時間堂「ローザ」@十色庵

ドイツの革命家ローザ・ルクセンブルク。
彼女の死後、墓前に訪れた因縁の4人が繰り広げる、ローザと過ごした記憶の再現劇。
「想像しろ。ローザの顔、ローザの声、ローザの身体。想像しろ、死の瞬間を。」
俳優の身体と観客の想像力だけで世界を立ち上げる、「すごい、ふつうの演劇。ふつうの、すごい演劇」最終章。
なんと、今回で解散公演となってしまった時間堂。
北千住で初めて公演を観て、あの超上質な会話劇に興奮したのが思い出される…。
で、今回は赤羽。なんか、北千住と赤羽ってちょっとポジション似てるのかしら…。
でも赤羽の方がなんか発展してるっぽい気もするけど、北千住はマルイあるしなぁ。
とか、まぁ、そんなこたぁいいのよ。
今回は再演とのことですが、当然わたくしは初見でございまして。
脚立と、一斗缶に乗った白い板があるだけの美術。演出がしゃべり始めたかと思うとそのうち役者もしゃべりだして、明確な線引きがないようなあるような感じで芝居がスタート。ものすごく平たくあらすじをいうと、第一次世界大戦後のドイツで、共産革命(1月蜂起)に敗れたローザ・ルクセンブルクの命日に彼女の墓前に集まった、彼女と関係のあった面々が、ロールプレイを通じて彼女が何を考えていたのか、どう生きたのかを追体験していく、みたいな内容。(かなり雑だがそんなに間違ってはいないはず…)
私、高校時代は日本史を履修していたのでこの辺の世界史って、正直よくわからないんですけど、そういう人物がいたということもお恥ずしんがら、今回初めて知りました。イギリスのEU離脱や移民問題など、色々と世界に激震が走った2016年に、この演目を持ってくるというのも、何か意図を感じる気がしなくもないですが、そのこと自体を何か主張したいわけではないとは思うんです。(だから私は政治的なメッセージは何も感じませんでした。台詞としては政治的な内容もありましたけど。)どちらかというと、やっぱり相変わらずの超上質な会話劇に、とても素直な気持ちでときめいていただけなんですけど(笑)
ただ、ローザって何者だったのかな、というか、今回の芝居の中でローザって何を意味しているのかな、とかはちょっと考えました。現在の立場は違えど、登場人物たちは皆ローザには大いに世話になっていて、そして、尊敬はしているが、素直に「いい奴だ」と言えるわけでもなくて、今の立場に関わらず、実は何かしらのシコリのようなものがようで。ロールプレイは、あくまで想像だし、きっと各人の主観も入っているし、どこまでが再現で、どこからが事実に反するのかは登場人物にも我々観客にもわかる由もないわけで。
芝居の始まり方もそうだったんですが、実はこの芝居は3層か4層くらいの構造になっていて、劇中も役者は、それぞれの持ち役を演じているだけでなく、個人として観客に語りかけてきたり、ガヤとして芝居にチャチャを入れたりする。あと、あえて下手クソな芝居をしてみせたり(笑)
そういう中で、ただの観客である私も、ちょっと一緒になったような気になって、ローザについて考えたりした気になったわけですが、ローザってもしかして、芝居のことだったり、もしくは時間堂という劇団のことだったりするのかなぁ、なんて帰りの電車で考えておりました。そう考えると、あぁ、なんか納得というか、「わかるわ~」みたいに思うことは、個人的な経験からもあったりしてw 他にも、仕事でもいいし、今はもう会わなくなってしまった友人のこととかでもいいんですけど。観た人それぞれにとって「ローザ」が意味するものがあるのではないかと勝手に推測しているのですが、私は私で勝手にそんなことを考えておりました。
しかしなぁ、時間堂、本当に惜しい。出会ってからの期間は短いものだったけれど、もっと観にいけばよかった。後悔先に立たず。気になった劇団はもっと積極的に観にいかなきゃね。
これまで沢山の感動をありがとうございました。
-------------------------------------------------------------------------
時間堂 最終公演
「ローザ」
2016年12月21日~30日 @十色庵
台本・演出:黒澤世莉
出演:菅野貴夫*、直江里美、ヒザイミズキ、尾崎冴子、國松卓* (*ダブルキャスト)
照明:黒太剛亮 宣伝美術:デザイン太陽と雲 スチール写真:保坂萌
ビデオ制作:古谷美里 WEB制作:小林タクシー 制作助手:松本一歩
プロデューサー:大森晴香
主催・企画製作:合同会社時間堂
by yokusang_09
| 2016-12-29 23:55
| 芝居を観てきた2016
|
Comments(0)
生きて名古屋に帰って来たよ。
by yokusang_09
S | M | T | W | T | F | S |
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
おしらせなど
☆気軽にコメントどうぞ。
*エキサイトIDをお持ちでない方はコメントを入れるときに、ご自分でお好きなパスワードを入力してください。
☆記事の内容に関係のないコメント・トラックバックはこちらの判断で削除させていただく場合があります。
☆現在、スパム対策として、当ブログの記事にリンクのないTBを拒否する設定にしています。(エキサイトブログはリンク無しでも可)。
*エキサイトIDをお持ちでない方はコメントを入れるときに、ご自分でお好きなパスワードを入力してください。
☆記事の内容に関係のないコメント・トラックバックはこちらの判断で削除させていただく場合があります。
☆現在、スパム対策として、当ブログの記事にリンクのないTBを拒否する設定にしています。(エキサイトブログはリンク無しでも可)。
お気に入りブログ
フランス落書き帳広島きのぴーワールドヽ(...
勝手気ままに書き綴りたいこと
おてんば日記~~魅惑のゲ...
パルケのひとりごと
やっとかめ どっとこむ
北欧建築ゼミ アアルト
グッドデザイン フォー ミー
龍眼日記 Longan...
smilecircle
近代建築ゼミ Moder...
-since 1984-...
ユロ*グラフィック ニュ...
メンズファッション塾-ネ...
コペンハーゲン mell...
青山おしゃれ古着店
バンコク mellow ...
グッドデザインニューヨーク
橙通信/堀江宏樹ブログ
WITH LATTICE
カテゴリ
全体ナゴヤだがー。
芝居を観てきた2019
芝居を観てきた2018
芝居を観てきた2017
芝居を観てきた2016
芝居を観てきた2015
芝居を観てきた2014
芝居を観てきた2013
芝居を観てきた2012
芝居を観てきた2011
芝居を観てきた2010
芝居を観てきた2009
芝居を観てきた2008
芝居を観てきた2007
芝居を観てきた2006
芝居を観てきた2005
映画を観てきた。
ファッション
多事争論@ナゴヤ
探検・発見@ナゴヤ
のみくい@ナゴヤ
おでかけ@ナゴヤ
アイチだがね。
物欲との死闘
ギフもええよ。
ナガノの近く。
よそんとこ
たびにでたがね。
よくさん日記
芝居稽古日誌
東京暮らし
このブログのこと
未分類
以前の記事
2019年 01月2018年 12月
2018年 11月
more...
タグ
Theater@Tokyo(178)Theater@Nagoya(143)
the recent state(53)
Tokyo(48)
landscape(42)
dress(38)
courses(36)
Theater@Kansai(30)
lunch(20)
Kansai(20)
a travel abroad(20)
Theater@Kanagawa(17)
thinking(14)
body&health(10)
Theater@Mie(8)
gdgd(8)
art(8)
検索
最新の記事
2019年の生き方標語とか。 |
at 2019-01-01 22:45 |
今年観た芝居を振り返りベスト.. |
at 2018-12-31 21:49 |
演劇ユニットcoicoi「春.. |
at 2018-12-15 22:24 |
パショナリーアパショナリーア.. |
at 2018-11-04 19:00 |
NODA・MAP「贋作 桜の.. |
at 2018-11-03 23:12 |
ヌトミック「ワナビーエンド」.. |
at 2018-11-03 15:08 |
今までどおりのことができない。 |
at 2018-08-22 21:49 |
NYLON100℃「睾丸」@.. |
at 2018-07-21 22:41 |