新国立劇場「十九歳のジェイコブ」@新国立劇場小劇場

c0025481_0505694.jpg主人公・ジェイコブとユキの風変わりな友情、もしくは愛情の物語。
舞台はジャズ喫茶。放浪する者たちにとっての教会であるジャズ喫茶、讃美歌としてのジャズ。
ジェイコブの叔父、高木直一郎が破壊していった「路地=聖地」を失ったジェイコブは、新しい聖地を求めてさまよう。ジェイコブとは正反対のタイプであるユキも「古き良き故郷=家族」を失い、「変わりきった故郷=父の大企業の権力下にある」に憎悪の念を抱いている。
マイルス・デイビスのSketches of Spainに郷愁を感じることもあれば、アルバート・アイラーのSpiritual unityに身を任せて空っぽになるジェイコブ。
ジェイコブは兄の自殺や叔父・直一郎の冷血な振る舞いと腹違いの妹などに罪の意識を感じ、自身を汚しきることと教会=ジャズ喫茶に通うことでバランスを取ろうとしているのかもしれない。


なんか、維新派の松本雄吉の名前が気になってしまって、行くことにした。約10年ぶりの新国立劇場。前回、観劇の直前にちょっとツラいことがあった覚えがあるんだけど、今回は今回で、寝坊して、ちょっと遅刻・・・。
元々の小説の中身もあまり知らないので(すみません・・・)、どうなることかと冷や冷やしておりましたけどw、何とかなりました。

中上健次の小説の時代感と、サンプルの松井周の戯曲の感覚、そしてそれを最終的に束ねる松本雄吉の演出力、その3つのすばらしい結集って感じでした。なんていったらいいんだろうな、中上健次の小説に漂うジャズの空気感と、いわば即興ジャズ的に(?)物事がコロコロと転落していく様、それを松井さんが実に現代的な戯曲として拾っていったものを、中上健次と同年代の松本雄吉がもう一度構築しているって感覚。でも、だからといって現代的な松井さんの戯曲がよくないのかというと、そんなことは全くなくて、しっかり松井カラーを出すことで、かえってあの原作が持つ、時代性になり、物語のコアとなる部分を客に提示してたなーって印象でした。

まぁ、自分が原作なり中上健次の作品をあまり知らないから思うのかもしれないんだけど、あの近寄りがたいカッコよさは何なんだろうなぁ。主演俳優の石田卓也の醸し出す雰囲気もさることながら、あの青臭くて、自分勝手な若者特有(中二病?)のヒリヒリした感じ、そしてドラッグとセックスに溺れて、どんどん転落していく
様、絶望感と緊張感と哀愁感(←あ、最後の哀愁は違うかも)。実に無駄なく、かつ様々な手法を取り入れながら、とにかくかっこいいんだ。とにかくかっこいいんだけど、あまりにも舞台上で繰り広げられているものがやっぱクールかつ緊張感満載だから、やっぱヘナチョコなアタシなんざぁ、ちょっと引いてしまうのかもしれませんねwww まぁ、補足しておきますと、近寄りがたいというのは、褒め言葉です。ハイ。

でも、それくらい、劇場全体を包み込んでしまう空気感にすっかりやられて、もんのすごい引き込まれて観てました。話のことが詳しくないとか、ぶっちゃけそんなものどうでもいい!と言ってしまっても、さして問題もないほど、圧倒的にクールだったし、なんちゅーか、原作の強度も違うって言えばいいのか、その戯曲なり演出なり原作なりの「しっかり」具合が、またそこに身を委ねてしまってもいい安心感みたいなものがあって、それもまたよかったですね。それもなんなんだろな。原作となった作品の持つモノなんでしょうかね。

まぁ、よーわからんけど、あんなにカッコよくて強度のある作品、なかなか出会えんぜ。
ホント、かっこよかった。圧倒された。

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新国立劇場 2013/2014シーズン
「十九歳のジェイコブ」(東京公演)
2014年6月11日~29日 @新国立劇場小劇場

原作:中上健次 
台本:松井周 
演出:松本雄吉
出演:石田卓也、松下洸平、横田美紀、奥村佳恵、有薗芳記、石田圭祐、西牟田恵、中野英樹、
    チョウヨンホ、酒井和哉、山口惠子、新部聖子
音楽監修:菊池成孔 美術:杉山至 照明:吉本有輝子 音響:渡邊邦男 衣装:堂本教子
演出助手:野村政之 舞台監督:米倉幸雄


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by yokusang_09 | 2014-06-29 17:32 | 芝居を観てきた2014 | Comments(0)


生きて名古屋に帰って来たよ。


by yokusang_09

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