし、登場人物や戯曲内容と全く同じ経験ではないにしても、どこか何か、高校生の頃に見ていた景色と重なるような(いや、物理的な風景というよりも、もっと精神的なものかもしれない)、そんな入り込み方をしてくる芝居だったという印象。
その結果、ハイコンテクストの壁(?)をいい意味で感じることなく惹きつけらる芝居だったかな、と。
でも、ふと考えてみると、個人的には、ロロの芝居に対しては、基本的になんかハイコンテクストな感覚を覚える(←実際にそうなのかは別として)ので、別に今に始まった話ではないのかもしれない…。今回もそういう意味では、ロロっぽいなと思っていたし(笑)
とはいえ、高校演劇の大会のルールに則った、高校生活を描いた内容の芝居というのが、作演にしても役者にしても、とてもシンプルで大事な、演劇に対するコアな部分を露にしている気がして、やっぱり面白いものが観られたな、という感想。です。
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ロロ いつ高シリーズ
いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校
「グッド・モーニング」
2021年1月23日 @長久手市文化の家 風のホール
脚本・演出:三浦直之
出演:望月綾乃(ロロ)、大場みなみ
振付:北尾亘 美術協力:安倍美波 照明:久津美太地
音響:池田野歩 舞台監督:湯山千景 演出助手:中村未希
イラスト:西村ツチカ 制作:奥山三代都、坂本もも
協力:コムレイド、N・F・B、Baobab、合同会社範宙遊泳
助成:(公財)瀬戸信用金庫地域振興協力基金
企画制作:合同会社ロロ 主催:長久手市 ]]>
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