青年団「さよならだけが人生か」@AI・HALL

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東京都内某所の雨が続く工事現場に、折り悪く遺跡が発見される。
遅々として進まない工事。
工事現場の人々、発掘の学生達、ゼネコン社員や文化庁の職員など、
様々な人間達がだらだらと集まる飯場に、ユーモラスな会話が、
いつ果てるともなく繰り広げられる。
青年団史上、もっともくだらない人情喜劇。

1992 年に初演され、「そのとき日本の演劇界が青年団を発見した」とも言われる劇団の出世作、
2000 年 のリニューアル上演以来、16年ぶり待望の再演。(劇団HPより引用)


昨年、吉祥寺で見逃していたのだが、随分と経ってから
伊丹でやるということは知っていたので、さくっと伊丹までおでかけ。
ちなみに今回は、帰りは珍しく高速バス1900円!
(いつもはJR新快速利用で2時間半なのよね。近いもんです、大阪。)

とある工事現場の作業員の休憩所が舞台。
まもなく山形の現場に移るベテラン作業員の送別会に向けた準備の話と、
工事現場から見つかった遺跡の発掘調査に関わる大学院生の話を中心として、
交錯する人間模様を描いた作品。
前回の上演は、旧石器ねつ造事件の頃(2000年ころ)なのだそうで。
そこからさらに、2018年現在に合わせて書き直しているのだろうか?
でも戯曲そのものには、初演が1992年だと感じるような古さは全くなく。

わかってはいたのだが、相変わらず役者のリアルさには驚いてしまう。
大学院生も、ああいうの、思い出すと大学時代には居たな…。
あんなようなビジュアルと会話!史学とか、心理学専攻!!
工事現場のおじ様たちも、ちょっと小ぎれいだけど、確かにいる(笑)
がゆえに、演技面の問題ではなく、そもそもの設定がちょっと芝居っぽい役は
なーんか、キャラ立ちとは違う意味で目立つ。
例えば、文化庁の役人とか。ああいう文化系女子は世の中に確実にいるのだが、
文化行政に携わっているかと言われると、私はあまりイメージがない…。
国公立の博物館学芸員ならまだしも。
そして、そういう役に限って、意外と芝居っぽい言動をしたりするもんだから、
ちょっと鼻につくのである…。(苦手な人には苦手なアレ)
役者的には、その役にドはまりで、いい味出しまくっているのだが、
それとこれとは少し別の話で。

この芝居、タイトルが凄く印象的だが、もちろん元ネタは、
御存知、さよならだけが人生だ」と井伏鱒二が訳した漢詩である。
この漢詩の解釈について、惜別と捉えるか、もしくは一期一会と捉えるか、
2つの見方があるらしい。
詩に描かれた事象は一つだし、見えてくるビジュアルも当然一つなのだが、
その様子をどう捉えるか。惜別と一期一会、違っているようで似ている、
というか、この微妙な具合を上手く言葉に言い表せないが、
ベースにあることは一つなのだと思う。

声高に主張するわけでもなく、込められたメッセージが、やおらハッキリ
立ち上がるというわけでもない。ぱっと見た感じ、本当にその辺の日常を
そのまま切り取ってきたような、特段ドラマチックでもない話。
しかし、各登場人物がポロリと語る過去や現在の境遇には、
それまでのドラマや歴史がある。「人に歴史あり」である。
ここの歴史が日々交錯してドラマが生まれて、さらに年月を重ねて、
また歴史になって、そんなその辺の人々の、ごく溢れた日常の積み重ねの
一端やら痕跡やらを、何千年後には歴史学者が発見して、
勝手に分析しちゃったりして、ロマンを感じているわけである。

そう思うと、こうして過ごしている私の日常もちょっと愛おしいモノに
思えてもくるし、今身近にいある人の人生や、ともに過ごしているこの時間も、
何やら無価値ではないように思えてくるから不思議。

「さよならだけが人生だ」の漢詩には、個人的には、
どこかフォークソング的な出会いと別れを感じるところがあるのだが(笑)、
そんな(今の時代となっては)暑苦しいものでなくても、
瞬間瞬間の出会いを、感謝までしなくとも、大切にしていきたいものである。

というか、この漢詩の意味(井伏鱒二訳)について、じっくり考えてみると、
「本当にそうだわ~」そう思うことがいっぱい…。
大事にしたい出会いはたくさんあるのだが、なかなか続かない…。
人生は、あっけないまでに、さよならばかり。
一期一会と思うのも、情緒があるようで、切ないものもあるんだよな。

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青年団第76回公演 「さよならだけが人生か」
(伊丹公演)
2018年1月26日~29日 @AI・HALL

作・演出:平田オリザ
出演:山内健司、小林 智、太田 宏、石橋亜希子、荻野友里、小林亮子、
立蔵葉子、森内美由紀、石松太一、伊藤 毅、井上みなみ、小瀧万梨子、
佐藤 滋、前原瑞樹、串尾一輝、藤松祥子、大村わたる、寺田 凜
舞台美術:杉山至  装置:濱崎賢二  照明:西本彩
衣裳:正金彩  舞台監督:小林朝紀  宣伝美術:工藤規雄+渡辺佳奈子 太田裕子
宣伝写真:佐藤孝仁  ロケーション・コーディネーター: 渡辺一幸(NEGO-TI)
制作:石川景子、金澤昭 撮影協力:(株)TYOテクニカルランチ、恵積興業(株) 
協力:(株)アレス  主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 
共催:伊丹市立演劇ホール 助成:平成29年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

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by yokusang_09 | 2018-01-27 19:12 | 芝居を観てきた2018 | Comments(0)


生きて名古屋に帰って来たよ。


by yokusang_09

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