八月納涼歌舞伎第三部「野田版 桜の森の満開の下」@歌舞伎座

c0025481_18051068.jpg現代演劇史に輝かしい軌跡を残した戯曲が、待望の「野田版」歌舞伎として蘇る

 深い深い桜の森。満開の桜の木の下では、何かよからぬことが起きるという謂れがあります。それは、屍体が埋まっているからなのか、はたまた鬼の仕業なのか…。
 時は天智天皇が治める時代。ヒダの王家の王の下に、三人のヒダの匠の名人が集められます。その名は、耳男、マナコ、そしてオオアマ。ヒダの王は三人に、娘である夜長姫と早寝姫を守る仏像の彫刻を競い合うことを命じます。しかし、三人の名人はそれぞれ秘密を抱えた訳ありの身。素性を隠し、名人と身分を偽っているのでした。そんな三人に与えられた期限は3年、夜長姫の16歳の正月までに仏像を完成させなければなりません。ところがある日、早寝姫が桜の木で首を吊って死んでいるのが見つかります。時を同じくして都では天智天皇が崩御。娘と帝を同時に失ったヒダの王は悲しみに暮れます。やがて3年の月日が経ち、三人が仏像を完成させたとき、それぞれの思惑が交錯し…。
 野田秀樹が坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」を下敷きに書き下ろした人気作『贋作・桜の森の満開の下』を、『野田版 研辰の討たれ』、『野田版 鼠小僧』、『野田版 愛陀姫』に続く、「野田版」歌舞伎の4作目として、満を持しての上演です。人間と鬼とが混在し、時空間を自由に操りながら展開する物語をお楽しみください。
(松竹HPより引用)


野田秀樹の遊眠社時代の代表作(と言ってもいいですよね?)を歌舞伎化した作品。
野田歌舞伎、もうやらないのかと思っていたけど、まさかの第4弾。
実は、勘三郎が歌舞伎化を希望していたとか。それを遺された
息子達(勘九郎・七之助)メインでやるというんだから、さすがに気になっちゃう。
(とはいえ、実は配役については、直前まであまり認識していなかったのだがw)

「贋作・桜の森の満開の下」自体は、元々は坂口安吾の「夜長姫と耳男」と
「桜の森の満開の下」の2作品を下敷きに書かれた戯曲。
(これの予習を事前にwikiでしとけばよかった…)
「夜長姫と耳男」から「桜の森の満開の下」へのDJリミックス、というところか。
お得意の雑な言いまとめをしちゃうとw
ただ、このサンプリングやらリミックスやらのセンスが、今も昔も変わらず、
さすが野田秀樹だわ、と唸る…。特に「夜長姫と耳男」の解釈の話を読んでいると、
元々原作の小説も様々解釈があるようだが、その抽象性と解釈の幅が芝居を
思い起こさせるし、遊眠社時代の野田作品との相性も良かったのかな、とも感じる。
原作があるという割に、しっかり遊眠社時代の野田作品という印象だし。
特に劇中に登場する「鬼」という存在について、場面場面で意味するものが
変わっているのだが、その抽象性と、その結果として、受け手が自由に
解釈・想起できる、その余地の引き出し方が印象的だった。
そのあたりの演出は、歌舞伎座での上演ということを意識したのかは不明だが、
古い脚本、そして故人との約束という、少しイヤらしい言い方をすれば、
随分と過去向きの要素が多い中、2017年夏というタイミングで上演された結果、
ちゃんと自然に「今」を提示し、そして客から引き出していることが、
単純に素敵だし、この戯曲の力を認識させられたところでもあった。

「歌舞伎」といっても、この「野田歌舞伎」、一体どこまでが歌舞伎なのか、
という疑問はあると思うのだが(笑)、個人的には、ド素人が見ても、それなりに
「確実に歌舞伎っぽい」要素を押さえていることが、超ベタだが重要だと感じている。
新作とはいえ、あくまで歌舞伎を(しかも歌舞伎座に)観に来ているのだから、
ある程度のお作法やお約束は欲しいところ…じゃない?。まぁ、歌舞伎座内では、
100%野田クラスタですので、あまり偉そうなことは言えませんがw
(その点、「研辰の討たれ」は良かったし、「愛蛇姫」は攻めすぎたと思うw)
今回の作品、台本は、概ね原戯曲どおりだったはずなのだが、元から設定が
現代日本ではない(飛鳥時代とか)こともあって、歌舞伎との相性も
良かったと思うし、それ故か、歌舞伎要素に関しても、程よく
ポイントを押さえていたように感じた。
冒頭から登場するヒダの王の使者がパンチの効いた女形演技(発声的に)で、
「やっぱ野田歌舞伎はこれだよ~~!」って感じだったしw
(ベテラン役者の女形はマストなのである!)
それと、ちょこちょこと見得を切ったり、ツケ打ちや和楽器演奏が入ってたりと、
まぁ、個人的にはもう少し「歌舞伎」していてもよかったかな、とは思うところもあるが、
概ね欲しいレベルの歌舞伎要素は押さえらえていたので、その結果、
変なストレスを感じずに、安心して観られた部分は大きい。

七之助の女形もやはりよかった。少し声が低めだし。しかも、その声質も含めて、
七之助が演ずる夜長姫は、野田芝居のヒロインのあの記号っぽさにすごくマッチしていた。
勘九郎は、2005年上演時の「走れメルス」にも出演しているが(←これは観た)、
個人的には、なーんか遊眠社の戯曲との親和性が高めな感じがしている。
野田さん、ああいう男優の声質が好きなのかな…。(妻夫木聡も似てる?)
そんなこんなで、世代的に見たことはないのだが、初演の野田秀樹と毬谷友子に
重なって見えるという意見には納得だし、男女の役だが二人とも男性という点と、
長男が父親にますます似てきているという点から(滑舌や声質や声のかすれ方やら…)、
勘三郎と野田秀樹(「表へでろい!」)の二人の演技のことも思い出したり…。

というわけで、結局のところ、最後はコクーン歌舞伎っぽいというか、むしろ普通に
ノダマップを観ているような気分になっていた部分は否定できないが(笑)、
なにはともあれ、(小劇場畑の)自分的には、大満足な作品だった。
客席から「中村屋!」が引き出せていたらもっと大満足だったかなw
…そんなこと言える場面なかった気もするけどw
(歌舞伎の人じゃないので適当なこと言ってますけど許して…)
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by yokusang_09 | 2017-08-17 23:39 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)


生きて名古屋に帰って来たよ。


by yokusang_09

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