マームとジプシー「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと----------」@東京芸術劇場

(注)文字数制限のため記事のタイトルを一部省略しています。場所は東京芸術劇場シアターイーストです。

c0025481_1554415.jpg26歳のときに書いた作品を、リユースして再構築してみようとおもうのだが、これに至るまではいろいろあった。マームとジプシーのこの三年間は、自分たちの過去に発表した作品をある意味、否定していく作業でもあった。とめどなく湧きでてくる、興味と。どうしようもなく拡大されていく、規模。どんどんと速くなっていく、スピード。取り巻くぜんぶのことにアプローチしていくときに振り返ってはいけなかった。振り返らずに、旅をしてきた。しかし去年のいつだったか、すこし立ち止まってかんがえる時間があった。疲れていた。ぼくだけじゃなくて、マームとジプシーが。たぶん、疲れていた。ぽつぽつと、みんなと話す時間があった。はじめて、過去の作品のことを話した気がする。そのときの、なんか、手触りみたいなのって。帰りたい、みたいな感覚と似ていた。この三年間で、生まれた家が壊されて道になった。飼っていたネコの、モモが死んだ。親もみんな、確実に年を重ねている。ぼくも今年、29歳になって20代最後の年を迎える。もう、振り返らないとおもっていた。帰らないとおもっていた。旅をつづけなくてはいけないから。でもでも、待っていてほしいともおもうのだ。もう、なくなってしまった家に。モモに。待っていてほしいともおもうのだ。旅しながら、帰る場所を探して彷徨っている。そのことすべてを、空間として。そこに漂う、波長を。生みだしたい。生みだした先には、また。旅。旅しかないこともわかっているけれど。
2014年4月3日  藤田貴大  (劇団HPより引用)


上京してから、地味に欠かさず観ているような気がするマーム。
今回は、岸田戯曲賞受賞作品の再演(ただし、改定あり)ということで、
何となく、ではなくてかなり期待しておりましたー(笑) わくわく。
物語は、自分が最近観た作品に比べるとだいぶシンプルで
分かりやすかった印象。「分かりやすかったストーリー」というのは
あらすじが追いやすいという意味以上に、なんてゆーか、
ワンイシュー的な感じだったから、かな。(でもそんなことないんだけど)
というか、役者の目に映っていると思われるものが、
割とシンプルに客に提示されていたからなのでしょう。
おそらく。そして、客である私自身がそう感じたから、ですかね。

人間、たしかに帰るところがあるというのはすごく大切なことだと思うのね。
それって、なんかミクロな意味でもマクロな意味でもなんだけど。
まぁ、私の上京前と上京後の、東京と名古屋での心持ちを比べれば
わかるんですが、「近くに身も心も預けることができる場所がある」って、
大変気持ちが楽なのです。
ただ、それって何なんだろうね、とも思うわけで。
たとえば、海外にいると、とりあえず成田空港だって、
到着すれば「日本についた!」というホーム感に駆られますよね。
(そのあと、日本国内スケールにスイッチが入れ替わって、
自宅までの遠さに絶望したりしますけどw)

物語にでてくる3人兄弟のうち、一番上の姉と一番下の妹の2人は
家を出ていて、その結果、3人中2人にとって、実家は
「帰るところ(拠りどころ)」として意味を持つようになるわけです。
が、それって、親の住む場所ってことの方が大きいんじゃない?
って気もするんだよね。
その証拠に(なのか知らないけど)、父親がなくなり、実家には
真ん中の弟が1人で暮らしている状態になり、その後、道路工事で
立ち退きになるとなったときに、2人は結構アッサリだったんだよね。
もちろん建物そのものへの思い出はあるし複雑なんだろうけど、
それは、いったん口にしたらそれでおしまい。
今住んでいる、真ん中の弟が決めることであると。
その一方で、3人兄弟の長女の娘がハコとしての家に固執をします。
確かに子供にはありがちな発想とも言えるんですけど、彼女にとっては、
ここはハコとしての存在が大きいのでしょうけど、なんか、
このほぼ外野からの着眼点の全く異なるところからの攻撃というのに、
なんか思わずイラっときてしまったりw

でも、彼女の言うこともわかるんですよ、建物があることで、
人は場所を認識する、みたいな。だから思い出だけでは
結局は風化してしまう、みたいな。
このことって現実的には、実家にすみ続けている独身の弟が
決断すべき問題なんですよね。外野うっせー、みたいな。
でも、ムカつくことに外野の声がでかいし、外野の声って
妙な客観性を帯びている気がして、どこかひっかかる。

この作品が発表されたのが2011年。ってことを思うと、
あぁ、なるほどなぁ。とも思うんですけど、物理的空間と精神的思い出、
それって一体となることで、空間として強固な存在になるんだろうけど、
感情と理屈じゃないけど、結びつきすぎてわけわからなくなるのも
イヤだなぁ、みたいな。
おそらく作者は、もっと個人的な経験や感情から作品を書いていると思うし、
2011年の件で問題なのは、対立軸?がまたちょっと違うんですけど、
なんか、その一体不可分なものになってしまい、話をしていてキーッって
なるってこと、いっぱい見てるし、経験もしているから、
なんかそれを強烈に思っちゃいましたわ・・・ええ。

なんでもいいけど、藤田さんはどこまで、このノスタルジーを
突き詰めて行くのだろう。

-----------------------------------------------------------
マームとジプシー2014年6月公演 
「ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと----------」
(東京公演)
2014年6月8日~22日 @東京芸術劇場シアターイースト

作・演出:藤田貴大
出演:石井亮介、伊東茄那、荻原綾、尾野島慎太朗 、川崎ゆり子、斎藤章子
    中島広隆、成田亜佑美、波佐谷聡、召田実子、吉田聡子
舞台監督:森山香緒梨  舞台監督助手:加藤唯、丸山賢  音響:角田理枝
照明:南香織  照明オペレーター:伊藤侑貴  衣装:スズキタカユキ(suzuki takayuki)
演出助手:小椋史子  当日パンフレット。青柳いづみ 宣伝美術:本橋若子
製作:林香菜、古閑詩織 主催:マームとジプシー (北海道公演)NPO法人伊達メセナ協会
共催:(北海道公演)伊達市教育委員会 (東京公演)東京芸術劇場
提携:(公益財団法人東京都歴史文化財団)芸術文化振興基金
助成:公益財団法人セゾン文化財団

[PR]
by yokusang_09 | 2014-06-08 22:34 | 芝居を観てきた2014 | Comments(0)


生きて名古屋に帰って来たよ。


by yokusang_09

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

おしらせなど

☆気軽にコメントしてちょお
*エキサイトIDをお持ちでない方はコメントを入れるときに、ご自分でお好きなパスワードを入力してください。

☆記事の内容に関係のないコメント・トラックバックはこちらの判断で削除させていただく場合があります。

☆現在、スパム対策として、当ブログの記事にリンクのないTBを拒否する設定にしています。(エキサイトブログはリンク無しでも可)。

お気に入りブログ

フランス落書き帳
広島きのぴーワールドヽ(...
勝手気ままに書き綴りたいこと
おてんば日記~~魅惑のゲ...
パルケのひとりごと
やっとかめ どっとこむ
北欧建築ゼミ アアルト
グッドデザイン フォー ミー
龍眼日記 Longan...
smilecircle
近代建築ゼミ Moder...
-since 1984-...
ユロ*グラフィック ニュ...
メンズファッション塾-ネ...
コペンハーゲン mell...
青山おしゃれ古着店
バンコク mellow ...
グッドデザインニューヨーク
橙通信/堀江宏樹ブログ
WITH LATTICE

カテゴリ

全体
ナゴヤだがー。
芝居を観てきた2017
芝居を観てきた2016
芝居を観てきた2015
芝居を観てきた2014
芝居を観てきた2013
芝居を観てきた2012
芝居を観てきた2011
芝居を観てきた2010
芝居を観てきた2009
芝居を観てきた2008
芝居を観てきた2007
芝居を観てきた2006
芝居を観てきた2005
映画を観てきた。
ファッション
多事争論@ナゴヤ
探検・発見@ナゴヤ
のみくい@ナゴヤ
おでかけ@ナゴヤ
アイチだがね。
物欲との死闘
ギフもええよ。
ナガノの近く。
よそんとこ
たびにでたがね。
よくさん日記
芝居稽古日誌
東京暮らし
このブログのこと
未分類

最新のコメント

>秋津さま 私も初めて..
by yokusang_09 at 23:40
ご来場ありがとうございま..
by 秋津ねを at 18:23
>やっとかめさん ..
by yokusang_09 at 21:58
記事とは直接関係ないんで..
by yattokamedagaya at 14:23
>やっとかめさん ..
by yokusang_09 at 00:43
別の回転レストランに、昔..
by yattokamedagaya at 16:17
>やっとかめさん そう..
by yokusang_09 at 02:07
そうなんですよね。 ス..
by yattokamedagaya at 10:36

最新のトラックバック

物質文明、情報社会と融合..
from dezire_photo &..
ヤング≒アダルト
from 龍眼日記 Longan D..
ヒミズ
from 龍眼日記 Longan D..

以前の記事

2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
more...

タグ

(169)
(138)
(49)
(48)
(38)
(37)
(33)
(28)
(20)
(20)
(20)
(14)
(14)
(9)
(8)
(7)

検索

最新の記事

八月納涼歌舞伎第三部「野田版..
at 2017-08-17 23:39
少年王者舘「シアンガーデン」..
at 2017-08-10 22:00
落ち着いて物事に向き合えない。
at 2017-08-09 00:28
第七劇場「人形の家」@三重県..
at 2017-07-16 23:56
公演のご案内(衣装として参加..
at 2017-06-18 15:33
国産ジーンズ発祥の地・児島へ..
at 2017-05-27 17:59
劇団唐組「ビンローの封印」@..
at 2017-05-20 22:15
小松台東「山笑う」@三鷹市芸..
at 2017-05-20 17:13

ブログジャンル

つぶやき
演劇