カテゴリ:芝居を観てきた2017( 3 )

玉田企画「少年期の脳みそ」@アトリエ春風舎

c0025481_102698.jpg【演出の言葉】
この作品は2014年に行ったものの再演で、内容は卓球部の高校生が合宿にくる一夜の話です。いつも、何でもない人たちの、特に何でもない時間の中にある人生の機微のようなものを、出来るだけ鮮やかにと思って書いているのですが、過去作を読み返してみると、この作品がそういうことが一番よくできている気がしたのでやります。次に新作を書くときはもっとそういうことが出来るような立派な作家になりたいので、一度これをやっておこうと思います。
(劇団HPより一部抜粋)


週末の予定の調整に手間取っていたら、前売完売してしまったので、今回は珍しく当日券で。
小竹向原、多分5年ぶりくらいに行った気がするけど、あんなところにあったのね、アトリエ春風舎。マンションの地下に現れる地下空間。意外と大きくてびっくりしました。

高校の卓球部の夏合宿での様子を描いた本作品。今回は再演ということもあり、その評判は事前に目にしていたのですが、確かに驚くべき高校時代の再現度(笑)描かれている様子は、まぁ、(芝居の内容にしては)取り留めのないような高校時代の一場面。
覚えてはいるけど、別に思い出すこともなかったような、あの頃の言動や感覚が、繰り返しになるが驚くべき精度で舞台上に提示されていて、高校生じゃなくなって随分と経つ私なんぞは、そりゃあもう色々と楽しくなっちゃうし胸も締め付けられてしまうわけである。
あぁ、ああやって童貞だってことをオブラートに包んで隠したりしていたなぁ(笑)とか、今となっては些細なことがあの頃は大きく感じられたなぁ、とか。
ただ、そんなニッチなところに着眼することで、ある意味新鮮なノスタルジーの引き出しを開けて、なんでもない青春の一ページをすごくリアルに再現していた、というだけの感想に終わるわけでもなく。

高校生の彼らの言動には、大人になった今の自分から振り返ってみても、当時から今現在に至るまで全く変わってないことも出てくるのだが、さらには、大人達(OBや顧問)が登場してくることで、「かつて高校生だった頃に見えていた大人達(という存在)」というのも、半分くらいは結果論というか目の付け所の問題なのかもしれないが、(観客席の多数を占めている)実際の大人達に対しても客観的に提示されていたように感じた。

それが、高校生じゃなくなってから随分と年数が経ってしまった自分には、ジワジワと、ノスタルジーとは別の、身につまされる思いがするがんね…(苦笑)
だって、大人の行動って、別に今の自分にしてみれば、(劇作上の誇張はあるが)まぁ、どちらかといえば普通なわけで。両方の立場が分かる今だからこそ、立ち上がって見えてしまったこの構造は、ちょっと鳥肌ものだった。
なんだろう、英語が英語で理解できたみたいな感覚…?ちょっと違うかw

久し振りに見た五反田団の大山さんが、実は自分の職場の先輩に実によく似ていて(笑)、きわめて個人的な要素ではあるのだが、そんなところも、この芝居のリアル度を押し上げていたなぁ、という印象。(もちろん、大山さん始め、他の役者の演技もよかったからこそなのだが)

というわけで、高校時代あるあるに喜んでいたら、随分とエッジの効いた作品であった。うん。

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青年団リンク 玉田企画
「少年期の脳みそ」
2017年3月10日~20日 @アトリエ春風舎

作・演出:玉田真也
出演:鮎川桃果、稲葉佳那子、大山雄史(五反田団)、木下崇祥、黒木絵美花(青年団)
坂倉花奈(青年団)、玉田真也、吉田亮、由かほる(青年団)
舞台美術:谷佳那香  照明:井坂浩(青年団)  音響:池田野歩
宣伝美術:小西朝子  衣裳:正金彩(青年団) 制作:杉浦一基、小西朝子
演出助手:川井檸檬 ドラマトゥルク:木下崇祥 総合プロデューサー:平田オリザ
技術協力:大池容子(アゴラ企画) 制作協力:木元太郎(アゴラ企画)
企画制作:玉田企画/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 

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by yokusang_09 | 2017-03-11 22:56 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

ベッド&メイキングス「あたらしいエクスプロージョン」@浅草九劇

c0025481_1105210.jpg【あらすじ】
ーこの国のキスはおれたちがはじめてみせるー
1946年。敗戦から一年を経ずして公開された
邦画界初のキスシーンを巡る感情発火型物語!


浅草にできた新しい劇場のこけら落とし公演。
劇場のこけら落としシリーズの中でも、本当に最初の、まさにこけら落とし公演とのこと。

話は、太平洋戦争後のGHQ占領下時代、邦画初のキスシーンの撮影にまつわる内容。
というと、私なんぞは、ひとりの監督を中心に描かれるものかと思っていたのだが、意外なことに、監督(撮影班)は2つ出てきて、かなり長いこと交わらないので、それだけでも話の流れが2つできるし、他にも闇市での話やらなんやらで、6人しか出演者いない割には、ちょっと群像劇っぽい構造にもなっている。過去作品でいうなら「南の島に雪が降る」のようなノリを想定していたので、その点は意外。

モチーフと時勢からして、「邦画初のキスシーン」なんて、ロマンチックな響きの反面、ついうっかり説教っぽくなったり、思想的にもなりそうな可能性があるような気もするのだが、少し群像劇的ワチャワチャ感と、恐らくはワチャワチャだからこそ成り立つキッチュな設定のせいか、そういう主張系のものはほとんど感じられなかった。その一方で、福原作品らしいシニカルさというか絶妙なこじらせ感も今回は控えめ。なので、台詞は割といつもの調子ではあったが、これまでの中では最もアッサリと流れていった印象。

ただ、その分、これまでの作品に比べると、役者のパッションとテクニックがはち切れんばかりに詰め込まれていたなぁ、という印象。出演者6人とも、すごく魅力的だったし、スタッフワークも見事。特に最前列に座っていたので、もう舞台上からアツいものがバンバン飛んでくるw

劇場が思いのほか小さいところなのと、役者が6人というところに、小劇場演劇らしいノリで、役も仕掛けも盛りだくさん。ある意味小劇場芝居らしく、役をいつも兼ねているのだが、いちいち衣装変えているし、あり得ないような早着替えもやっていて思わず感心してしまった(笑)
(余談だが、「劇中に水がかかる可能性がある」といってビニールを渡されたことは何度かあるが、実際にかかったのは今回が初めてだった)

個人的には、八嶋智人の無双っぷりと、町田マリーの語りの場面が印象的。
多分、ああいう演技をしているところ、自分は(たまたま)見たことがなかったというのもあると思うのだが、毛皮族のときよりもずっといい女優になったなぁ、という印象。(上から目線ですいません…)

太平洋戦争後の日本という新しい時代の始まりのころの話を、新しい劇場で、劇場をぶっ壊さんばかりのアツさをもって演じれれたこの作品。
まさにタイトルどおり、「あたらしいエクスプロージョン」でしたな!

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浅草九劇こけらおとし公演
ベッド&メイキングス第5回公演
「あたらしいエクスプロージョン」
2017年3月3日~3月21日 @浅草九劇

作・演出:福原充則
出演:八嶋智人、川島海荷、町田マリー、大鶴佐助、富岡晃一郎、山本亨
音楽:和田俊輔 美術:稲田美智子 音響:高塩顕 照明:斎藤真一郎
衣裳:高木阿友子 ヘアメイク:大宝みゆき
演出助手:入倉麻美 舞台監督:金安凌平
宣伝写真:露木聡子 宣伝美術:今城加奈子 頭巾制作:土谷朋子
プロデューサー:笠原健一
助成:アーツカウンシル東京((公財)東京都歴史文化財団)、(公財)アサヒグループ芸術文化財団
企画・製作:ベッド&メイキングス / プラグマックス&エンタテインメント

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by yokusang_09 | 2017-03-05 16:01 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

パルコプロデュース「キャバレー」@刈谷市総合文化センター

c0025481_23231630.jpg【あらすじ】
1929年、ナチス台頭前夜のベルリン。キャバレー「キット・カット・クラブ」では、毎夜毎夜、退廃的なショーと、刹那的な恋の駆け引きが繰り広げられている。
妖しい魅力でお客を惹きつけるMC(司会者)。そしてショーの花形、歌姫サリー・ボウルズ。
ここは、日ごろの憂さを忘れられるバラ色の場所。
大晦日の晩、アメリカから到着したばかりの、駆け出しの作家クリフは、たちまちサリーと恋に落ち、一緒に暮らし始める。彼らが暮らす下宿の女主人シュナイダーは、長年女一人で生きてきたが、心優しいユダヤ人の果物商シュルツと結婚することを決意。しかし迫りくるナチスの脅威に、結婚を断念せざるをえなくなる。希望に溢れていたサリーとクリフにも、ナチズムの足音は高く聞こえ始め、そしてついに、キット・カット・クラブにも・・・・
(公演特設ページより引用)


実は今年初めての観劇でした。キャバレー。
芝居制作にかかわってるとなかなか観に行かなくなっちゃうんですよ。
まぁ、単純に忙しかったからなんですけど。

長澤まさみ主演で話題になっていた今回の作品ですが、実は初演も観てまして。
(こういうとき、自分の書いたブログの感想が備忘録として役に立つ)
人気公演になるし、初演観てるから遠慮しとこうかと思ったのですが、
この作品楽しかったし、なにより一緒に行こうとご近所様に誘っていただいたので、
行ってきたというわけです。ただ、座席はS席にしたし、新しいホールなのもあって、
どらめちゃ観やすかった…。

恐らくですが大きく台本が変わっているところはないし、
演出も大幅には変ってないんじゃないかな。
少し舞台装置が大きくなった気もしますが、基本同じ路線なはず。
そんな中、一番残った印象としては、
なんか、普通のミュージカルになったなぁ…ってところかなw
というと、面白くなかったかのかと思われるかもしれませんが、
別にそういうわけではなくて。少し補足すると、ミュージカルとしての安定感があった
というか、まっとうにミュージカルしてた、というか、そんな感じ。

自分がそういうものにかなり見慣れてしまったというのもあるかもしれませんが、
個人的には石丸幹二がやっぱりでかいのではないかと。
だって、元・劇団四季の看板俳優ですよ(笑)超正統派だがね!
エムシー役、初演は阿部サダヲでしたからね…。
そりゃ「大人計画」度が下がって、「劇団四季」度上がりますってw
そう、初演は結構「大人計画」テイストがもっと強かったんですよ。
でもそれは、実は初演はエムシーにスポットが当たっていた、
というかエムシー目線で捉えられていたということなのかもしれない
(というか、当時を思い出してみると、そういう印象だった)。
今回は逆に、サリーとクリフにスポットが当たっていたので、
同じような構成でもまた印象が違って、「まっとうにミュージカル」感が
出ていたのかな、と。

もういっこ、月並みだけど触れなきゃいけないのは、あの「キャバレー」という
戯曲の世界そのものですわな。初演の時は、別に鉤十字とか見ても特別に
意識することってのはありませんでしたけど、今の時代、
あの展開からの、鉤十字が登場してくるシーンは、主義主張とは別にしても、
大なり小なり、何か感じてしまうものがあるのではなかろうか…。
自分なんかは、「2010年代は新たな戦前の始まり」なんてキーワードが
脳裏をかすめたり。(最近目にして気になっていたんです。)
そのあたりが絡んでるからなのかわかんないけど、今回の作品は、
倒錯的で退廃的なとかそういう感じがそれほどにじみ出ていなくて、それよりも、
成熟を超えてしまった、壊れやすさとか危うさといったものを感じておりました。
そんな、どこか時代を読んでいるかのような雰囲気は、多分、
今回のキャスティングだったからこそ出せたのかな、と、個人的には思います。
特に長澤まさみとか。(別にエロい目線で見ているわけではなのですが、
以前、舞台で観たときは細くて美人って印象だったのに、今作では逞しさもあり、
なおかつセクシーだったのがよかったです。役作りかな。)
この時期に、この作品をぶつけてくるセンスというのは、(パルコ制作だけど)
それはそれで、ちょっと松尾さんっぽいところもある、と言えるのかもしれん。
…別に関係ないかw

そうそう、ついつい旧作と比較しちゃうので、これだけ言っておきたのですが…
ま た お こ め 券 出 て た (爆)
ホント、色々感動したw ニセキティちゃんは出てなかったけど…。
再演観るのも楽しいねw

-----------------------------------------------------------------
パルコプロデュース「キャバレー」
(愛知公演)
2017年2月17日~19日 @刈谷市総合文化センター

上演台本・演出:松尾スズキ
台本:ジョー・マステロフ 作曲:ジョン・カンダー
作詞:フレッド・エブ 翻訳:目黒条
出演:長澤まさみ、石丸幹二、小池徹平、小松和重、村杉蝉之介、平岩紙
秋山菜津子、片岡正二郎、花井貴佑介、羽田謙治、齋藤桐人、乾直樹、楢木和也、船木淳、笹岡征矢
岩橋大、丹羽麻由美、香月彩里、谷須美子、エリザベス・マリー、田口恵那、永石千尋 
ミュージシャン:門司肇、清水直人、磯部舞子、東京ブラススタイル
音楽監督:門司肇 美術:池田ともゆき 照明:大島祐夫 音響:山本浩一 
振付:振付稼業air:man 衣裳:安野ともこ ヘアメイク:大和田一美 歌唱指導:益田トッポ 
演出助手:坂本聖子 舞台監督:二瓶剛雄 制作:伊坂直人 プロデューサー:田中希世子、藤井綾子 
製作:井上肇 企画・製作:(株)パルコ

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by yokusang_09 | 2017-02-19 18:04 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)


生きて名古屋に帰って来たよ。


by yokusang_09

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