カテゴリ:芝居を観てきた2017( 20 )

愛知県芸術劇場「それからの街」@愛知県芸術劇場小ホール

c0025481_01110283.jpgわしが、年に1回、どういうわけか、名古屋で構えてみる芝居ってのが
このAAF戯曲賞受賞記念公演かもしれん。関係者じゃないけどw
なんか、たいてい何かしら攻めてくるから…。

今回は、審査員の一人、第七劇場の鳴海さん演出。なんかうれしい。
(審査員、みんな演出家だし、それぞれ観たいので。)
しかし、脚本を事前に見て驚きましたけど、なんちゅーか、
案外ザックリといいますか、世界がパラレルに流れてるところがあって、
台詞が被ったり、同時進行したり、つながったりって…
あれ…これって…名古屋でいうなら王○舘…w みたいな気持ちになり、
「ちょっとこの王○舘のお膝元で、いい根性してるじゃないの~」みたいな、
ウザ外野モードな気持ちも持ちつつw(←冗談です)鑑賞。

作者は元々は音楽系の人で、ミニマルミュージック等をやっておられるとのことで。
そういわれてみると、戯曲を見たときの印象は、自分が今まで見た演劇の台本とは違って、
ちょっと楽譜のような印象もあったのは事実。
「音楽的と捉えるか、演劇的と捉えるか」みたいなことが当日パンフの記述にあって、
正直言うと、鳴海演出の今回の作品には、演劇的なものは感じていたけど、
あまり音楽的な要素は見いだせてなくて(踊ってたりもしてたけど)。
そうしたら、実はそういうことで、今回の作品ではすごく
「演劇」に寄せることに注力したんだそうな。
ワシ、そういう点では完全に演劇思考なので、普通に受け入れちゃってたよ…w
でもなに、ついついテキストから意味を見出そうとするのって、
やっぱ、あれかね、一応は演劇思考なの…?
(これ以上深く考えるのはやめますw)

行動を起こす/起こさない、去りし者/残されし者という関係性も
気になってはいたけど、物事や行動を繰り返す(時には他とリンクする)中で、
形骸化したり欠落したりしていく様子が、今の自分には大変印象的だった。
別にそれが悪いことだとは一切思わないし、人間が本能的に行っている、
ごく当たり前のことなのかもしれないけど、こうやって辛いことも嬉しいことも、
大なり小なり忘れて、熟して生きていくんですよね…という。
しかし、それのことが、何か大きな気持ちの変動を伴って起こるものではなく、
流れるようにして事が起こって、受け入れ、段々と喪失していく、
というそのプロセスは、色んな事に当てはめれてしまうし、それ故色々想起してしまう。
そのことが、批判のような、同時に自責のような、でもそんなことは切り離して、
ただそういう事実が示されていたような。
とはいえ、これ、色々そぎ落としての演劇でしょ? みたいな思考が結構ぐるぐる
回ってしまって最終的に、結構心にずっしり来ちゃう。

今回の公演、役者は事前段階からとっても気になっていたのだが、
予想していたよりもずっとよかった。
雑なコメントになってしまうけど、やっぱり役者力がすごい!
あの役者だから成立していた部分もあったかな、という印象。
中林さんと茂手木さんは何度か演技は観たことがあって、
名古屋で観られる喜び~みたいな
感じだったけど、
あとの初見の2人もこれまた、すんごくよくて。

そういう意味で言うと、ホントに、演出をはじめとするスタッフと
役者で作り上げてますな、今回の作品。なんちゅーか、この構築された感じってのが、
自分は結構好きだったのかもしれない。別に関係者じゃないから、
苦労に対する贔屓目みたいなものは一切ないし、そういう意味でもないんですけど。

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愛知県芸術劇場 第16回AAF戯曲賞受賞記念公演「それからの街」
2017年10月21日~23日 @愛知県芸術劇場小ホール

作:額田大志
演出:鳴海康平(第七劇場)
出演:中林舞、南波圭(なんばしすたーず/青年団)、茂手木桜子、山内庸平
振付:福留麻里 サウンドアドバイザー:池田萌
照明:藤原康弘  衣装:清川敦子
演出助手:蜂巣もも(青年団演出部) ドラマトゥルク:長島確
宣伝写真:松見拓也 宣伝美術:三重野龍
舞台監督:世古口善徳 制作:村松里実、高橋志野
プロデューサー:山本麦子

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by yokusang_09 | 2017-10-22 21:03 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

下鴨車窓「冬雷」@四天王寺スクエア

c0025481_23573063.jpg【あらすじ】
寒い海に臨む小さな町で起きた山火事。報道によれば死者は出ず、被害は無人の山小屋が焼け落ちるところで止まったという(その周りの林に多少の延焼があった)。麓から火事を見たある者は山に雷が落ちて煙が上がったと証言した。別の者は放置された山小屋にたびたび侵入する地元の若い人が関係しているのではないかと噂した。
消防が原因を調査中というところまでしか報じられなかったのは、なにか秘密があるわけではなく、報じるに値するほどの事件ではないとされたからであり実際にほとんどの者はまもなく忘れてしまった。現場近くのロープウェイも火事の翌日から通常通りに営業され観光にも影響はなかった。
けれども沈黙して現場に赴く者がいる。焼けたままになっているその場所から海に目を遣り、雷が鳴るのを聞く。しばらくすれば雪が降る。海から向かってくる、強い雪が。(劇団HPより引用)


劇団名は以前から知ってはいたのですが、今回初めての下鴨車窓。
あんまりどんな芝居なのかってことは、ちゃんと聞いたことがなかったので、
超暗かったらどうしよう…とか思ってたんですけど(笑)
結果的には超良質な会話劇に大満足。

台詞・役者の動き・スタッフワークのすべてにおいて、実に細かなところまで
配慮がなされていて、その緻密さに圧倒されたというか。
アフタートークでわかったことなのですが、まさか役者がチャック全開で出てくる
場面に関して、あそこまでの配慮があったとはw
個人的には、汗っかきと思われる役者に、途中で汗を拭かせる演出が
あったというのが斬新だったです。それも、きわめて自然に。
あとは屋外の放送のエコーの効き方とか。
基本的には静かな芝居なのですが、意外と静かさを感じさせない、上手く言えないけど
登場人物たちの意識と、実際の空間描写とのバランス具合も興味深かったです。

男女の会話から、まぁ、いわゆる男脳女脳的なものも感じ取れるわけなのですが、
そのすれ違いっぷりというか、立ち上がってくるディスコミュニケーション具合が
超リアルで、登場人物の気持ちや、場の空気感が、本当に手に取るように、というか
心に直接伝わってくる感じで、その空気感自体は心地よいものではないのだけれど、
芝居には安心して身をゆだねられるっていうか。

一方で、台詞が何度かリフレインしたり、土とリノ床のコラボのところに裸足で立つとか、
役者の出ハケのアレンジによる時間的・空間的処理という、いかにも演劇的な
ものが、全体のリアルさとの対比で結構意識が向くんです。
ともすれば何でもない会話劇なのですが(まぁ、会話劇とは大抵そういうもんであるw)、
そこに、そういった演劇的な非リアルが、実にスッと入り込んでいるところも面白くて。
ただ切り取ってきた、というわけじゃなくて、ちゃっかり?しっかり演劇的な
構造が組み込まれて機能していたという、そういう点でも、演劇的満足度が高かったです。
つまり、大変良かったということです。はい。

てか、津なんて、名古屋から案外近いんだからもっとみんな
行けばいいと思うんだどなぁ。うん。
(というのも、自分がいった回は、意外と客が少なかったので…)

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下鴨車窓 演劇作品「冬雷」(ふゆのらい)
(津公演)
2017年10月14日~15日 @四天王寺スクエア

脚本・演出:田辺剛
出演:気田睦、横山莉枝子、國松卓、政井卓実、福井菜月(ウミ下着)、篠原彩
舞台監督:山中秀一
舞台美術:川上明子
照明:葛西健一、堀あゆむ
音響:小早川保隆、下野司
企画制作:下鴨車窓、三井耶乃、(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
主催(津公演):下鴨車窓、(特非)パフォーミングアーツネットワークみえ、四天王寺スクエア
助成:芸術文化振興基金

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by yokusang_09 | 2017-10-14 16:53 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

ロロ「BGM」@三重県文化会館小ホール

c0025481_01275963.jpg車は走る。誰かの思い出が音楽になって、車の中にぎゅわーって広がっていく。窓を開ける。音は車の外へとこぼれていって景色に形を変える。二次元の夜景、形見だらけのハードオフ、スズナリに閉じこめられた下北沢と雨を降らせるミラーボール、ディスクジョッキーの集まる競馬場に、Instagramで加工された松島の海。記憶は音になって、音は僕らの背景になる。バックグラウンド・ミュージック。車は北へと走ってる(ゴキゲンに)


【劇団ウェブサイトより】


ちょっと久しぶりのロロ。これで3作品目になるのかな。
ぶっちゃけ、今まで見た作品の中では、いかにもロロ!
って感じでもなかったのかもしれないが、
とはいえ、自分の中では一番好きな作品かも。
(まぁ、3作品中だが…)

学生時代の友人の結婚式に出席するため、思い出のドライブルートを辿りながら
過去と現代を行き来して、守谷→いわき→会津→仙台→石巻を目指すというあらすじ。
ロロ版ロードムービーで音楽劇ってところですかね。
こんなドライブなら、こういう音楽聞きたいな、という感じにドンピシャな、
書きおろしの音楽がすごくマッチしていて、ずっと心地よい。まさにBGM。
やたらと思わせぶりなあだ名のキャラクターが登場してきたり、
かと思えば女優本人の役で登場してきたり、人間ではない役が登場してきたりと、
従来の作品に比べると、役者の都合もあったのかもしれないが、
イカにもさは少ないようにも感じはしたものの、キュートでリリカルで、
そして少しキッチュなロロらしさは変らず。
というか、劇作もさておき、ロロらしさって、役者が形作ってるところも大きい。
まぁ、劇団なのだから、それは当たり前のことではあるのだがw

思い出の学生時代というのは、実は東日本大震災前で、そして今は震災後なわけで、
福島の浜通り(常磐道経由)や石巻というドライブルートについて、
ちょっと考えてみれば、確かに震災について何か訴える、もしくはそういう
ビフォーアフターを見せる場面が出てくるのかと思っていると、
これが直接的には何も出てこない(!)
ついでに言うと、やたら思わせぶりな登場人物のあだ名についても謎のままなのだが…。

学生時代にいわきで知り合った占い師の女性は、今は男性を追っかけて京都にいるし。
でも、当時知り合った小学生は、本来なら20歳を超えているくらいの年齢のはずなのだが、
その年齢でありながら、いまだに小学生をやっていることになっている(笑)
人間外のキャラが登場してくる等ファンタジーな前振りがあったせいで、
そういうのも何故か違和感を感じないのだがw
(というか、私、信じやすい性格なのか、あまり穿った見方をしないのです…)、
見ようによっては、彼は地震で亡くなってしまったのかもしれない、とも取れるのかな、
なんてことも思いつつも、少なくともこの作品においては、個人的には、
あまりそういう見方はしたくないかな…、と思った。

震災により多くの人が亡くなった、受けたダメージが継続している、
震災前の水準に戻り切っていない…等、震災前のある一点と比べて
そういう失われたものがあることも事実なのだが、その一方で、
変らない部分や、取り戻した部分があることも事実なわけで。
(例えば、アンケート調査の結果として、福島県産農作物を買いたくないという人が
1割とか2割いる報道があるが、それは裏を返せば、8~9割の人は、福島県産の
農作物を買いたい(買ってもいい)と思っている、ということである。)

東北沿岸部といえば、どうせみんな勝手にそういうことを想像するんだろうけど、
あえてその地を舞台にして、さらに時間軸的を震災ビフォーアフターにした上で、
その地に多く存在する不変・普通・自然体の様子を描く、というのは、
自分はすごく入ってきたし、当然ながら、風化や忘却といったこととは違うが、
そういう視点は持ち合わせていきたいし、もっと認識されてもいいのかな、
なんてことを思ったり。
それがやっぱり、心地よいBGMに乗せて、さわやかな疾走感と共に見せてもらえた
ってことが、この芝居の良かった最大のポイントですかね。
後、ちょっとサントラ欲しいw

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ロロ vol.13「BGM」
(三重公演)2017年9月30日~10月1日 
@ 三重県文化会館 小ホール

脚本・演出:三浦直之
出演:⻲島一徳、篠崎大悟、島田桃子、望月綾乃、森本華(以上ロロ)
石原朋香、井上みなみ(青年団)、油井文寧、江本祐介
音楽:江本祐介 振付:北尾亘(Baobab)、中村蓉
美術:杉山至(⻘年団) 、中村友美 照明:富山貴之、 久津美太地(Baobab)
音響:池田野歩、工藤尚輝  衣裳:臼井梨恵 (モモンガ・コンプレックス)
舞台監督:鳥養友美 演出助手:中村未希(恥骨)
宣伝イラスト:南田真吾 デザイン:佐々木俊+郡司龍彦
広報:浦谷晃代(Diet-chicken) 当日運営:田中亜実(劇団 女体盛り)
制作助手:仙波瑠璃 制作:奥山三代都 、坂本もも
後援:レディオキューブFM三重
企画(三重公演)
企画制作・主催:三重県文化会館[指定管理者:(公財)三重県文化振興事業団] (三重公演)、
ロロ、さんかくのまど

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by yokusang_09 | 2017-09-30 16:11 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

日本総合悲劇協会「業音」@東京芸術劇場シアターイースト/青少年文化センター アートピアホール

c0025481_00531842.jpg【あらすじ】
限りなく深い人間の“業”が奏でる物語…。
母の介護をネタに、演歌歌手として再起を目指す落ちぶれた元アイドルの女・土屋みどり(平岩紙)は、借金を返すために、マネージャー・末井明(皆川猿時)と共に自身が運転する車で目的地に向かっていた。途中、自殺願望を持つ夫・堂本こういち(松尾スズキ)と、夫をこの世につなぎ止める聡明な妻・杏子(伊勢志摩)と遭遇し、不注意から杏子を車ではねてしまう。
杏子は脳を損傷し、一生涯植物人間として生きる事に。
怒り狂った堂本は責任を迫って、土屋を拉致連行し、 “有罪婚”と称し、二人は結婚。奇妙な共同生活が始まる。
芸能界を夢見て東京に出てきたものの、結局体を売る事でしか生きていくことの出来ない堕落した姉・ぽんた(池津祥子)、弟・克夫(宮崎吐夢)、年を偽わってまでも孤児院に入る事に執着する屈折したゲイの男・不動丈太郎(村杉蝉之介)、正体不明の老婆・財前とめ(宍戸美和公)らを不幸のループに巻き込み、負の連鎖は更に奇怪にうねってゆく…
やがて、末井とも関係を持つ土屋は、父親がわからない子を身ごもり出産するのだが、堂本との時間に執着し、子供の命を引き換えにしてまでも、「10ヶ月の夫婦生活の元を取るため」と、堂本とのわずかな触れ合いを選択するのだった。
“それ”をやらなければ物事は上手く運ぶのに、
どうしてもやらずには先に進めない各自の“固執”。
その“固執”が“業”を生み、空回りするそれぞれのエネルギーは、
不協和音のような音楽を響かせてゆく・・・



東京で観て、せっかくなので名古屋でももう1回観てしまった。
けど、2回観たら、なんか色々とわかってきたし、やっぱりよかったな、と。
(ちなみに、名古屋の分は、自分への誕プレを兼ねているw)

結構めちゃくちゃな話はなずなのだが、思いの外さらさらと流れて行ってしまう。
なんちゅーか、筆が走ってるな、という印象。でもむしろその疾走感が心地いい。

初演時は荻野目慶子が土屋みどり役で、何やらそこに随分と苦戦していた印象、
というような感想をみかけたことがあったのだが、今回は劇団員の平岩紙。
というか、踊り子役以外、全員大人計画で、これ別名義でやる意味あるのか?と
思ったこともあるが、全く何の問題もないのでこれ以上は触れないw
というわけで、今回は、劇団員である意味手堅くまとめてきたのかな、
と勝手に思っていたのだが、この作品だったら、むしろ劇団員純度高めで観たかったので、
今回のキャスティングは嬉しい。
でも、まぁ、劇団員の皆さんも、いつの間にか年齢を重ねておられましたな…。
「え!まだこんなことやっちゃうんだw」とか思った瞬間があったことは否定しないけどw、
でもそこはやはり大人計画の劇団員、むしろ円熟味の増した演技で、すぐに引き付けれた。

個人的なこともあってか、とにかく登場人物の業深さというものが、
そりゃあもう、うわーーーーっ!!と舞台上にあふれだしていて、
その勢いを感じながらも、「ああ、人間って結局こうなのかも」と、
冷静にそれを見ている自分もいた。
人間の醜い部分を見せつけられた~、というよりは、自分自身にも当然ある業と、
その深さを、舞台で提示された結果、どちらかと言うと肯定的な感覚を覚えた。
そりゃ、自分自身の業と向き合うために、神に許しを請うたりする方法(=宗教)も
あるのだろうが、でも、人間なんだからどうしようもないでしょ、そんなもんでしょ、みたいな。

平岩紙の演技が、そんな感覚を強力な圧で客席に押し出してきていて、
思わず背筋が伸びたし、なによりあの勢いで、サラリとここまで言い切ってしまう
松尾スズキのこの戯曲にも、近年の作品とは違った、
(随分平たい言い方ではあるが)ある種の凄みを感じるのであった。

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日本総合悲劇協会 vol.6
「業音」
(東京公演)2017年8月10日~9月3日 @東京芸術劇場シアターイースト
(名古屋公演)2017年9月13日~14日 @青少年文化センター アートピアホール

作・演出:松尾スズキ
出演:松尾スズキ、平岩紙、池津祥子、伊勢志摩、 宍戸美和公、宮崎吐夢、
   皆川猿時、村杉蝉之介、 康本雅子+エリザベス・マリー(ダブルキャスト)
舞台監督:菅田幸夫  照明:佐藤啓 音響:藤田赤目 舞台美術:池田ともゆき 
衣装:戸田京子 ヘアメイク:大和田一美 振付:康本雅子 映像:上田大樹 
音楽:伊藤ヨタロウ 演出助手:大堀光威、佐藤涼子 衣装助手:伊澤潤子 
宣伝美術:榎本太郎 宣伝写真:森崎恵美子 宣伝スタイリスト:森保夫 
宣伝協力:る・ひまわり票券:河端ナツキ 
制作:北條智子、赤堀あづさ、横山郁美 プロデューサー:長坂まき子
企画・製作:大人計画、(有)モチロン

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by yokusang_09 | 2017-09-13 22:45 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

八月納涼歌舞伎第三部「野田版 桜の森の満開の下」@歌舞伎座

c0025481_18051068.jpg現代演劇史に輝かしい軌跡を残した戯曲が、待望の「野田版」歌舞伎として蘇る

 深い深い桜の森。満開の桜の木の下では、何かよからぬことが起きるという謂れがあります。それは、屍体が埋まっているからなのか、はたまた鬼の仕業なのか…。
 時は天智天皇が治める時代。ヒダの王家の王の下に、三人のヒダの匠の名人が集められます。その名は、耳男、マナコ、そしてオオアマ。ヒダの王は三人に、娘である夜長姫と早寝姫を守る仏像の彫刻を競い合うことを命じます。しかし、三人の名人はそれぞれ秘密を抱えた訳ありの身。素性を隠し、名人と身分を偽っているのでした。そんな三人に与えられた期限は3年、夜長姫の16歳の正月までに仏像を完成させなければなりません。ところがある日、早寝姫が桜の木で首を吊って死んでいるのが見つかります。時を同じくして都では天智天皇が崩御。娘と帝を同時に失ったヒダの王は悲しみに暮れます。やがて3年の月日が経ち、三人が仏像を完成させたとき、それぞれの思惑が交錯し…。
 野田秀樹が坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」を下敷きに書き下ろした人気作『贋作・桜の森の満開の下』を、『野田版 研辰の討たれ』、『野田版 鼠小僧』、『野田版 愛陀姫』に続く、「野田版」歌舞伎の4作目として、満を持しての上演です。人間と鬼とが混在し、時空間を自由に操りながら展開する物語をお楽しみください。
(松竹HPより引用)


野田秀樹の遊眠社時代の代表作(と言ってもいいですよね?)を歌舞伎化した作品。
野田歌舞伎、もうやらないのかと思っていたけど、まさかの第4弾。
実は、勘三郎が歌舞伎化を希望していたとか。それを遺された
息子達(勘九郎・七之助)メインでやるというんだから、さすがに気になっちゃう。
(とはいえ、実は配役については、直前まであまり認識していなかったのだがw)

「贋作・桜の森の満開の下」自体は、元々は坂口安吾の「夜長姫と耳男」と
「桜の森の満開の下」の2作品を下敷きに書かれた戯曲。
(これの予習を事前にwikiでしとけばよかった…)
「夜長姫と耳男」から「桜の森の満開の下」へのDJリミックス、というところか。
お得意の雑な言いまとめをしちゃうとw
ただ、このサンプリングやらリミックスやらのセンスが、今も昔も変わらず、
さすが野田秀樹だわ、と唸る…。特に「夜長姫と耳男」の解釈の話を読んでいると、
元々原作の小説も様々解釈があるようだが、その抽象性と解釈の幅が芝居を
思い起こさせるし、遊眠社時代の野田作品との相性も良かったのかな、とも感じる。
原作があるという割に、しっかり遊眠社時代の野田作品という印象だし。
特に劇中に登場する「鬼」という存在について、場面場面で意味するものが
変わっているのだが、その抽象性と、その結果として、受け手が自由に
解釈・想起できる、その余地の引き出し方が印象的だった。
そのあたりの演出は、歌舞伎座での上演ということを意識したのかは不明だが、
古い脚本、そして故人との約束という、少しイヤらしい言い方をすれば、
随分と過去向きの要素が多い中、2017年夏というタイミングで上演された結果、
ちゃんと自然に「今」を提示し、そして客から引き出していることが、
単純に素敵だし、この戯曲の力を認識させられたところでもあった。

「歌舞伎」といっても、この「野田歌舞伎」、一体どこまでが歌舞伎なのか、
という疑問はあると思うのだが(笑)、個人的には、ド素人が見ても、それなりに
「確実に歌舞伎っぽい」要素を押さえていることが、超ベタだが重要だと感じている。
新作とはいえ、あくまで歌舞伎を(しかも歌舞伎座に)観に来ているのだから、
ある程度のお作法やお約束は欲しいところ…じゃない?。まぁ、歌舞伎座内では、
100%野田クラスタですので、あまり偉そうなことは言えませんがw
(その点、「研辰の討たれ」は良かったし、「愛蛇姫」は攻めすぎたと思うw)
今回の作品、台本は、概ね原戯曲どおりだったはずなのだが、元から設定が
現代日本ではない(飛鳥時代とか)こともあって、歌舞伎との相性も
良かったと思うし、それ故か、歌舞伎要素に関しても、程よく
ポイントを押さえていたように感じた。
冒頭から登場するヒダの王の使者がパンチの効いた女形演技(発声的に)で、
「やっぱ野田歌舞伎はこれだよ~~!」って感じだったしw
(ベテラン役者の女形はマストなのである!)
それと、ちょこちょこと見得を切ったり、ツケ打ちや和楽器演奏が入ってたりと、
まぁ、個人的にはもう少し「歌舞伎」していてもよかったかな、とは思うところもあるが、
概ね欲しいレベルの歌舞伎要素は押さえらえていたので、その結果、
変なストレスを感じずに、安心して観られた部分は大きい。

七之助の女形もやはりよかった。少し声が低めだし。しかも、その声質も含めて、
七之助が演ずる夜長姫は、野田芝居のヒロインのあの記号っぽさにすごくマッチしていた。
勘九郎は、2005年上演時の「走れメルス」にも出演しているが(←これは観た)、
個人的には、なーんか遊眠社の戯曲との親和性が高めな感じがしている。
野田さん、ああいう男優の声質が好きなのかな…。(妻夫木聡も似てる?)
そんなこんなで、世代的に見たことはないのだが、初演の野田秀樹と毬谷友子に
重なって見えるという意見には納得だし、男女の役だが二人とも男性という点と、
長男が父親にますます似てきているという点から(滑舌や声質や声のかすれ方やら…)、
勘三郎と野田秀樹(「表へでろい!」)の二人の演技のことも思い出したり…。

というわけで、結局のところ、最後はコクーン歌舞伎っぽいというか、むしろ普通に
ノダマップを観ているような気分になっていた部分は否定できないが(笑)、
なにはともあれ、(小劇場畑の)自分的には、大満足な作品だった。
客席から「中村屋!」が引き出せていたらもっと大満足だったかなw
…そんなこと言える場面なかった気もするけどw
(歌舞伎の人じゃないので適当なこと言ってますけど許して…)
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by yokusang_09 | 2017-08-17 23:39 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

少年王者舘「シアンガーデン」@七ツ寺共同スタジオ

c0025481_22124772.jpg 外では雨が降っている。
いつ降り始めたかは定かではない 。
ひょっとしたら五億年ほど前から降っているのかもしれない、と、男は思う。
ぼろアパートの四畳半ー間の部屋に寝転んで、ただ、じっと天井を見つめる男。
彼は、何もかもを失って、何もかもを忘却の彼方へと追いやった。
「俺、まだ生きてるのかなぁ」なんてことを、時々ぼんやり思ったりしている。
ある時、天井板の隙間から、一粒の水が男の頬に落ちる。
雨漏り。
久しぶりの現実的な感触に少なからぬ衝撃を受けた男は、ゆっくりと身を起こし、天井を見上げる。
一ぽたっ。
なんとも言えない間をおいて、再び天井の一点から水が落ち、腐った悦に吸い込まれる。
男は次の一滴を待つ。
一ぽたっ。
天井から畳に視線を移す男。畳には染みができている。
男は次の一滴を手のひらで受けてみようと思い、染みの上に手のひらをかざす。
一ぽたっ。
くすぐったい感触を伴って、手のひらに落ちてきた液体をじっと見つめた男は、「なんかキレイだな」と、久しぶりに声をだす。
そして男は、この「一粒の水」 を、集めてみたい衝動にかられる。
虎馬鯨 (アイホールHPより引用)



今まで見た作品は、すべて天野天街作・演出だったので、
実は天野作品以外の王者舘作品を見るのは初めて。
普段の天野作品って、実は場や空間づくりに重きが置かれていたのかな、
なんてことを思ったり。いや、なんちゅうか、この表現が適切かどうかわからないけど、
すごくいつも以上に芝居してる印象だったので(笑)
演出は天野天街だからなのか、戯曲自体もそういう作りなのか、ベースのリズム感や
空気感はやっぱり王者舘なんですけど、リズム寄せというよりは、芝居寄せなので、
ぶっちゃけてしまうと、私はテンポ的にはちょっと好きになれない部分が多かったかも。
ジェネリック感といいますか…。台詞が入ってない?というようなところも
そこが大きいのかなとは思いますけど。まぁ、王者舘の名古屋公演ですからねw)

とはいえ、すべてがジェネリック立ったかと言われると、ふと、凝縮されたかのような
王者舘色が牙をむいてきまして。いつもループを繰り返したりして、
なんだか夢心地な気分になってくるのが特徴だと個人的は思っているのですが、
この芝居って本当に夢の中の世界みたいなんですよね。シーン同士の接続の仕方が。
アパートの別室という設定なんだけど、隣の部屋にまた同じ人が違う役割で存在していて、
そんな感じで世界が、一見乱暴そうに、でも何食わぬ顔で連続していく。
夢心地というよりも、夢そのものが舞台に上げられている感じだし、なんかもっと、
脳みその中を直接覗いてるような、そんな感覚だったかも。

劇中、ちょっとノレなかった割には、最後の最後で残った後味がなかなか強烈で、
不思議な感覚がしばらく残る舞台でした。ハイ。


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少年王者舘第39回本公演 
「シアンガーデン」
(名古屋公演)2017年8月10日~13日 @七ツ寺共同スタジオ

脚本:虎馬鯨
演出:天野天街
出演:夕沈、小林夢二、る、岩本苑子、井村昂、篠田ヱイジ[名古屋公演のみ]
   山本亜手子[名古屋・東京公演のみ]、水柊[兵庫公演のみ]
   中村榮美子[東京公演のみ]、がんば(きのこともぐら)[兵庫公演のみ]
舞台美術: 田岡一遠  美術製作: 小森祐美加
映像: 浜嶋将裕  照明: 小木曽千倉 音響: 岩野直人(ステージオフィス)
舞台監督: 岡田 保(演劇組織KIMYO) 振付: 夕沈、池田遼
音楽: 珠水、FUMICO チラシ: アマノテンガイ
写真: 羽鳥直志 撮影: 山崎のりあき、田中博之
制作: 宮璃アリ、水柊、藤田晶久、篠田ヱイジ
主催:少年王者舘

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by yokusang_09 | 2017-08-10 22:00 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

第七劇場「人形の家」@三重県文化会館小ホール

c0025481_00040188.jpg第七劇場の芝居って実は初見でございまして。
なので、今回、ひそかに楽しみだったんですよね。

そぎ落としまくったみたいな感じでもなく、戯曲外からのテキストを
持ち込んでいるとはいえ台本をこねくり回している印象もなく、
それでいて無駄がなくて、ごく自然体に・シンプルな仕上がりという印象。
少しだけ、去年観た百景社の芝居を思い出したりもしておりました。
古い海外戯曲を噛み砕いて上演する、そのやり方なんかに。
現代風の服装に、現代風の北欧風インテリア(椅子はイームズでしたけどw)。
なんか北欧~。コペンハーゲン~。って思えればそれでよくて、
あとはテキストにぐっと焦点を当てていく感じで、結果として
アッサリなんだけど、密度の高い芝居に仕上がっていたなぁ、という印象でした。

あらすじなんかを読むと、個人的には、もっとノラの周りが
旧体制的でイヤらしい奴ら、という印象を受けたりしていたのですが、
でも本当はノラはノラで世間知らずのように描かれているところもあるだそうで
(それはこの作品でもバンバン感じましたけど)、
まぁ、私は男性ですけど、ノラには同情(共感)する部分もあれば、できない部分もあり…。
まぁ、私、完全に戯曲の世界外のところから外野として見ちゃってますのでアレですが、
多分、自分がノラだったら、ああなりそうなので怖いんですけど(笑)
相手が自分を大事にしていないとわかると、冷めるタイプなのね…。
きっとノラも乙女座だと思うよw

イプセンの「人形の家」は、すごく雑にあらすじを言えば、旦那が嫁のことを何とも
思っていなかったことに嫁がぶちぎれて出て行った、という話なんですけどね。
ただ、第七劇場版では、その後の嫁(ノラ)と思しき人物の生活ぶりなんかも、
メタ的に描かれており、イプセンがこの戯曲を書いてから100年以上が
経過しているわけですが、それでもなお、女性の権利や女性が一人で
生きていくことの難しさ、そしてそこから観客各々が考えるところに
波及していきそうな感じがよかったな、思うわけです。
(確か、同趣旨のことをアフタートークで鳴海さんが言っていた気がするが曖昧。)
個人的には、人間、それほど転職スキルが高い人でない限り、
途中で仕事とかやめると、今の日本は大変…と思っておりました。
なんじゃそりゃw、って感じですけど、再就職の難しさとか色々ねぇ…。
これ以上話をすると、芝居と関係のない自分の悩みやらなんやらを
吐露するだけだもんで、やめときますけど(笑)

いやぁ、正直、導入部分の独特の緩さというか、そんなようなのに
最初は少し油断していたのですが、しっかり嵌ってしまいました…。
(良い意味で)色々考えることもあるけど、なにか後味としては
気持ちのいい芝居でした。はい。



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第七劇場 ツアー2017
「人形の家」(三重公演)
2017年7月16日~17日 @三重県文化会館小ホール

原作:ヘンリック・イプセン
構成・演出・美術:鳴海康平
出演:佐直由佳子、木母千尋、菊原真結、小菅紘史、伊吹卓光、三浦真樹(以上 第七劇場)
   秋葉由麻、成川ちほ
照明:島田雄峰(Lighting Staff Ten-Holes) 音響:平岡希樹(現場サイト゛)
衣装:川口知美(COSTUME80+) 主催:第七劇場 
共催:【三重公演】三重県文化会館[指定管理者:(公財)三重県文化振興事業団]
フライヤービジュアル:中谷ミチコ「鳥の家」
撮影:Julia Gaisbacher フライヤーレイアウト:橋本デザイン室
助成:芸術文化振興基金助成事業 製作:第七劇場

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by yokusang_09 | 2017-07-16 23:56 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

劇団唐組「ビンローの封印」@鬼子母神

c0025481_2217462.jpg[物語]
1991年、4月6日未明、アマダイ漁で台湾沖に繰り出した漁船が、正体不明の海賊に襲われる。当時その海域では、同様の事件がたびたび起こっていた。
舞台は一年後の東京。元無線技士・製造は、肩に魚の燻製を乗せ松葉杖をつきながら街をさまよい歩いていた。あの海賊の一人は製造の胸に、血にも似た赤いしぶきを吐きかけ去った。製造は、その胸に吐きかけられた謎の染みを見るたびに、襲われた船、その後の乗組員の運命を思い、怒りが冷めずにいる。
たどり着いた偽ブランドの地下マーケットで、製造は日本に密航してきた男と出会う。彼こそは、あの台湾沖で製造に赤い飛沫をかけたあの海賊!目深にかぶった帽子を払い飛ばすと、男と思っていた者は実は女だった――――。その女、ヤン・カウロンによると、赤い染みは台湾のタバコ店で売られているチャイニーズガム、「檳榔」であるという。果たしてヤン・カウロンは敵か味方か? つかの間の道行から、製造は日本に密航してきたヤン・カウロンの不思議な世界に引き込まれていく。
1991年、実際に起こった事件を元に、唐十郎が描いた大海原の復讐劇!荒れ狂う巷の大海原へ、紅テントが今出帆する!!(劇団ブログより)



まだ20歳にぎりぎりならない頃、再開発が始まる前の豊田市駅前の更地(今は大きなビルが建ってます)で観たのが、唐組の芝居だった。そのころはまだ唐さんも出演していて、途中でへらへら笑うような感じで、水槽に入って登場してきたのと、ラストシーンでパネルごとテントの外に役者が飛び出していくのが、すごく印象に残っている。
タイトルはすっかり忘れていたが、ネットで調べたら「闇の左手」という戯曲だったようだ。(便利な時代になったなw)

それから早16年近くが経過し、その豊田公演ぶりに唐組の芝居を観た。
実はここ数年、観る芝居の幅(ロケーション含め)が広がってきたこともあって、どうにもテント芝居が観たい欲が高まっていたのである。で、このタイミング。行くっきゃないがね!
唐組の紅テントといえば、新宿・花園神社のイメージなのだが、今回は雑司ヶ谷・鬼子母神。雑司ヶ谷、降りるの初めてだけど、池袋から1駅離れるとこんな雰囲気なのね…。

正直、だいたいの話の流れはわかるのだが、でもよくわからないところもありつつ。
でもそれぐらいの感覚が、逆に緊張感あって楽しい。特にこの手の芝居だと。
ただ、多分、割と福原さんの芝居で、このテンションに触れていたせいか、思いの外、観慣れている自分がいて、そんな自分に自分で驚きだったが…。いや、むしろアングラ臭のする福原脚本は、元ネタは唐組なのだが…。

心がわしづかみにされて、ひきつけられるとはこのことか!という位、もう舞台にくぎ付けだった…。(あと桟敷だけど観やすかった。)劇中、少しよそ事考えたりしちゃう瞬間が、どうしてもあるのだが、それでも眼球だけは舞台から逸れること一切なし(笑)
(おそらく)初演当時の雰囲気も残しつつ、程よくアップデートされていると感じる部分もあり、
あとは戯曲のリズム感やら演出のスピード感が素晴らしくて、ずっと楽しい。誰が敵で味方かわからないミステリー性、そして、舞台上に広がるアジアの雑多で猥雑な空気感が、テントというロケーションと相まって、もう本当に、アツイの一言。
そして、ちょっと前の香港映画なんかにありそうな感じがして、ちょっと懐かしい。
てか、なんか、唐組の芝居に期待することの殆どが出てきていたのではないのかと。個人的には。
女子のおっぱいも出してたし(でも、全然やらしくなくて、むしろかっこいい)。それと、主人公の製造役の俳優さんが、もう汗ともヨダレともわからない汁をガンガン垂らしながら演技されていて、そういうアツイ演技も素敵。(あの方、この冬ブス会出るんでしょ…?)

16年前に観た作品のことを詳細に覚えているわけではないので、作品の良し悪しよる比較はできないのだが、ただ、自分もそれなりに年齢や観劇経験を積んできたこともあって、あの頃より何倍も楽しめたことは確か。
あと、自分が好きで観ている数々の芝居の原点を見せられたような、そんな感覚にもなった。
キャラメルボックス観ると、「演劇的な心が整えられた~」って思うのだが、テンションは全く違うけど、唐組も「演劇的な心が整えられた~」って気になる…ような気がする。てか、した(笑)

いやー、楽しかった。すごく純粋に楽しかった。

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劇団唐組 第59回春公演
「ビンローの封印」(東京・雑司ヶ谷公演)
2017年5月20日、21日、26日、27日、28日 @鬼子母神

作:唐十郎 
演出:久保井研+唐十郎
出演:久保井研、辻孝彦、藤井由紀、赤松由美、岡田悟一、南智章、清水航平
福本雄樹、河井裕一朗、福原由加里、全原徳和、大嶋丈仁、
重村大介(唐ゼミ☆)、熊野晋也
チラシ原画:KUMA・篠原勝之 宣伝美術:間村俊一
データ作成:海野温子 作曲:安保由夫

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by yokusang_09 | 2017-05-20 22:15 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

小松台東「山笑う」@三鷹市芸術文化センター 星のホール

c0025481_22164675.jpg女手一つで兄妹を育ててくれた母が死んだ。その通夜の夜。
母に反抗し続けていた妹が東京から帰ってきた。
闘病中の母を一度も見舞わなかった白状物の妹を兄が待ち構える。
責められることを覚悟していた妹は自分の身を守るためなのか、
東京から恋人を同伴させた。歓迎する者、呆れる者、様々な反応が入り混じる中、
兄だけは怒りを抑えきれずにいた…。
斎場の片隅にある親族控室で、母への想いを巡り、家族が激しく、
そして醜く、ぶつかり合う。(チラシより)


実は以前からずっと気になっていた、小松台東。
どの公演がきっかけかは忘れたのだが、もしかすると「ぼくかわ」のときだったかもしれない。
(でも、「ぼくかわ」の時は観にいけなかったんだよな。)
なので、今回は念願かなっての初・小松台東。わーい。しかも「山笑う」再演。
本当は、宮崎県出身のオオサワ君と観にいって、そしてコメントを聞きたかったのだが、
よく考えたら、オオサワ君は延岡だから宮崎のことは知らんかもしれん…。

冒頭から、劇場全体を葬儀場に見立てた演出に、「おや?」と思いつつも、
始まってみると意外なほどスタンダードな設定だし、スタンダードな始まり。
ていうか、まぁ、青年団系なのかな。あまり気にしていなかったが。
正直、全編宮崎弁と言われた時点で、少しイロモノっぽいのかと思っていたが(←偏見w)、
全然そんなことはなくて、でもストーリーではちゃんと笑わせてくれるのでよい。
何より、方言を笑いのネタにしないところがいい。勿論、宮崎弁が故の面白さもあるのだが。

他人に言わせれば妙な上から目線っで「よくある話」と言われるようなことでも、
やはりそれぞれの家庭なり個人なりの事情というのはあるもので。
この家族の事情というのも、実際に知り合いにいたら、結構特殊だと思うのだが、
それでも、特別派手な印象もないし、通常であり得ない話ではない。
そこに、「妹が彼氏として連れてきた男性が、実は彼氏ではない」という、
逆にドラマならあり得るけど実際にはかなりあり得ないが、
「なんか大都会・東京ではあるかもね…」みたいな、この日常と非日常(?)の
絶妙な匙加減が大変良かった。

絶妙な匙加減といえば、登場人物のキャラ立ち具合もこれまた絶妙で、この芝居の
面白さの重要なポイントだったかも、と思っている。
特段沢山出てくる、という印象でもないのだが、全員キャラクターがはっきりおり、
兄妹の緊張感も、通夜の日の酒の席という非日常空間におけるワチャワチャ感も、
シンプルに、しかしはっきりとした味付けになっていた、という印象。全員好き(笑)

故郷(田舎)を離れてた人間にとって、故郷という存在は、好意的に捉えていたとしても、
やはり単純なノスタルジーだけで、「いいね」と全肯定ができるものでもないのだと思う。
かくいう私も半分くらいそうなのだが…。
東京に出た妹と宮崎で暮らし続ける兄の各々の生き様や、二人の対立を含めてのやりとりを
見ていると、実家から離れて暮らすものとしては、やはり地元のことを思い出してしまうし、
「イオン」というフレーズにでさえ、胸が締め付けられる思いになるのである…。

というわけで、大変良いお芝居でした。お気に入り。


--------------------------------------------------------------------------
小松台東「山笑う」
2017年5月19日~28日 @三鷹市芸術文化センター 星のホール

作・演出:松本哲也
出演:川村紗也、瓜生和成(東京タンバリン)、山田百次(劇団野の上/青年団リンクホエイ)、
荻野友里(青年団)尾倉ケント、松本哲也
舞台監督:内山清人(サマカト) 美術:泉真 音響:星野大輔(サウンドウィーズ) 音響操作:大矢紗瑛
照明:中佐真梨香(空間企画) 演出助手:福名理穂(ぱぷりか) 宣伝美術:土屋朋子(citronworks)
舞台撮影:保坂萌 制作:塩田友克、小松台東 主催:(公財)三鷹市スポーツと文化財団

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by yokusang_09 | 2017-05-20 17:13 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)

SPAC「アンティゴネ 時を超える送り火」@駿府城公園 紅葉山庭園前広場特設会場

c0025481_1283193.jpg【あらすじ】
舞台は古代ギリシャ・テーバイ。先の王オイディプスは自らの出生の秘密を知り、国を追われる。その妻であり母でもあるイオカステは自死を遂げた。残された二人の息子ポリュネイケスとエテオクレスは王位を競って争い、ポリュネイケスはアルゴスに追放される。やがてポリュネイケスはアルゴス勢を率いてテーバイに攻め入り、エテオクレスとの一騎打ちとなるが、オイディプスの呪いを受けた兄弟は相討ちとなって共に果てる。そして王位はイオカステの兄クレオンのものとなった。クレオンは国を守ったエテオクレスを手厚く葬り、反逆者ポリュネイケスの死骸を野に晒して野鳥の餌にすることを命じ、これに反した者を死罪に処すことを決める。だが、オイディプス王の娘アンティゴネは王令に従わず、いさめる妹イスメネにも抗して、兄ポリュネイケスに埋葬の礼を施すことを決意する…。(劇団ウェブサイトより)


今年のGW後半のイベントは、静岡に観劇旅行なのでございました。
というわけで、SPACの新作「アンティゴネ」観てきちゃいましたよ。
今回は、静岡芸術劇場でなく、駿府城公園に設置された野外劇場ということで、
気分も高まっちゃうわけで。

ギリシャ悲劇ということで、事前にあらすじを探して読んでみたものの、
それが上記のような内容が故に案の定、登場人物名から脳みそが受け付けず、
予想していたより複雑な話ではないことまではわかったけれど、全然頭に入ってこず…。
割と原作どおりに演じられると聞いていたので、こりゃ困った…と、入場待ちの列で
軽く絶望していたのですが…。しかし、やはりそこはSPAC、そんな観客の思考パターンを
予想していたのか、冒頭に極めて分かりやすくあらすじの説明があり一安心。
(しかもこれが超わかりやすいw)
で、本編が始まって驚いたのですが、まぁ、なんと、殆ど、冒頭のあらすじで
説明したことしかシーンとして出てこないのです(笑)ホントなんだてw

ただ、その割には、冒頭暫くは掴みがイマイチだったかなぁ、という気もしつつ。
なんか、美術の密度+出演者の多さの影響で、思っていたよりも、最初に
一気に入ってくる情報量が多いのと、乱暴な言い方かもしれないけれど、話の要点を
見せていくような構造の割には、特に最初は朗々と古典風の長台詞が続いたりするので、
少しその構造に慣れるのにやや時間がかかっちゃったんですよね。演出的な構造を
掴めてしまえば、あらすじで説明したことしかやっとらんで、超安心なんだけど(笑)

と、最初にケチをつけたものの、全体を観た感想としては、やはり、超クール。
その一言に尽きます。とにかくカッコイイ。音楽も美術も衣装も、勿論演出も。
この作品で、シンプルに掲げらえてた「人倫と政治の対立」というテーマが、
やはり今の時代に刺さるんですわ。この作品を今のフランスで上演するって
なかなか刺激的だよなぁ、ってどうしても思っちゃう。

自分の信念を貫いて、理由の如何を問わず、亡くなった兄を弔おうとする主人公
(アンティゴネ)と、反逆者を弔うことを禁じる国王。古代ギリシャなのに、
「死ねばみな仏」という言葉が頭をよぎりましたけどw、
「死者を弔う」という倫理的・宗教的にきわめてシンプルな行動をとる若い女子=
アンティゴネに観客はついつい肩入れしてしまうのですが、しかし、国王側の立場に立って、
少し今どきな解釈の仕方次第ではアンティゴネの主張と言動は、原理主義とか過激派とか
そういう見方もできてしまうわけでして…。
それでも、芝居を素直な心で観ていたら、やっぱりついつい若い女子に
肩入れしちゃうんですけど(笑)、倫理的・宗教的道理と法律的・政治的道理ということは、
いかなる場所&時代においても存在したことだとは思うのですが、そう簡単に
優劣を付けて丸く収まることでもないと思うのですね。自分には、二つの立場があることと、
時としてそのバランスを取ることの難しさを、シンプルにそのまま提示していたのかなぁ、
なんてことを考えておりました。

それと、アヴィニヨン演劇祭で上演することを前提に作られているせいか、
外国ウケしそうな要素もチラチラとありましたな。
「弔い」というテーマと、日本的な要素の取り込み具合のバランスが実に見事。
劇中にずっと流れていた音楽は、読経時の木魚のリズムのようだったし、
劇中に差しはさまれる唄のシーンも、「ナントカ音頭」のような、
殆ど盆踊りなのですが、盆踊りは元々は死者の供養のために踊るものなわけで。
(ちなみに舞台でやっていたのは河内音頭らしい。)
舞台美術も(水を張っているのだがw)枯山水みたいで、冒頭に僧侶が登場することもあり、
寺院を連想させるし、最後の精霊流しなんて、盆踊り以上にそのものなんですけど、
まぁ、やっぱり日本的なわけです。もし自分が日本人じゃなくて、
フランスでこれ観たら、多分大喜びしてると思う(笑)

…というような話を、観劇後、静岡おでんのお店で、ビールとおでんに囲まれながら、
偶然居合わせたお客さんとしたりしてました。あー、楽しかった。(&美味しかった)


-----------------------------------------------------------------
ふじのくに野外芸術フェスタ
第71回アヴィニョン演劇祭オープニング招待作品
SPAC「アンティゴネ 時を超える送り火」
2017年5月4日~7日 @駿府城公園 紅葉山庭園前広場特設会場

作:ソポクレス 翻訳:柳沼重剛
構成・演出:宮城聰
出演:美加理、本多麻紀、赤松直美、阿部一徳、石井萠水、泉陽二、大内米治、大高浩一、
加藤幸夫、貴島豪、榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木真理子、大道無門優也、武石守正、
舘野百代、寺内亜矢子、永井健二、布施安寿香、牧山祐大、三島景太、宮城嶋遥加、森山冬子、
山本実幸、吉植荘一郎、吉見亮、若菜大輔、渡辺敬彦
音楽:棚川寛子 空間構成:木津潤平 衣裳デザイン:高橋佳代
照明デザイン:大迫浩二 ヘアメイク:梶田キョウコ
製作:SPAC-静岡県舞台芸術センター

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by yokusang_09 | 2017-05-05 23:07 | 芝居を観てきた2017 | Comments(0)


生きて名古屋に帰って来たよ。


by yokusang_09

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